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男と女って同じ人間だけど、お互いに異星人だよね?  作者: poruru
第1章 なぜ動物は男と女に分かれているのだろう?

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〈1・5〉 女性にあって、男性にはないもの

「女性にあって男性にはない機能はなんですか?」

 と聞かれたら、あなたは何と答えるだろうか。たいていの人は、“妊娠して子どもを産める機能”と答えるのではないだろうか。そしてこの機能はものすごく重要なのだ。子どもは、DNAは母親と父親から半分ずつもらっているかもしれないが、その身体は母親の血と肉から出来ている。だから、基本的に子どもは母親の分身だといえる。


 人には、食欲・性欲・睡眠欲という生存と次世代につなげるための基本本能以外に、注目すべき2つの本能(最近は、本能のことを「情動」「生得的モジュール」と呼ぶことが多い)がある。それは「快」の本能と「足跡を残す」という本能だ。

「快」の本能とは、快適、快楽、快調、痛快、心地よいこと、気持ちいいことを体感しようとする欲求だ。これは幸福を追求しようとする原動力でもあるが、悪徳と退廃を生み出す側面もあわせ持っている。孟子が言った性善説の言葉とは意味が異なるが、“川の水は高きから低きに流れる”という現象のように、自らを律しないと旧約聖書に出てくる「ソドムとゴモラ」の街のように退廃や性の堕落の洪水が起きて腐った水の沼で溺れてしまう。

 「足跡を残す」本能とは、じぶんが生きた痕跡を残すことであり、起業して会社をつくる、研究成果を出す、子どもを産み育てる、生きた証として墓を建てる、といったことである。子どもを残せて、運が良ければさらにその先の子孫を半永久的に存続させ、そのことをじぶんの目で見てじぶんの子孫たちだと実感できるのは女性にしかできない。子どもができてもそれが本当にじぶんの子どもであるかどうかは男性には直観的に判別できない。子どもを自らの手で産むのは女性自身であるから、じぶんの子どもだということを実感できるのは女性だけである。だから、女性は生まれながらにして、「足跡を残す本能」を充足させることができる能力を持っている。男性から見ればうらやましい。子どもを残せる能力がないからその代償行為として、男性たちは起業して会社を残そうとしたり、政治家になって国を動かす仕事や研究などの仕事に走っていく。


 ところで子どもを残せる能力というのは、人間だけでなく動物全体にとってもさまざまな能力のうちで最も複雑な仕組みをもつ能力である。胎生のほ乳類に限って見ても、卵管の中で卵子が受精したあと子宮のなかへ受精卵が降りていって、最初の卵の状態から徐々に細胞が増えていく。胎盤のうえで胎児のヘソから出ている太い血管をとおして母親の体から栄養をもらってヒトの形へとなっていく。胎内の赤ちゃんは子宮を含む生殖器官だけで成長していくわけではなく、神経を介した信号と情報を脳と生殖器官のあいだでやりとりしている。生まれつきの性染色体のちがいを除くと、この情報の交信は性腺の分化のちがいによる体の男女のちがいを生み出すほかに、胎内の赤ちゃんの脳に男性ホルモンの一種が大量に浴びせられるアンドロゲンシャワーという現象が起こると赤ちゃんの脳、つまり精神は男の子に、そうでなければ女の子になる。こうしたいっさいのことを一つの母体のなかで行っているのである。男性の生殖器官も脳と交信して、精子をつくるだけでなく体全体に影響を及ぼすホルモンの分泌を行ってはいるが、女性の生殖機能のほうが全体のシステムはずっと複雑である。


 脳と体は、お互いにやり取りしているので、生殖器官の複雑さのちがいは、脳の形成や思考過程にも働きかける。まとめると、男性よりも女性のほうが身体的にも精神的にもずっと複雑であり、矛盾した様相も含めてひとつの心身のなかでひとつの社会を形成しているともいえる。自閉的要素が強い男性たちは自分自身の世界観を持っており、社会に刺激を与えるスタンド・アローン・コンプレックス(個々に独立している集合体。離散的集合体。)としての存在であるが、女性たちこそ社会基盤そのものである。



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