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後悔しているから、僕は全部殺す。  作者: 鬼羅
1日目、遊戯開戦。
21/39

堕ちる心と、昇る朝日。




「はっはっはっは! もう大丈夫!」

颯爽と現れた彼女に、三人の視線は釘付けになる。


「ッ!?」

聴覚が強化していた為か、リサは思わず身を竦ませる。


「…………」

「…………?」

「……なんだ……?」

「セ、2nd……?」


一転、その場は静寂に包まれる。

電池の切れた玩具のように、エリナが動きを止めたからだ。

そのまま暫く、警戒態勢のまま四人は時が止まったように微動だにしなかった。




―――★―――




「……いねえな」

「いないねぇ……」

頭をかくピーターに濡れた髪をかき上げるザン。

既に空は晴れ渡っている。


「いやあ、リーダーの根こそぎ作戦は失敗だったかな?」

「まあこんなものだろ、俺はそれよりも……」

そういい、根元の窪に向かう。


「ここらを一望できるってのが、一番良い情報だと思うがな」

「お、なるほどー!」

パチンと指を鳴らし、その後に続く。



「……なるほどな……」

「うんうん、なんて言うかさ」

「不自然なモニュメントっていうかオブジェクトって言うか……うーん」

二人の視界には、六つの塔の様な物が飛び込む。

……この木を含めれば、七つの塔があるわけだ。


「それに、ピザみたいに七つに区切られているな」

「だねー、僕らは言わば森エリアにいるって訳だ」

うんうんと頷くピーター。

……ある程度見渡した後、ザンは幹から枝に歩き出す


「……マリアを見つけた、あの辺りにいるだろ」

そういい、枝から地面へと飛び降りる。

「うわぁ……こういう独断専行するから迷子になると思うんだよなぁ」

溜息を吐きつつ、懐のITEMを取り出す。




―――★―――




「…………」

どうする……どうする……。

私の手札は……ITEMと4thと……リサちゃんか……。


4thは……駄目だ、自分で行動させた方が良い。

かと言って、リサちゃんも時間が経ちすぎてあまり無茶な行動は……。

……そうか!


「『堕天矢フォォリンィンラッブ』ゥゥッッ!!」

これでも、食らえッ!




―――★―――




「『堕天矢フォォリィィンラッブ』ゥゥッッ!!」

放たれたのはピンク色に光り輝く矢。


「ん、ぉ―――!?」

狙われたのは、まだ戦闘の疲れが目立つトーキに向かう。

「危ないっ!」

それを遮るように、リサが割り込み右手で受け止めようとするが、深く矢が突き刺さる。


「んなっ!? 大丈夫かリサ!」

「うん! ……逃げようトーキ!」


素早くトーキを肩で担ぐと、リサは走り出す。

「……大丈夫か? リサ」

再度、心配そうにリサに訊ねる。


「うん……痛くは無いよ……」

そう言い、リサはニッコリと笑う。




―――★―――




放たれたピンクの矢は、狙い通りリサの右腕に突き刺さる。

(これなら、無茶な命令じゃあないし……時間の経過で命令は効きにくくても、これなら大丈夫!)

そういい、にやりと笑い。


(リサちゃん、トーキくんを抱えて逃げろ!)

心の中で叫ぶと、リサは走り出す。


「……ふぅ」

何とか凌ぎきり、大きく息を吐く。

そうして、急いで走り出す。


「二人が大変だ、急ぐよ!」

「お、おう……あのよ、何したんだ?」

不思議そうに、4thはエリナに訊ねる。


「あんまり無茶な命令はどたまにぶち当たらないと弾かれるからねー、だから撤退を命令させておいたんだ、正直まだリサちゃんは使い道あるからねー」

いやらしく笑いながら、エリナは走り続ける。

それに納得した4thも後に続く。


「で、誰がどう大変なんだ?」

「5thちゃんと9thが1stの阿呆を殺しに行ってもらってる」

さらっとそんなことを答える。


「はは、やっぱりあんたはやるときゃやると思っていたぜ!」

上機嫌に笑い返す4th。

「やらなきゃやられるからねー、っま、しょうがないところはあるよ」

どこか他人事のように言いつつ、二人を向かわせた方向へ走っていく。




―――★―――




「っとぉ……!」

危ない、危ない……。

透明でも山勘で当てに来るんだから、やっぱり1stは強いな……。

対して、あの二人……電撃マンはいい動きするけど、あの重機マンはあまり積極的じゃない……。


はっきり言えば重機マンは隙を突けば一口でパクリといけるけど……今は1stだけに集中しなきゃ。

なんてったって命令だからねぇ、好きなだけ暴れられないのは困る。

困るけど……今は助かるなぁ。


積極的に暴れなくても攻撃できて、二人の攻撃の隙間を突けばいいんだから。

波状攻撃? だっけ?

