幕間9 それぞれの夜
今回は、決戦前夜です。
ゆるく読んで頂けると嬉しいです
魔王城突入前日。
結界に護られた野営の中で、アポロは一人眠れずにいた。
不安。高揚。迷い。使命感。
幾つもの感情が胸の内で渦を巻く、感情の坩堝にアポロはいた。
「…眠れ…ないのですか?」
目を覚ました、ティアがアポロに話しかけた。
「…ティアか…うん…ちょっとね…怖いんだ」
ティアには、アポロが笑っているようにも困っているようにも見えた。
「アポロさん…変わりましたね」
「変わった?」
「はい…初めて出会った時は…どこか近寄り難くて…強くて、ちょっと怖かったです。でも今は、こうやって弱さを見せてくれます」
アポロは、少し俯いて呟いた
「…弱さ…か。情けないな…」
ティアは首を振った。
「ううん、違うの。アポロさんが私たちを頼ってくれたんだって。それは弱さじゃない…私はそう思います。」
「ありがとう…ティアの言葉はいつも僕を安心させてくれる…魔法みたいだね」
「私の魔法は、スープの味変だけじゃないんですよ」
ティアは悪戯に笑った。
同じ頃、魔王は自室で一人、思いにふけっていた。
「セイラ…」
コンコンと扉をノックする音で、魔王は我に返った。
「魔王様、悪魔魔道士です。よろしいでしょうか?」
悪魔魔道士は、静かに入室すると、魔王へ状況を報告した。
「そうか…オーガとスライム君は無事か」
「はい。私も安心しました」
「住民も避難は完了しておるのだな?」
「はい、抜かりなく」
魔王は立ち上がり、言った。
「そうか。では、迎えるとしよう」
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