第一部 金剛編 第二章 街道をゆく 第19~24話
『最強のザコ』は、カクヨムで連載している作品です。
カクヨム版はこちら→https://kakuyomu.jp/works/16818792440121150740/episodes/16818792440121414856
小説家になろう版は、カクヨム版にあった暴力描写、性描写をゆるめた全年齢対象作品となっています。
また、一回の投稿で5000文字以上(3~5話分収録)としています。
ストーリーは同じですが、媒体に合わせて描写や文字数を変えているので、読みやすい方を選択ください。
第19話 ゴドウ・キトラ。目を覚ます。
◆
「キトラ、キトラ、目を覚まして」
「ザコくん。行くな。私はあんたを絶対に~」
◆◆
ミチオがキュウタと共にゴドウ国から脱出して3時間後、キトラは目を覚ました。
彼女の前に立っていたのは飛び込んで来たのは手足がひょろ長い長身の男の姿。
髪はアクアマリンのような透き通ったブルー。
天然パーマでマッシュルームカット、目鼻立ちは整っていで、まるで西洋絵画に描かれている天使のようだ。
「ザコくんじゃなくてごめんね。キトラ」
キトラの兄、ゴドウ・ヒョンスは目をキラキラとさせて優しい笑みを浮かべている。
「ヒッヒッヒョン兄ぃ! ~いたたたいたぁ~い」
キトラは起き上がろうとするが、顎にひりひりとした痛みが走る。
「顎、凄い腫れてるよ。骨はたぶん折れてないと思うけど、しばらくはおとなしくしておいた方がいいよ」
キトラは顎を触った。ピリッとしびれるような痛みが走った。
「それにしても、驚いたなぁ。実はユキマサ兄さんも失神してて、同じように顎がすごく腫れてたんだ」
「……」
「たぶん同じ攻撃だと思うけど、キトラはまだしも、ユキマサ兄さんまで倒すなんて……」
キトラは気を失う寸前のことを必死で思い出そうとしていた。
確か強い金剛の気配を追跡している最中だった。
気配を感じた国境では、複数の石獣と金剛使いが戦ったらしき痕跡が残っていた。
その時点で凄腕の金剛使い、もしくは人型石獣が近くにいるとキトラたちは警戒し、その姿を補足するために3人は離散した。
だか実は、キトラは国境で馴染みのある金剛の気配を感じた。
間違いない。
あれはザコくんのものだ。
私はザコくんの家に行った。二階から彼が出てくるのを見つけた。
真夜中なのにザコくんはマントを羽織り、かばんを持ち、どこかに行こうとしていたように見えた。
そこに女が現れた。確かあいつはザコくんといつもいっしょにいるだらしない体をした女だ。
名前はえーと、何だっけ。
庶民の娘なんか興味ないから名前は知らないけど、時々、ザコくんと親しげに話してるのを見てイラッとしたのを覚えている。
もしかして駆け落ち?
でも何で?
会話の声は聞き取れなかったが何やらシリアスな話をしているのは気配でわかった。
数分後、ミチオはだらしない体の女を置いて走り出した。
駆け落ちしようとしたが、途中で女が嫌になったのか?
ザコくんざまぁ。
ああいうクソ女は自分のことが一番でいつもギリギリで裏切るんだ。
ほんと、女を見る目がないところがザコくんだ。
でも一人でどこに行こうとしてるの?
もしかして野良の金剛使いになるためにここを出るいくってこと?
ダメだよ。
アンタはここにいないと。
外の世界はアンタみたいなザコくんがやってけるような甘い世界じゃないんだから。
そう考えたキトラはゴドウ国を出たところでミチオに接触した。
そして彼を止めるために攻撃を仕掛けたが……そこから先は何も覚えていない。
「ユキマサ兄さんをやったのも、ザコくんなのかなぁ?」
「……わかんない」
キトラは何が起きたのかうまく把握できなかった。
ザコくんの攻撃で私はダウンした?