まあ、間髪入れず攻撃できるってのはでかいよねぇ。


「……そぉれ、金蠍銀蛇バッドステイタス……っとぉ」

ボディボディ、ボディブローに徹しますよぅ。

んで、漁夫の利……我ながら名案だね、こりゃ。


……ん?

「ッ!」

「っちぃ! もう来たのかっ!」

おっと、5thの到着…………っは!


「閃いたぁっ!」

こりゃ、愉快になるねぇ!


七色の大罪クリア・シンっ!」

「ッ、ッ!? ……ッ、ッ!」

おっと、うまくいったみたいだ。

これで透明人間が二人……かき回すぞぉ!




―――★―――




「……っ……」

顔を歪ませながら、身を捩る。

「しまったな……血、出しすぎた……」

青い顔で、トーキは呻く。


その顔を見て、リサは抱きかかえていたトーキの体を木にもたれかけさせる。

「手、出して」

「…………」

ゆっくりと、力なく差し出す。


リサはその手を握ると、腕から腕へ竜がすべてトーキの体に移っていく。

「回復力? 治癒力? が、多分、上がると思うから……気休めでも……」

「……いや、助かった……」

トーキの言葉通り、傷からあふれ出す血が固まりはじめる。


「木を目指すのは、少し休んでからにしよう……疲れた」

目を瞑りながらトーキがそう提案し、リサも頷く。

「そうだね……あ、それで……」

目を移し、ソレを手に持つ。


「これが、戦利品?」

分厚い刃を持つ剣を掲げ、そう訊ねる。

「へぇ、悪意が……」

「…………」


興味深く観察し能力をみるリサに、トーキは思いついたようにポケットを漁る。

「なあ、リサ……これ、使えるか?」

差し出したのはトーキのITEMだ。


「んー? ……んー、駄目だね、なんでだろ?」

不思議そうに首をかしげ、リサはトーキにITEMを返す。

「……ああ、そうだな……」

ナイフをポケットにしまいながら、トーキは少しだけ笑う。




―――★―――




水の鞭は、二人を近づけまいと言う意思を持ち、敵を攻撃し続ける。

「……5th、そろそろ回復できるはずだが…………っち!」

違和感を感じた1stは、矢鱈滅多らに鞭を振るう。


「手応え……くそ、やっぱりか!」

舌打ちしながら、さらに激しく辺りを攻撃する。

……そこで、二点……不自然に鞭が弾かれている地点がある。


「9th……他人も消すとは……面倒だな」

舌打ちをしつつ、目の前の二人を攻撃しつつ弾かれた地点を攻撃する。

「手前にいるのは、くそ……5thの方か……」

顔を歪ませながら悪態を吐く1stだが……。


「いくぜぇぇぇ! 舞い踊る雷デスハート・デッドビートォォォ!」


その隙を突き、ティアゴの雷が水の鞭を伝い攻撃する。

「っち! 邪魔だ!」

攻撃された鞭を体から切り離し、電気を地面に逃がそうとする。


「隙あり!」

一本鞭が減った瞬間を突き、シマのドリルが迫る。

「……釣られたか、馬鹿が」

1stの体から、また水の鞭が……いや。


それは鞭ではなく、槍の様に鋭く一直線にシマの体を狙う。

「いっ!? うわっとぉ!?」

ドリルを前に突き出し盾にし、水の勢いでそのまま後ろに飛ばされる。


体勢を立て直しつつ、ティアゴに駆け寄る。

「……気付いた?」

「水が不自然に弾かれたりぶつかったりしてるな……透明女が増えたか?」

「だね、透明になるんじゃなくて……透明にできる、って考えたほうが良さそうだ」


その言葉に、ティアゴは深く頷く。

「ああ……自由自在、ってわけだ……っとぉ!?」

眼前を水の鞭がかすり、間抜けな声を上げるシマ。


「とにかく、あの二人の位置も頭に入れねぇとな……ああ、くそ、めんどくせぇ!」

そう言い捨てて、ティアゴは雷を放ち牽制する。

「なぁ! 固まって二人で行けばなんとかなるんじゃねえか!?」

その提案に、少しだけ間を置き。


「……いや、固まるのは良いとして……どう巻き込まれるかわからない、一歩下がってこのままやりすごそう……あの透明の子……明らかにITEMを複数個持っている……手札が見えないのにあの男とやりあうのは不安だ」

