炎の抱擁、竜は駆ける。
伊坂 久司郎と言う男がいた。
彼は真面目で、まっすぐな男だが……同じように、冷たい男でもあった。
久司郎はマリアという少女に出会った。
利用できると判断し、共に生き残ろうと誓った。
二人はピーターという少年に出会った。
使えると判断し、一緒に行こうと誘った。
ザンという青年と、リンジィという子供に出会った。
強さを認め、力を貸してくれと手をさしだした。
そして、最後にヨシヤという男に出会った。
放置できないと理解し、彼を保護すると決断した。
伊坂 久司郎という男は、二面性の男だ。
一緒にいる者達は、どれも彼が利用しようとして集めた者たちだが……。
同時に、久四郎はどこか彼等の力になりたいとも思っていた。
敵として出会ったのなら、おそらく誰一人容赦なく切り倒していただろう。
……いずれにしても、久四郎は彼等を仲間として出会えたことに少なからず感謝している。
「……ピーター」
「へ? なんだい?」
今気が付きましたけれど。
「ライター、預けたままですよね?」
「……あ、ヤバ」
やはり忘れていましたか……。
詰めが甘い。
「まあいいや、消せばいいんだしね」
……敵になるかもしれないのに、緊張感がない。
「さてリーダー、さっさと帰ろうか」
「ええ、そうですね」
―――★―――
「あついあついあつーーーい!」
熱い暑いあついアツいアツイあついあついあついあついあつい!
「灼熱かよ畜生っ! もーっ! いやぁ!」
死んじゃうよ!
「死んじゃうよ!」
なんでこんなに暑いのよ! 熱いのよ!
「私を殺したいの!?」
「……五月蠅い」
「はぁ!? ユエちゃんは私がミミズが如く干からび死んでしまえと!? 殺すぞ!」
「口が悪くなってるよ、カリンちゃん」
お淑やかさを求める女の子だこと!
「反省するよ!」
「半ギレで言われても……」
ごめんなさいね!
「あぁぁぁぁあああああ! 熱いよおぉぉぉぉ!」
「ええ……で、でもさ……他の人も砂漠始まりだろうし、ね?」
「他の人なんて知らないよぉぉ! ア――――ツ―――イ―――!」
―――★―――
「ウーヴェさん」
「あ?」
……あまり得意な人物ではありませんが、仲良くしないといけません。
それに、嫌な人物ではないのですしね。
「何故、ウーヴェさんは生き返りたいのでしょうか」
「あー……別に深いワケはねぇよ……俺は比較的上等にクソみたいな人生だったからな」
「上等な?」
「おう、下水道よりちょっとマシな、兵士になったんだよ……んで、そこで三、四回目だかで死んだだけだな」
よ、傭兵……?
「……そ、そうだったんですか……」
「この前な、サムライを見たんだ」
さ、さむらい?
いきなり何の話を……。
「えっと、シスターはいつ生まれなんだ?」
「……に、2004年です……」
「俺は1897年だ……まじかよ、未来人だ」
わ、わぁ……どうりで殺伐とした雰囲気……。
そうか……時代が違う、となると。
「まあ、道理でシスターの話が甘っちょろいとは思ったけどよ、平和な未来でなによりだな」
私の言葉は……空しい言葉に聞こえるのでしょうか……。
でも……それでも、間違ってなんか……。
「まあでも、一人殺ればそんな箍は外れると思うぜ?」
「だ、ダメですってば!」
間違いは起こさないに限ります。
「……まあ良いや、とりあえずもう夜だしな、寝とけよ」
「…………はい……」
間違ってなんかない……私は……。
―――★―――
「まだ昼間かよ! 砂漠ぅぅぅ!!」
「ちょっと前まで夜が寒いって言っていたじゃん……」
「もう二回目の昼だよ! 飽きたぁ!」
もうヤダ……。
「カリンちゃん、その恰好は熱いと思うけどさ」
「好きでこんな格好してるんじゃないもん! あーん!」
我がままばっかりだよ……。
はぁ……疲れちゃうなぁ……。
「ユエちゃん!」
「なぁに……?」
「あのピラミッド目指すのやめない!?」
……本当に行き当たりばったりだなぁ……。
「駄目だよ、もうここまで来たら引き返せないんだし……オアシスに戻るよりピラミッドに行く方が近道だよ?」
「あう…………」
……懇切丁寧に教えるしかないのかな……。
疲れちゃうよ……もう。
「ユエちゃん、私がおんぶしてぶっ飛んで行こうか?」
「……いいよ、熱いし」
そろそろ夕方かな……早く夜にならないかな、夜はカリンちゃん有効的に使えるし。
―――★―――
「トーキ! 私にいい考えがある!」
久しぶりに私の灰色の脳細胞を披露しよう!
ふふん、トーキも興味津々の様だね。
「聞かせてくれ」
「あのね、ピーターは二等辺三角形が七つで構成された円だって言っていたでしょ?」
「ああ、そうだったな」
「だからさ、先ずは円の中心に行こうよ!」
これで私達は好きなエリアを選べるわけだ!
「なるほど……良い案だ、このエリアから移動しなくてもどんなエリアがあるかは知っておきたいからな」
「えへへ、すごいでしょ!」
「……じゃあ、とりあえず目下の目標としていくか」
なんだか目標ができるとやる気が違うね!
「…………っし、傷も大分塞がった……あー……でも、もう夜か」
「そうだね……パン悔い狂騒またやろっか? 戦うなら私の方が向いてるし」
持ちつ持たれつ、二人きりになったしこれからも頑張らなきゃしけないしね。
―――★―――
「寒いよぅ……」
「私はそうでもないけどね」
「あー……ちょっとパンもらってくる」
そういえばお腹減ったなぁ……。
まあ、お言葉に甘えようかな。
「いってらっしゃい、カリンちゃん」
「うん、行ってくるねー」
さて……その間ちょっと寂しくなるなあ……。
―――★―――
「あはははは、ぼかぁ連日大忙しです!」
愉快そうに、彼女の頭の中に声が響く。
「このイベントで人死にが出なくて涙がちょちょぎれちゃうよ! どーでもいいけどね!」
下品な笑い声にリサは少しだけ嘆息しながら、一言文句を言う。
「まだー?」
「まだー……っと? おやおや、腹ペコ狼がもう一人……そいじゃあ、いっちょ始めようじゃないか!」
指を鳴らし、リサの視界がぐにゃりと湾曲する。
そして、不快感を感じながら意識がもうろうとし始める。
―――★―――
―――場所は岩山、半径は80mほど……そいじゃ、頑張ってね。
そのまま頭から声が消え、リサは辺りを見渡す。
……夜だったはずだが、前回と同じように太陽が昇っている。
「さて、相手は……」
辺りを見渡した時、視界の端に違和感のある物体が現れる。
遠くに、火柱が立ち上っていた。
「ッな!?」
火柱の先は五つに割れ、それがねじれて火柱全体が炎の腕のように変形する。
……その火柱は、太陽を掴もうと伸びているように見える。
そして……炎の腕は辺りを叩き潰さんと拳を振り下ろす。
「な、なんだぁぁ!?」
惜しみなく五枚張りし、出鱈目に振り下ろされる拳を避けながら炎の腕の根本を目指し走る。
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