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後悔しているから、僕は全部殺す。  作者: 鬼羅
1日目、遊戯開戦。
18/39

水面に踊る、舞い歌う。




「まっず……」

立ち上がりながら、体を伸ばす。

「何が起きたのかはわかんないけど……」

柔軟を終え、わざとらしく深刻そうな顔をする。


「一撃で消されちゃった……こりゃ、3rdさんと4thさんに頑張ってもらうしかないかな」

「……消されたのか」

奥から、1stが呼びかける。

「んー、ごめんねー」

軽い口調で、頭を下げる。


「ばれたか?」

「わかんない……あー、でも多分ばれてないよ、一番近くだからぶん殴られただけだと思う」

「……不幸中の幸いか……インターバルは?」

「いやぁ……日も出てないし、晴れるまで駄目だね」

肩をすくめ、苦笑を浮かべる。


「一応エリナ……2ndのところにいけ、何かあったら死んでも守れ」

そう言い、外へと歩き出す。

「……出るの?」

「ああ……預かっておけ……おっと」

何か思いついたのか、振り返り。


「1stとして命令する『ITEMの破壊をおよび他者に奪われることを禁ず』……」

その言葉を発した瞬間、5thの体に激しい重圧がかかった様に負荷が生じる。

「……ッ……りょー、かい」

「行ってくる……」

両手に何かを携え、大樹の中から森へ出る。




―――★―――




「リサ、ステルス女は?」

「取り逃がしちゃった……多分、この雨はステルス女のITEMだと思う」

そう聞き、少しだけ渋面を浮かべながらも。

「助かった、流石に三人がかりは死んでたと思う……」

素直に、感謝を告げる。


「えへへ、そっか……ん?」

相対する敵を見て、違和感を感じる。

「……女が一人消えたな……」

「だね……瞬間移動?」

さあ、と肩をすくませる。


「っち、面倒な……後ろに気を付けろリサ、一応な」

「OKトーキ」

拳を構えながら、敵を見定める。

「リサ、耳を貸せ……一人ITEMの情報を教える」

傍により、相手を睨みながら小声で伝える。


「……うん、オッケー……トーキはどっち行く?」

「俺はあの眼鏡に行く、リサは残りを抑えておけ」

首肯し、そして走り出す。


「うっりゃぁぁぁあああああ!!」

「っち! 来いよイノシシ女!」

銃を構え、リサの突撃に応じる。




―――★―――




「―――舞い歌う雷デスハート・デッドビートォォォォォ!!!」

白霧の中を、青白い閃光が切り裂く。

根の様にティエゴを中心に広がり、霧の中の者に雷撃を浴びせる。


「っが―――!?」

「ぐ……ッ!」

より近かった男……霧を生み出した者をより激しく襲う。

「が、ぐおぉ……誰だァ、テメェ……ッ!」

「どけ霧野郎! 邪魔だこの野郎!」

視界の効かない霧の中、まだ見ぬ、そしているはずの敵に叫ぶ。


(……誰だ……いや、それよりも……攻めるにしろ退くにしろ、今は好機だ)

やや離れた所にいた彼は、素早く立ち直る。

(リーダー? お迎えよん)

そんな囁きと、微かな甘い芳香。


(マリア……ちょうど良かった、離脱しましょう)

(オッケェ、今はちょいと軽めの成分だから、入っても良いわよぅ)

