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前田利長に転生したので織田・豊臣の世で無事生き残れるように尽力します!  作者: Nagamasa N
新第二章 青年孫四郎編 【永禄十三/元亀元年(1570年)~】

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第十七話 姉川の戦い

久しぶりの三日連続投稿ですね。

六月二十八日、まだ日も登っていない時間に浅井・朝倉両軍が姉川の北岸に布陣したという情報が入ってきた。織田軍も、横山城を包囲している丹羽長秀様と西美濃三人衆が率いる部隊を除き、全軍で両軍の相手をすることになった。西の三田村と呼ばれる郡に布陣している朝倉軍の相手には徳川軍が、そして東の野村と呼ばれる郡に布陣している浅井軍の相手を、我々織田軍が対応することになった。織田軍は、部隊を縦に並べた。後世で十三段の備と呼ばれるものだろう。姉川の戦いは、勝利した事実しか分からないからどうやって敵を切り崩していったのかはわからない。



卯の刻半(午前六時頃)、浅井・朝倉両軍が動き始めた。織田軍の先鋒を任されているのは、坂井政尚様という御方だが、開戦早々何かがあったのか、動きが鈍い。このままでは、浅井軍の流れに飲まれそうだ。


「こうなることを予測して、先鋒が崩されたとしてもすぐには崩されないように後ろに十二段の備えをしてありますが……坂井様はいつまで持つでしょうか」

「政尚を侮るでないぞ、孫四郎。あの者は、そう簡単には崩されんよ」


信長様がここまで落ち着いているのは、事前に半兵衛先生から、浅井軍は最初のうちは死に物狂いで攻めてくるという予感を教えてくれたからだと思う。実際、後ろに待機している部隊も、決して気を抜かずにいつ敵が迫ってきてもいいように構えている。


「申し上げます!坂井政尚隊、壊滅状態!嫡男が討死した模様…!」


嫡男討死?坂井様という人の息子が死んじゃったってこと?


「池田勝三郎様も浅井勢の勢い、食い止められず!」

「木下藤吉郎様、態勢を崩された模様!」


……あれ、姉川の戦いって勝ち戦だったよね?何で、こんな簡単に崩されているんだ?まだ、信長様の本陣までは遠いとはいえ、雲行きが怪しくなってきたぞ。


「これが、死に物狂いで突っ込むということだ。勝三郎も秀吉も簡単に崩されるような奴らではない。それ以上に浅井軍の勢いが凄いということ。このままでは、俺も危ういかもしれんな」

「少し、退きましょう。反撃をする態勢を整えるべきかと」

「そうだな」


三十六計逃げるに如かずじゃないけど、こうなった以上、このまま何もしなかったら負けてしまうだけだと思った。だとしたら、退きながら態勢を立て直した方がいいと思ったので助言した。先生だったら、きっとこう言うと思ったのもあるけど。




「柴田勝家様、大した抵抗も出来ずに浅井勢を先に進ませてしまったとのこと」

「森三左衛門様、勢いに押されてしまい、先に進ませてしまったとのこと」

「佐久間右衛門尉様が、何とか踏ん張っていますがいつまで持つか分かりません!」


気づけば、十三段の備のうち、十一段目まで崩されちゃったよ。佐久間様も、いつまで持つか分からない状況だ。用心していたけど、ここまで浅井軍の猛攻が凄いとは……想定外だ。


「家康はどうなっている?同じく、朝倉に押されているか?」

「そのようでございます。想像以上に、朝倉・浅井軍ともに士気が高く……」

「この戦で、大敗したらもう信長様に勝てることはないと思っているのでしょうね。両家にとっては存亡をかけた一戦というわけですから」

「まさか、長政相手に二度も負けるとは―」

「殿!朝倉軍が引いていきます!」


どういうことだ?さっきまで、朝倉軍は徳川軍を押しているという報告があったではないか?


「家康殿は、朝倉軍の陣形が伸びきっていることに気づき、家臣の榊原康政殿に横から攻撃するように命じたようです。縦には長いですが、横は薄くなっていたため、簡単に崩すことが出来たそうです」

「なるほど。ということは、徳川様の部隊がそのまま横から突いてくれれば、私たちもまだ勝機がありますよ!」

「だが、それまで信盛が耐えられるか―」

「殿!我ら、西美濃三人衆が駆けつけましたぞ!包囲は丹羽様にお任せしているのでご安心くだされ」

「遅いわ!すぐに、佐久間隊を助けて参れ!」


あっという間に流れが変わった。さっきまで敗北ムードだったのが信じられない。これが、織田信長という男が持つ幸運なのか?


