栄光と決闘の剣、そして血の刃。
「ティアゴ、一度接近して情報を」
「おぅけー!」
体は青白い電光に包まれ、二人の襲撃者に向かい走り出す。
「避けろ!」
「ッ!」
拳銃を持った男が仲間に声を掛ける。
「おっせっぇよう!」
しかし、二人の回避よりも早くティアゴの掌底が二人を襲う。
「ぐぁっ!」
「ッ!」
二人が体勢を立て直す前に、シマへと走り出す。
「……おかしい」
開口一番、そうティアゴが切り出してくる。
「どういう事だい?」
「名前だ……4thと5thってなってやがった……」
その言葉に、シマは眉を顰める。
「……それは、おかしいね……能力の方は?」
「女の方……5thは分からなかったが、拳銃の方は銃の種類を―――っとぉ!?」
「そう簡単に喋らせると思うなっ!」
遮る様に発砲し、二人を威嚇する。
「……感覚で分かるタイプだ!」
「アバウトだなぁ! もう!」
大声で愚痴を吐き、戦闘態勢に入る。
「おいで! ミンチ!」
「ワンッ!」
シマがそう叫ぶと、トイプードルが走り寄ってくる。
「精肉屋の懐事情ッ!」
その声と共に、ミンチの体から掘削機の様な武器が二本現れる。
「……さて、と……」
右手にはドリル、左手にバケットホイールを模した物を振るい感触を確かめる。
「行ける!」
「いっつ見ても物騒だぜぇ!」
「茶化さないでくれるか、なぁッ!」
一振りで、樹木が粉々に粉砕される。
「ッ!」
「……絶対にあれは避けろ、良いな!」
「ッ!」
シマのITEMの威力を見て、2人は警戒を強くする。
「余所見厳禁だぜぇぇッ! 舞い歌う雷ォォ!」
「ちっ! この男は俺がやる!」
雷を纏ったティアゴに、男が銃を構える。
「食らえっ!」
構えられた拳銃から、マシンガンの様に弾丸が放たれる。
「そう言う銃ってのは分かってんだよぉ!」
右手から電撃を放ち、目の前にバリアを張る。
電撃のバリアに弾丸は触れた瞬間蒸発し、ティアゴの身を守る。
「ッ!」
背後の戦闘には介入せず、単身ティアゴに突撃する。
「う、おっと……」
ドリルでその突撃をいなすが、そのまま後方に飛ばされる。
「なんだ、今の攻撃……見えない……」
そう、ドリルは回転していたにもかかわらず……突撃してきた彼女には手傷は一切ない。
「ああ、くそ……厄介な相手だな……まったく」
―――★―――
「くそ! 厄介な! 相手、だな! 鬱陶しい!」
青天から適当に刀の刃と柄を作り上げ、それを振るいながら叫ぶ。
「っふ、貴方は……少しうるさいですね……」
「ぐッ!? ……っちぃ!」
また刀が叩き折られ、地面に落とされた瞬間元の血に戻る。
次の攻撃が来る前に、また内部に溜めた血で刃を作り上げる。
「……彼女たちは……どうなっているでしょうね……ッ!」
「心配か……?」
「いいえ、ちっとも!」
軽口を言いながら、3rdの斬撃がトーキの肩を切り裂く。
―――決闘を、そして二人に栄光を
―――刃物型 所有者、3rd
―――相手の悪意を感じ取り、その度に所有者の肉体が強化されていく。
―――また、逆に自分の悪意で相手を強化し続ける。
「……っは、辛いな! 刃物型は!」
「情報を読み取りましたか……ですが、問題! ありません!」
西洋剣を振るいながら、眼鏡の位置を治す。
(……さて……考察だ……確かに、コイツの腕力は言われてみれば高い……)
冷静に分析しながら、刃を消しシールドを作り出す。
「っ! 多機能ですね!」
「…………」
その言葉を聞き流しながら、深く思考を巡らせる。
(試しに防御に専念してみたが……目に見えて攻撃力が下がったな……)
冷静に、相手のITEMを分析する。
(これでさほど怖くはなくなったが、さて……どう倒すか……)
思いついた方法を少しづつ検証していき、相手の攻撃を盾で受け流し続ける。
(今までアイツらが傷つくたびに血を蓄えてきて、今はだいたい178……刃が一本17ほど……よし)
盾を解除し、三度刃を作る。
「同じ手を……っ!?」
「同じだと思うか? 馬鹿がっ!」
メーターから引かれた数値は27……先程容易く砕かれた刃と質量が段違いであった。
(……やはり、少し重いな……だが、これならっ!)
「なっ!?」
一転して、トーキが3rdを圧倒し始める。
トーキの攻撃による傷は無いが、それでも勢いは完全に移った。
「な、なぜだ!?」
「少しは頭をつかったらどうだっ!」
そう返し、トーキは先程と同じように引き気味に戦う。
3rdの攻撃を受けに専念し、隙を突き攻撃を挟む。
徐々に戦況の拮抗に業を煮やした3rdは攻撃を繰り返す。
……戦意と言う悪意を無意識に募らせながら。
「……大丈夫だろうな、リサは……っ!」
―――★―――
「ああぁあぁぁぁぁあぁっ! もうっっっ!」
「そこかぁぁぁぁっっ!!」
今までにない、五枚を張ったリサは透明な9thを圧倒する。
倍の倍の倍の倍の倍。
およそ常人の36倍の身体能力で、目に見えない敵を視覚以外で捉える。
身体能力は既に人の限界を軽く超え。感覚器官もすべてが現界を上回る。
「逃げんなぁぁぁ!!」
「っちぃ! あっちの男子の方が良かったかなぁ!?」
透明なまま、周囲を泥に変えるが……。
「おっそいっ!」
既にリサはそこを通過し、再びの接近を許す。
(不味い……不味いわこれは……)
滝の様な汗を掻き、なおも冷静な思考で窮地を抜け出す術を考える。
(無識界の泥化も届かない……白く淡くもこんな懐に入られちゃ無意味……だったら!)
首飾りを触りながら、口角を吊り上げる。
「金蝎銀蛇ッッ!」
「ッ!? う、ぉぉ?」
そう叫ぶと、リサの動きは若干遅れ始める。
(これを受けてまだ動くのッ!? これだから常識の通じない奴は嫌いなのよ! 少しは止まったらどうなの!?)
「こ、のてい、どぉぉぉぉぉ!!」
三者三様の戦場を送り、次第に全ての戦場が終わりに近づく。
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