その言葉と共に、細い手に引かれ霧から離脱する。


「おらおらおらぁぁぁ!! 来いや霧野郎!」

「ってっめぇぇぇ……ッ! バチバチさせりゃぁ勝てると持ってんのかぁぁ!?」

その言葉に、ふんぞり返りながら笑う。


「俺が負けると思ってんのか!」

「なめんなよてめぇぇ! 俺が霧の中で負けるとでも思ってんのかぁ!?」

……少しだけ、霧の濃度が低くなる。

「っは! 小細工なんて関係ないねぇ! 舞い歌う雷デスハート・デッドビート!!!」

不敵に笑い、再び電撃を体から放つ。


……が。

そのまま、あらぬ方向に電撃は逸らされる。

「……な……!?」

「お前、雷がどの方向に進むか知らねえだろ……ははは! 無様だなおい!」

電撃が走ったのは、より霧の濃度が濃い場所だった。


「嬲り殺してやんよ……電撃馬鹿」

「こ、小癪な手を……!」




―――★―――




「……おや、こりゃ酷い」

目の前の惨状に、ピーターは愉快そうに笑う。

「ああ? ……マジでひでぇな」

同様に、遅れてザンも眉をしかめる。


「ドロドロだぁ、あはは」

「笑い事じゃあねえよ……」

その場一帯は泥化され、周囲は混沌と化していた。

「……駄目だこりゃ、底なしってまではいかないけど……入ったら出られる粘度じゃあないね」

「っち、遠回りかよ」

そう言い、歩き出そうとする。


「ちょいまち」

「あん?」

ザンを呼び止め、少し考える。

「ちょっと観察したんだけど……この泥、まっすぐ進んでるっぽいんだ」

「で?」

イラついた顔で、用件を尋ねる。

「だからさ……巨樹に向かったのか、巨樹から歩き出したかのどっちかなんだよね、この泥」

そう言われ、ザンも観察を試みる。


……確かに、ピーターの言う通り泥は川の様に一直線に伸びていた。

「じゃあ、二分の一でこれの原因に当たるわけか」

「確証はないよ? 進んだ軌道じゃなくて……こう、泥になれビーム! って感じなのかもしれないけどね」


「……あー……っち」

合点がいったような顔をした後、心底嫌そうに顔を歪める。

「なんだよ、その顔」

「頭の悪そうな説明で理解できたのがすっげぇ自己嫌悪してる」

「あはは、酷いなぁ、あはは」




―――★―――




「ん、お帰りー」

「はい、ただい―――っま!?」

熱い抱擁で、エリナは5thを迎える。

「……なるほっどねぇ……」

そのまま額同士を当てながら、薄く笑う。


「混沌としてるねぇ……上から見てたけど、結構入り乱れてるよ」

愉快そうに笑う。

「とりあえず4thと3thには自然な感じで抜けて貰おうかなぁ……」

「そうですね」

うんうんと、エリナの意見を首肯する。

「……あ、そうだ」


何か良い事―――表情はとても悪いが―――を思いついたのか、口を歪ませ笑う。

「単語帳、貸して」

「はい」

あっさりと、1stから託されたITEMを渡す。

「んふふふふふ、これでアイツの心臓を鷲掴んだも同然だねぇ……んふふふ」

愉快そうに笑いながら、巨樹を降りだす。


「……どこへ?」

「ちょっと、お出迎え」

鼻歌でも歌いそうな勢いで、根本の穴から巨樹の外に出る。

「やあ、一番乗りおめでとう!」

腕を広げ、彼女は面白そうに微笑む。


「はい、拍手ー」

その声と共に、5thが手を一生懸命叩く。

「ふふ、ちょぉっと、認識を変えた方が良いかもね」

口が弧を描くほど吊り上がり、心の底から嬉しそうに笑い、現れた人影を迎える。




―――★―――




「う、お、おおお!!」

リサの速度に追いつけず、銃を乱射するもののリサに狙いをつけられない。

「ちぃぃぃ!!」

「遅い遅い!」

翻弄し続けるリサにされるがままに、傷一つ与えられないまま弾丸を打ち続ける。


「おっりゃぁ!」

「ぐおぉ!?」

蹴りをマトモにくらい、そのまま吹き飛ばされかける。

「こ、の……馬鹿力女がぁ……!」

「ほめ言葉だね!」


一気に距離を詰め、リボルバーを持つ右手を強く掴み銃の方向を変える。

「いでで!? いだだだだ! 離せ!」

折るほどの勢いで掴まれ、4thは苦悶の表情を浮かべる。


「―――リサッ!」

「ッッ!」

突然のトーキの声に、リサはその場から離れる。

「……まだ戦えますか?」

「っつ……おう、まだ握れる」

3rdが4thの状態を確認すると、敵であるトーキ達を警戒する。


「すまん、攻め続けられなかった」

「しょーがないよ、私も無事なんだし……今度も同じ様に行くよ!」

「ああ、わかった」




「気ぃつけろ、あの女……多分かなりの肉体強化持ってやがる」

「……ええ、そのようです。僕とは相性が悪い……任せられますか?」

「任せな」

銃を構えながら、不適に笑う。


「……それでだが……さほど強化の方は警戒しなくてもいい」

視線を、痣ができた腕に移す。

「握られた時はマジで折られるか千切られるかと思ったが、そんな事も無かった」

右手の握力を確認しながら、ニヤッと笑う。


「5thを殴ったときは……多分助走のお陰だろうな。我慢できる程度だから我慢しろ」

「……そう、ですか」

小さく頷き、3rdと5htはお互いに距離をとる。




「これ、使って」

リサがそう呟くと、トーキの手を少しだけ握る。

「……二匹あげるから」

袖口から、二匹の竜のタトゥーがリサからトーキに移る。

「良いのか……?」

相手に気づかれない様に、小さい声で訊ねる。


「良いよ、これなら勝てるでしょ?」

「……ああ、勝つぞ」

覚悟を決めたように頷く。

「敵が動いた……銃の方は任せるぞ」

「オッケー、頑張ってね!」

勢いよく地面を蹴り、弧を描くようにリサはトーキから離れる。


丁度二人の位置が敵を挟むように前後に分かれる。

「……そろそろ決めるか、もうお前の顔も見飽きたんでな」

ナイフのメモリを確認し、刃を作る。

「ええ、同意見ですね……」

応える様に、西洋剣を構える。





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