状況証拠だけならそうだけど、ザコくんにそんなことできるわけない。
だってあいつはザコくんなんだから。
キトラは目をつぶりミチオの気配を辿ろうとした。
しかし彼の気配はもうゴドウ国には残っていなかった。
第20話 ザコくん。キュウタと街道をゆく。
◆◆
必死で走った二人は夜明けを迎えると一段落した。
国と国をつなく街道は長く続いており、ミチオは行商の車とすれ違った。
「これからカギュウまで三日ほど歩く」
「うん」
「追手の気配はない。進むぞ」
「うん」
本当は「はい」と言うべきかと思ったが、キュウタはそういった上下関係をあまり気にしないタイプみたいだったので、極力タメ口で話すようにした。
「行くぞ」
キュウタの後を歩きながら、ミチオは周囲を見回していた。
どの景色も初めてみるものだった。
ゴドウ国から離れてしばらくすると、廃墟と化した高層ビルも消え、公道の左右には延々と草原が広がっていた。
辺境の公道を舗装できるほどの余裕は今の人類にはなく、旧世界の建造物は草木によって覆い尽くしていた。
まっすぐに伸びた路の脇では茶屋や宿屋が営業していた。
どれも民家を改装した細々としたもので、とても繁盛しているとは言えなかった。
道から横に外れると草原の向こうに深く茂った森が広がっていた。
更に向こう側には砂漠が広がっているのが見えた。
その世界の広さをミチオは感じ興奮した。
同時にミチオは周囲の金剛を探っていた。
街道周辺の金剛はまばらでゴドウにいる時とあまり変わらなかった。
だが少し外れた森林からは、強い金剛の気配を感じた。
「街道から外れるな。森も空も砂漠も石獣の領域だ」
キュウタの言葉を聞くとミチオは空を見上げた。
姿は見えないが金剛の気配が伝わってくる。
上空には無数の鳥のような石獣がひしめきあっている。
そして森には獣の気配が充満している。
おそらく砂漠にも。
この地球は石獣が支配しており、人間の活動領域はごくわずか。
授業で習ったことをミチオは思い出し、自分がいかにちっぽけで取るに足らない存在なのかをひしひしと感じていた。
◆◆
日が暮れて月が出ると、ミチオとキュウタは火を起こして野宿をすることにした。
「三時間交代で眠る。火は絶やすな」
「うん」
そう言うとキュウタはあっさりと眠ってしまった。
キャンプセットのような上品なものはなかったが季節は春だったため、夜中でも暖かかった。
途中、小さな茶屋を通り過ぎた。そこで水とわずかばかりの食料を購入した。
キュウタは自分から喋ることはほとんどなかった。
ミチオの方から気になったことをいくつか尋ねたが、キュウタの反応は無愛想で機嫌を損ねてはいけないという気持ちから会話はほとんどなくなった。
本当は金剛のことやこれから向かうカギュウ国についていろいろ聞きたかったし、自分のことも知ってもらいたかった。
だが、余計なことは何も話すなという無言の圧のようなものをキュウタから感じ、ミチオは何も言えなかった。
第21話 ザコくん。野犬に襲われる。
◆
真っ暗な中、ミチオは焚き火の炎が消えないように薪をくべていた。
薪は周囲の森で落ちている枝を使用した。真夜中に一人で火を見ていると頭がぼーっとしてくる。
勢いよく飛び出したはいいが、これから自分は金剛使いとしてやっていけるのだろうか? と少し心細くなる。
「交代だ」
キュウタが起きてミチオに話しかける。
「うん。あっ、僕、ちょっとトイレ」
そう言うとミチオは森の方に歩いていった。