「池田・木下・柴田・森の各隊も態勢を立て直し、浅井勢を囲むように攻撃しているとのこと!」

「これで、戦の大勢は決まりましたね」

「……孫四郎、ついでにお前の火縄銃で一発お見舞いしてやれ」

「え、良いのですか?こうなった以上、深追いは禁物だと思ったのですが」

「深追いではない。お前が、この戦の勝利の決め手となるのだ。あわよくば、囲まれた長政を討ち取っても良いぞ?」


新たな火縄銃を実戦で試せということか。火縄銃だから、敵から離れたところから撃てば、狙われる心配も少ないだろう。


「流石に、そんな上手く行くとは思えませんが……新たな火縄銃の特性も活かしつつ、行って参ります」


そう言って、馬に向かいながら、火縄銃の準備も行っていく。



★浅井長政


さっきまでの、勝てそうなムードが嘘みたいに、一気に態勢を崩されてしまった。朝倉が早く撤退してしまうことが一番の想定外だった。皆の討死の報せが届く。


「殿、お逃げくだされ。今なら、東側から抜けることが出来まする」

「だが、せっかく掴みかけた勝利をここで手放すわけには……」

「大勢は決しました。もう、我らが勝てることは……危ない!」


次の瞬間、火縄銃の発砲音がけたたましく鳴り響いた。勘違いじゃなかったら、五・六発聞こえたと思う。その直後に、馬の頭から血が流れる。撃たれたのか?誰に?そう思いながら音が鳴った方向を見たら、まだ元服仕立ての子供が見たことない火縄銃を持って、俺を狙っていた。ただ、その顔はどこか悲しそうな顔をしている。もしや、この子供()?そんなことを考えている間に、馬が倒れ、俺も転げ落ちた。


「殿!」

「大丈夫だ、馬が撃たれただけで、俺は何ともない。しかし、あの者……」

「考えている場合ではございませぬ!某の馬をお使いください。殿は生きて下され」

「待て、直経!お前はどうするつもりだ?」

「……某は、信長の首を上げて帰ってきまする!」

「馬鹿なことを申すな。生きて、帰ればまた―」

「これだけの成果を上げたのです。織田軍も甚大な被害を得ています。殿が生きていれば、我らはまた信長を追い詰めることが出来ます。その時間稼ぎを、某はするだけのこと!」

「やめろ、直経。お前が死ななくても―」

「さらばです、殿」

「直経!戻れ!一緒に帰ろう!」


遠藤直経は俺の言うことを聞かずに、織田本陣へ突っ込んでいく。俺は、また大事な家臣を一人失うのか……。





囲まれた浅井軍の中で、見るからに大将の格好をしていた男を狙って、実戦で連射式火縄銃を撃ってみたけど、()()()()()に当てることが出来た。少し、様子見をしてから、浅井軍が引いていったので、信長様への結果報告を行うために本陣へ戻る。一人だけ、本陣の方へ向かって行った気がするけど、きっと佐久間様たちにバレて討たれることになるだろう。



本陣に、皆が戻ってきた。序盤、浅井勢に押されていたこともあり、死者も少なくはないけど、痛み勝ちみたいな状況には出来たと思う。


「藤吉郎、すまんな。大した準備もさせることが出来ずに長政を逃がしてしまって」

「恒興殿でなくても、あの長政殿を止めることは難しかったと思います。むしろ、あれだけ時間を稼いでくれたのに、おいらも後ろの皆様にお任せする結果になってしまい申し訳ございませんでした」

「もう、過ぎたことだ。皆―」

「信長様、某も敵将の首をあげました」


誰だろう?足軽の人かな?


「待った!その男の名は遠藤喜右衛門直経。浅井家の家臣です!」


半兵衛先生がそう叫んだ。恰好は織田家の人と変わらない……まさか、死んだ兵のものをそのまま着ているのか。この状況で、火縄銃を構えることは難しいので、すぐに刀を抜く。相手は一瞬焦った表情をしたけど、首を投げ捨てて刀に手をかける。ただ、その時には僕が相手の手を切り落としていた。


「遅いですよ」


そう声をかけた時に気づいた。この人、さっきまで長政殿の近くにいた人だ。見失った後、織田兵の誰かをすぐに討ち、成りすまして本陣まで来ることが出来たのだろう。ただ、浅井家に仕えていた半兵衛先生の前ではそんな作戦は通用しなかったみたいだ。


「……なぜ、首を取らない?」

「半兵衛先生が名前を知っているということは、浅井家の重臣だということが分かります。貴方()一瞬躊躇したということは、本当は戦うつもりがなかったんじゃなかったのではないかと思いました。なので、取引をしませんか?今の浅井家の状況を教えてくれたら、すぐに止血して命だけは助けてあげます」

「……断る。敵に情報を流して解放されたとしても、長政様に申し訳が立たない。だとしたら、ここでお前たちに殺された方が良い」

「……長政殿には勿体ない家臣だ。猶更、殺すには惜しい」

「……一つだけ言っておく。其方の考えている通り、長政様は本心からお前たち織田と戦うつもりはなかった。これは、久政様とその周りの家臣が朝倉との関係を重視した結果、招いてしまったことだ。どうか、長政様を悪く言うようなことは控えていただきたい。止められなかった、某たちに非はある」


直経殿はそう言って、目を閉じた。そして、再び口を開く。


「さあ、某を切りなされ。もう、某は何も語らぬぞ」

「孫四郎、お前が切れ」


直経殿と信長様にそう言われた。また、僕の手で人を殺めなければいけないのか。でもこれも、巡り巡って皆が幸せに暮らせる世に繋がるのであれば、僕の手で切るしかないのか…。


「御免!」


父上に教わった敵の切り方で、直経殿の首を討ち取った。目の前は涙でよく見えなくなってきた。だけど、続ける。


「遠藤喜右衛門直経が首、討ち取ったり!」




戦後、丹羽様が包囲を続けていた横山城が、姉川の結果を知って開城した。信長様は、横山城を秀吉様に任せ、岐阜に戻った。ただ、姉川の戦いで浅井・朝倉家を倒しきれなかったので、六角家同様、しばらくは油断できない状況が続きそうだ。

書き直し後は、姉川の戦いを史実になるべく沿って書く形に変更しました。

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