その提案に、ティアゴは素早く頷く。

「賛成だ! 適当にやり過ごそう!」

襲い掛かる鞭を弾きながら、シマの元へ駆け寄る。




―――★―――




ふと、リサの視線が移動する。

「……な、なんだありゃ」

目をむき、仰天するリサにトーキも釣られて確認する。


「煙……?」

「うん、でも……なんか、変だよね?」

彼女の言う通り、その煙のようなものは……薄い桃色で、奥の方はなにがあるのか分からない。


「……リサ、手を離すなよ……シール、いつでもお前に返せるようにしておく」

強く手を握り、まだ傷が塞がりきっていないながらもトーキは臨戦態勢に移る。


「ッ! リサ、まだいる!」

変な煙とは正反対から聞こえた物音に、トーキは振り返り警戒する。


「あぁ? ……ったく、はぐれやがって……」

反対から現れたのは、黒いコートを着た強面の男と……やや遅れてハンチング帽を被った男が現れる。

「いやぁ、君がはぐれたんだと思うんだけど……おや?」

その二人も、煙の前に誰かがいるのを発見し立ち止まる。


「……誰だ、てめえら」

「お友達、って訳ではなさそうだけど……どーするのさ、リーダー」

ハンチングの少年の声に応える様に、煙の中から別の少年が現れる。


「……こんにちわ……僕の名前は伊坂 久司郎……敵意が無いなら、武器を地面に置いてください」

腰に帯刀していた刀(彼のITEMである『日緋色金(Sunlight)』)を抜きながら、久司郎と名乗った少年はそう警告する。


「リサ……」

「……うん」

未だに万全とは言い切れないが、二人は更に警戒を強める。

……少なく見積もっても、後ろの二人に刀の少年と煙を操る人物……数で言えばかなり不利だ。

そんな一触即発の中、真っ先に動いたのは……。


「捨てねぇってこたぁ、ぶっ殺しても良い訳だよなぁ、おい」

凶暴な顔で、コートの男……ザンは距離を詰めてくる。

「……ッ!」

迎え撃つようにリサが拳を握ると、ザンの笑みは更に凶悪なものになる。



「だめぇっ!」



突然、ザンがそんな事を口走る。

……いや、正確に言えばザンからではあるが。ザンの声ではなく、どちらかといえば腹部の辺りから幼い少女の声が聞こえる。

「……っ!?」


その場で一番驚いているのは、当の本人、ザンである。

「ま、まてよリンジィ……明らかに敵だろ……」

「っもう! 分からず屋!」

その声と共に、コートから飛び出してきたのは……まだ十にもなっていいないような小さな少女だ。


「ザンはそんな事しちゃ駄目! 仲良くしなさい!」

リサを庇う様に手を広げながら、大きな目に強い意志を燃やす少女がザンを叱責し続ける。

「……リンジィ、あまりザンを虐めないでください。彼も君を守るために攻撃的になっているんです」

宥めるように、久司郎がそうトーキ越しにリンジィに話しかける。


「……ねえ、お姉ちゃん達は悪い人?」

訊ねてきたリンジィに対し、二人は目配せしあう。


(話に乗ってやり過ごそう、多分だが巨樹の一味ではなさそうだし……それに今の俺じゃあ満足に戦えない)

(賛成、それじゃあ私に合わせてね)

リンジィに向き直り。


「悪い人じゃないよ? 私達は逸れた友達を探しているんだ」

「お友達?」

「うん、きっと困ってると思うし……それに私は、生き残りさえすればいいからね! 平和なお姉ちゃんだよ!」

胸を張り、そう説明する。


「……ザン、巨樹はどうでした?」

「誰もいなくなっていた……それに、この辺りの地形はピーターが覚えた」

指で指しながら、ザンはぶっきらぼうに答える。

「ではリンジィ、僕とピーターが彼らのお友達を探すので、マリアとザンをつれてヨシヤのところに戻ってください」

久司郎の言葉に、リンジィは強く頷く。


「わかった! じゃあザン、いこっ!」

そう行って、リンジィはザンの手をとり桃色の煙の中へ入っていく。

「……それじゃあ、そちらの友達を探しましょうか」

納刀しながら、久司郎は森の中を歩いていく。


(……どうする、リサ)

小声で、警戒したままのトーキに対し・・・。

(うーん……お言葉に甘えない?)

軽い態度で、リサは久司郎の後についていく。


「……っく……」

能天気なリサの言動にこめかみを押さえながらもそのリサの後をトーキも歩き出す。

「マイペースな相方だと気苦労が耐えないねぇ、あはは」

そんなトーキの肩を叩きながら、ピーターは久司郎の隣にかけよる。





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