草陰に隠れておしっこをするとミチオは一息ついて、ふいに空を見上げた。
無数の星が輝いていてきれいだと思った。
するとこれまで張っていた意識の糸が切れて心が少し軽くなった。
同時にお腹のあたりに柔らかい感触が降りてきた
排便もするべきだろうか。
今までトイレでしか用を足したことがなかったミチオは、外でするなんて恥ずかしいことはできないと一瞬ためらった。
そもそも学校ですら同級生にからかわれるのが嫌で数えるくらいしか大便をしたことはなかった。
しかし、キラキラと輝く星空を見て気持ちが大きくなったのか。すぐさま一気にズボンを降ろし、その場にかがみ込もうとした。
だが、その瞬間、強い金剛の気配を彼は感じた。
◆
ミチオは素早く前方に転がり、起き上がるとすぐに振り返った。
目の前には三匹の野犬がいて、彼のことを睨んでいた。
野犬の皮膚の表面は石の棘のようなもので覆われている。
間違えない。石獣だ。
喰われる。
ミチオはとっさに金剛を発動し、臨戦体勢に入ろうとした。
しかし、即座に犬型石獣が飛びかかってくる。
野犬ならではの変則的な動きに対応できずミチオは翻弄され、膝まで降ろしたズボンで足がもつれて地面に転がる。
そこに三匹が一斉に飛びかかる。
やばい。ぼくはこんな格好で死ぬのか? それはいくらなんでも間抜けすぎる。
嫌だ。そんな間抜けな死に方だけは……。
「絶対に嫌だ!」
そう叫ぶとミチオは即座に〈鈍刀〉を錬成し、地面に倒れたまま、一心不乱に振り回した。
〈鈍刀〉は二匹の犬型に命中した。
だが一匹は攻撃を避けて、ミチオの股間めがけて飛びかかった。
やられる!
「きゃいん!」
しかし、犬型は悲鳴を上げ、吹き飛ばされた。
「大丈夫か?」
そこに立っていたのはキュウタだった。
金剛の気配を察知したキュウタはミチオのもとへ駆けつけた。
「キュウタァ~」
「気をつけろ。糞をしてる時は石獣に狙われやすい」
「それ、早く言ってよ~」
「ふつうわかるだろ」
「わかんないよ!」
ミチオは思わず声を荒げてしまい、しまったと思った。
キュウタはポーカーフェイスで平然としている。
彼が何を考えているのかミチオにはわからなかった。
「とりあえずそれを履け」
そう言われて、ミチオは自分が下半身丸出しで必死に戦っていたことに気づいた。
ミチオは急に自分の現在の姿が恥ずかしくなり、必死でズボンを上げた。
「ごめん。油断したボクが悪いよね」
「一瞬の油断が死につながる。そういう世界だ」
キュウタはボクを見限ったのだろうか?
ミチオは不安になる。
「喰うぞ」
「え?」
◆◆
キュウタは犬型石獣に目をやった。
石獣の体から光の粒が漏れ出し体が消えつつある。
命を落としたことで石獣の体が金剛に分解され、大気中に拡散しつつあった。
「お前が二匹、オレが一匹だ」
「でも……」
「先はまだ長い。腹も膨らむ」
確かにここまでミチオはあまり空腹を感じなかった。
それはこの間倒した狼型石獣の金剛を体内に取り込んだからだったのか。
金剛は栄養価も高いってことなのだろうか?
「オレがまず一匹、喰う。周囲を見張っていろ」
「うん」
待機中に散らばった金剛の光をキュウタは体内に取り込んでいく。
それは喰うというよりは空気といっしょに「吸いこむ」という感じで、食べるという言葉から連想するイメージよりは柔らかいものだった。
だが、金剛化した物体とはいえ、殺した生物の肉体を体内に取り込むということには変わらなかった。
その意味でとても残酷な行為なのだが、同時にどこか神聖で美しい宗教的な儀式を見ているようだともミチオは感じていた。
