淡い貴方は、白々しい。
「……なあ」
不意に、トーキが前を歩く3人に話しかける。
「なぁに? どうかしたのトーキ」
「お腹壊したか?」
3人は立ち止まり、振り返る。
「ええっと……俺達は一応あの目立つ巨大樹を目指して歩いている訳だ」
2日間ね、とシマが補足する。
「そう、2日間……あの木、どう見てもでかくなっている」
そうトーキが言うと、3人とも肩を落とす。
「何で言うんだよーーー!!」
「考えないようにしてたのにぃぃぃ!」
「はぁ……厄介だね、面倒だよ……」
それぞれに落胆した様子を見せ、座り込んだり木に寄りかかったりする。
「事実だろ、で? どうする?」
まったく悪びれず、3人に意見を仰ぐ。
「……いや、行こう……あの高さなら、周りの地理に関する情報は十分得られる」
シマの意見に、3人は賛成の意を表す。
「ITEMだよねぇ、やだなぁ……私痛いの嫌だよ……」
「俺なんかまだケツ痛いんだが……」
前回の戦闘に参加したリサとティエゴがそれぞれ愚痴をこぼす。
「ほら、行くぞ……流石に戦闘機みたいなのは変わり種だと思うしな」
「そうそう! 次は僕らも戦うからさ!」
励ます様にシマとトーキがへこたれている二人に言う。
―――★―――
「……それで、被害は?」
眼鏡をかけた青年が、黒髪の青年に報告する。
「はい、1st様……6thから8thまでが死亡……それ以外の者も負傷」
その報告に黒髪の青年……バオシィは、頭を抱える。
「っち、無能どもが……六人がかりで、何故こうも被害を出す……馬鹿共め……」
あからさまに不快感を表しす。
「……落ち着いてください、1st様……」
「そーだそーだ、落ち着けハゲェ」
「ああ! わかったよエリナ!」
急に笑顔になるバオシィ、それとは逆にとんでもなく顔を歪ませるエリナ。
「私の名前呼ぶなハゲ」
毒を吐き、椅子から立ち上がる。
「へい3rd、行こうよあのステルス女の所にさ」
「……はい、わかりました」
3rdと呼ばれた青年を引き連れ、エリナはその場から立ち去る。
「…………つれないな、エリナ……ああ、いや……2ndと呼ぶべきか……?」
取り残されたバオシィは、肩をすくめ苦笑いをこぼす。
―――★―――
「……おー……?」
立ち上がろうとしたティアゴが、素っ頓狂な声を上げる。
「…………んん?」
続いてリサが、そして残りの二人も同じようにある一点を見る。
大樹が、伸びている。
上に、上に、ひたすら上に。
摩天楼を彷彿とさせる急成長を遂げる。
「……ITEMだろうな、木がそうなのかは知らんが……」
再び出たトーキの言葉に、今度はシマも膝を折る。
「行くぞ、行く理由が増えた」
早速大樹に向かうトーキに、三人はため息を溢す。
「人造人間かなにかか、アイツ」
「鬼の子だよ、ダミアン少年だ」
「まあ、うん……スパルタだよね」
コソコソと、それぞれにトーキの悪口を言い合う。
「……っと、動くな」
同行者達の悪口を無視し、三人に静止を促す。
「敵だ」
―――★―――
「……お目覚めの気分はどう?」
「良くはない……あらぁ? あなたこの前の……」
ええ、っとぉ確か……弓使いの……。
「今は2ndで通しているの、それで貴方は9thね」
……何言っているのかしら……私の名前は……。
「……っ?」
「言えないでしょ、名前……あの単語帳にぜーんぶもってかれちゃったからねぇ」
は?
「どうして、そうなったの?」
「脳天に堕天矢ぶち込んで、しかもあの単語帳も使う……認めたくないけど、相性ばつぐーん!」
……つまり……。
「戦闘人形、9thちゃん! 爆誕ねっ!」
ああ、最悪……。
「目覚めがこうも最悪なのは、生まれて初めてだわ……」
「死んでから、じゃない? さって、じゃあ最初のミッション!」
……憎たらしいほどハイテンションね……。
「私たちの秘密基地である『大樹』を餌に、参加者を集めています! その釣果どもをぶち殺しまくりまっしょう!」
「私好みのイカレた作戦ね、嬉しくて泣きそうだわ」
……どうせ逆らえなさそうだし……やるしかなさそうだわ……。
「ついでに何人かとっ捕まえて、拉致って、洗脳すれば補充できるでしょ」
「下種が……」
「人殺しが、なぁに言ってんのさ」
そう不愉快な笑みを浮かべながら、ひらひらと手を振る。
―――★―――
「―――走れ!」
トーキのその言葉に、一瞬の逡巡ののち、他の三人も走り出す。
「……リサか」
「っまね!」
そばに来た仲間を確認し、そのまま森を走っていく。
「……アイツらに三人くらいついて行ってくれれば楽だな……」
「えー、それは無いんじゃない? あはは」
軽口を言い合いながら、開けた場所で向き直る。
「…………はじめまして、こんにちわ……私の名は3rd、とお呼びください」
眼鏡をかけ、金髪の髪を整えた青年がそこにはいた。
「一対二……なると、向こうは二対二か……」
「なぁんだ! こっちは楽でいいね!」
あはははは、とリサが快活に笑う。
「……っふ」
それを鼻で笑い、西洋剣を構える。
「行きましょうか……」
不敵に笑いながら、剣を抜く。
「かかってこい!」
「……油断するなよ」
お互いに十分警戒しながら、距離を詰める。
「そぉぉねぇぇぇ! あっはっはっはっはっは!」
「―――ッ!?」
「きゃっ!?」
背後からの襲撃を受け、2人は体制を崩す。
「もう、一人だと……!?」
「そぉよぅ? 私は9thちゃん! 以後よろしく!」
何もない空間から、ケラケラと笑い声が響く。
「……やばそーだね、トーキ」
「ああ……気を引き締めろよ、リサ」
「うん!」
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