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第40話 エンキとオーガ その1

今回は、エンキとオーガの戦いです。


ゆるく読んで頂けると嬉しいです

エンキは、呟いた。


エンキ

「アポロ…あいつは俺にやらせてくれ」


アポロの表情が、わずかに固まった。


アポロ

「エンキ…奴が?」


エンキ

「ああ」


アポロ

「そうか…わかった」


ティア

「アポロ!危険です!一人でなんて!」


シグリ

「そうよ!」


アポロ

「…やらせてやってくれ。危なくなったら加勢に入るよ」


気がつけば、アポロ達の前に温羅が立ちはだかっていた。


温羅

「舐められたものだな」


エンキ

「そういうわけじゃないさ…やろうか」


温羅

「…」


二人は短く言葉を交わした。

それだけで、もう十分だった。


エンキが腰を落とし、剣を構える。


その構えを見た瞬間、温羅の剣先がわずかに揺れた。


違和感。

いや、既視感。


次の瞬間、乾いた金属音が響いた。


エンキ

「舐めてるのは、お前じゃないか?」


温羅

「…お前、その構えは?」


エンキ

「俺に勝ったら、教えてやるよ」


温羅の剣が跳ね上がった。

エンキの刃を鋭く弾き、火花が宙に散る。

その反動を殺さぬまま、温羅は半歩退いた。


温羅

「減らず口を」


エンキ

「はは」


殺伐とした殺し合いのはずだった。

しかし、温羅はどこか懐かしさを覚えていた。


温羅

「すぐ終わらせてやる」


温羅の足元で風が渦を巻いた。

それがふっと消えた瞬間、無数の剣閃が、エンキへ襲いかかった。


少しでも気を緩めれば、一瞬で細切れになるほどの苛烈さ。

エンキはその一振り、一振りを綱渡りのように防いでいった。


ティア

「…すごい」


シグリ

「…うん…でも、なんか会話してるみたいに見える…何か確かめあっているような…」


アポロ

「…父親…」


エンキへ降り注いでいた鉄の雨は、次第にその勢いを失っていった。


温羅

「お前がはじめてだよ。私の剣を捌き切ったのは」


エンキ

「一撃、掠っちまったがな…」


裂けた衣の隙間から、エンキの胸元が覗いた。

そこに刻まれていた紋様を見て、温羅の動きが止まった。


温羅

「…お前?それは」


エンキ

「…久しぶりだな…オヤジ」


温羅

「エンキ…なのか?何故…エンキは死んだはずじゃ…人間に殺されて」


その問いに、エンキはすぐには答えなかった。

ただ、風だけが二人の間を抜けていく。


少し離れた場所で、『おいでやす魔領域最東端の地』と書かれた看板が静かに佇んでいた。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます



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