「次はお前だ」
「うん。でもこいつらピクピクしてるよ」
一心不乱に振り回した〈鈍刀〉にあたって倒れた犬型石獣は気絶しただけで、絶命には至ってなかった。
「とどめを刺せ」
「え。でも……」
ミチオは石獣の姿を改めてじっくり見た。
皮膚の半分は硬質化しており、鍾乳石のようにボコボコと鋭い突起が伸びていた。
硬質化した突起がまばらに生えている野犬の姿は、生物と鉱物の中間と言える存在だった。
普通の動物よりも禍々しく醜いと嫌悪感を抱いたが、その突起がキラキラと光る姿はとても美しいと感じた。
「喰わないのか?」
「……わかったよ」
覚悟を決めてミチオは二匹の犬型石獣の頭に〈鈍刀〉を何度も振り下ろした。
ガシャン
ガシャン
石獣の体は砕け散ると肉片と体液が雲散霧消し、光の粒へと変わっていった。
「ごめんね」
ミチオは咄嗟に目をつぶり手を合わせた。
その姿は食卓で「いただきます」という時の姿と同じだった。
そうか、食事の前の「いただきます」は生物の命を奪って体内に取り込む際に生じる罪悪感を和らげるための行為だったのか、とミチオは思った。
ミチオが空気を吸うと口の中にさっきまで犬型石獣だったものの光の粒が体内に取り込まれていく。
ミチオは体の中が温まり細胞が活発化していくような気配を感じたが、野糞をしたいという気持ちはもう引っ込んでいた。
第22話 ゴドウ・ユキマサ・深い挫折感を味わう。
◆
「私は負けたのか……?」
コザカナ・ミチオとの戦いから2日後、ゴドウ・ユキマサは深い挫折感を味わっていた。
あの時、ユキマサの中に油断する気持ちは一切なかった。確かに彼の意識は次に戦うキシモリ・キュウタへと向かっていたが、だからといって手加減するつもりは全くなかった。
ミチオから感じた金剛の気配は微々たるもので〈手〉の試験で対面した時と大きな変化はなかった。その読みが間違っていたとは思えない。
「キトラも同じ手口でやられたんだ。何か心覚えはある?」
ベッドで寝ているユキマサにヒョンスが話しかける。
「わからない……。私は三摩耶形を顕現させ〈倶利伽羅〉で彼に斬りかかろうとした」
「えっ。もしかしてザコくんに使ったの? 不動黒竜剣」
ヒョンスがドン引きした表情でユキマサを見る。
「取るに足らない存在に対してでも全力を尽くすというのが、私のモットーだ」
「でも、負けちゃったんだね」
「……」
ユキマサは一瞬険しい表情になったが、ヒョンスの無邪気な表情を見ると何も言えなくなった。
真面目で堅物のユキマサと、軽薄でいつもフラフラしているヒョンスは正反対の性格だったが、不思議と馬が合った。
「〈手〉の兄さんがザコくんに負けたなんて知られたら一大事だね」
「……なぁ、ヒョンス。私は本当にあのザコくんに負けたのか?」
そう言うとユキマサは顎を指で触ろうとしたが強い痛みが全身に走った。
「顎の骨は折れてなかったみたいだけど、内出血でかなり腫れてる。鏡見る?」
「いや、いい」
「キトラもショック受けてたよ。年頃の女の子だもんね。顎の形が変わったら大変だ」
ヒョンスは心配しているようで、どこか楽しそうだ。
ユキマサは目をつぶり、あの時のことを反芻した。
どう考えても自分があの男・ザコくんに負けたとは思えなかった。
やはり、ザコくんは囮で、背後にいるあの男がなにか仕組んだのではないだろうか?
ユキマサにはそうとしか思えなかった。
第23話 ゴドウ・ヒョンス。頭を抱える。
どういうことだろう?
ヒョンスはキトラとユキマサの症状を見て頭を抱えていた。
二人がザコくんと戦ったことは間違えない。
そして勝負は一瞬で決着が着き、気がつくと二人は意識を失っていた。
攻撃は顎に一撃。おそらく金剛で錬成した飛び道具による遠距離攻撃だろうか。
キトラの話によるとザコくんは鏃を錬成して飛ばす〈尖弾〉を使えるらしい。
だが〈尖弾〉は、金剛法術の中では基礎中の基礎。金剛を凝縮して飛び道具として放つだけの単純な遠距離攻撃。
一撃あたりのダメージも、そこまで大きくはない。
金剛を知らない一般人ならともかく二人がそんな単純な攻撃にやられたとは思えない。
それに金剛を錬成して発動すれば、そこに必ず気配が生まれる。
キトラもユキマサ兄さんもゴドウ家で英才教育を受けた一流の使い手だ。
金剛の気配を少しでも察知したなら、すぐに警戒して避けることができるはずだ。
しかし攻撃は当たった。だとしたら……。
ヒョンスはいくつか仮説を立てたが、今わかっている情報だけでは憶測の域が出ない。
ユキマサ兄さんの言うように、邪法を使うもうひとりの男――キュウタが裏で何か仕組んだのかもしれない。
「もっと、情報がほしいな」
そう言うとヒョンスはニコリと笑った。
第24話 ザコくん。日の出を見て感動する。
◆
犬型石獣と戦った後、ミチオは仮眠をとり、三時間経ってからキュウタに起こされた。
夜明け前の時間はゆっくりと過ぎていき、やがて太陽が登ってきた。
昨日は慌ただしくて気づかなかったが、東から真っ赤な太陽が空に登っていく姿は壮観で思わず見入ってしまった。
朝日が登る瞬間はゴドウ村にいた時でも見られたが、規則正しい生活を送っていたミチオは一度も見たことがなかった。
仮に村にいた時に同じ光景を見たとしても、単なる朝日だとしか自分は思わなかっただろう。
この朝日は自分にとって全く違うものだ。
そう、ミチオは思った。
「キュウタ、朝だよ」
「……」
「おはよう」
「……おう」
キュウタは不機嫌そうな顔でミチオに挨拶をした。
その後、二人は昨日、茶屋で買った燻製肉と野草を炒めた料理を口にし、持参した歯ブラシで歯を磨き、ミネラルウェーターでうがいをした。
「行くぞ」
そして荷物をまとめると、二人はカギュウめがけて歩き出した。
◆◆
日の出と共に歩き始めた二人は、夕方まで休憩をとらずに一気に歩みを進めていた。
金剛を体内に取り込んだからだろうか。ミチオはお腹が減らないことに驚いた。
長時間歩いているにも関わらず、疲れがない。
これは金剛の力なのか? とミチオは不思議に思った。
荒れ果てた街道を進む中、ミチオとキュウタの間には会話らしい会話はなかった。
そのことにミチオはだんだん耐えられなくなってきた。
だが、うかつになにか質問して、キュウタの機嫌を損ねて試用期間が終わることを考えると、何も言えなかった。
しかしその時は思わず質問してしまった。
「キュウタ、あれは何?」
ミチオの目線の先をキュウタは見た。遥か遠くで巨大な怪鳥と巨人が激しく衝突していた。
巨人は鎧に身を堤、剣を振り回していた。
その姿は神々しく、ミチオは三摩耶形の鎧をまとったゴドウ・ユキマサのことを思い出していた。
「金剛巨神だ」
「ヴァジュラ・プルシャ……」
「あの男が使ってた三摩耶形、覚えてるか?」
「うん」
ゴドウ・ユキマサのことか。とミチオは判断し、うなずいた。
「あれは旧世界で信仰されていた神の力を金剛で実体化したものだ」
「神の……力……」
「神の力は強大すぎる。だからその力の一部しか人間は実体化できない」
「……」
「だが〈手〉の中には神の力を完全に顕現できる者もいて、その最終形態は神そのものを地上に降臨させることができる……」
「それがあの金剛巨神」
「あぁ」
「凄いね。あんな大きな姿になれるんなら、石獣なんて一掃できる」
「だが、戦っている石獣も同じくらいデカい」
「あっ……そうだね」
巨大な鳥と鎧を纏った巨神は激しくつかみ合い、最後に巨神の刃が怪鳥を真っ二つにした。
切り裂かれた鳥の体は光の粒となって雲散霧消し、やがて消えていった。
遠くで起きている出来事ゆえに実感がなく砂漠で見る蜃気楼のようだった。
だが、その姿は神々しく、神話の世界を垣間見たようにミチオは感じた。
周囲を見るとミチオたちと同じように旅人たちがその光景を呆然とした表情で見つめていた。
そして、ある者は拝み、ある者は地面に伏せて頭をこすりつけていた。
「時間がない。行くぞ」
「あっ待ってよ。キュウタ」
地面に頭をこすりつける彼らを避けて、キュウタとミチオは前へ前へと進んでい
掲載は不定期です。




