第39話 おいでやす魔領域
勇者達が魔領域に突入しました。
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人間領と魔領域の境には、薄い靄のようなものが漂っていた。
それは霧にも見えたが、ただの霧ではない。
人間領から魔領域へ踏み込もうとする者を、拒絶する力がそこにはあった。
アポロ
「ティア、頼む」
ティア
「はい………うーっはー」
次の瞬間、柔らかい光がアポロたちを包んだ。
ティア
「さぁ、行きましょう」
エンキ
「…その掛け声…やっぱ締まらないな」
ティア
「うるさいです」
アポロ
「僕は好きだよ」
ティア
「あ、ありがとうございます。さ、加護も長くは持ちません。早く進まないと」
魔領域へ踏み入る緊張感はみられなかった。
だがそれは、魔領域へ踏み入る不安が、緊張をも鈍くさせていることに、本人たちも気がついていなかった。
その靄は、まとわりつくように冷たく、体の動きを鈍くさせた。
エンキ
「加護がなきゃ、耐えられないな」
シグリ
「寒いし、重いー」
アポロ
「弱音を言えるなら、まだ大丈夫さ。進むよ」
ティア
「はい」
エンキ
「うへー」
気がつくと、靄は消え身体は軽くなっていた。
エンキ
「抜けたのか?」
アポロ
「そのようだね」
シグリ
「しんどかったー」
ティア
「はふー」
アポロ
「ティアお疲れ様」
ティア
「い、いえ。とんでもない」
エンキ
「それにしてもここは…」
アポロ
「…」
四人はぽかんと口を開け、眼前に広がる魔領域を見つめていた。
『おいでやす魔領域最東端の地』
シグリ
「なんだーこの看板?」
ティア
「あれ見て…おじさんの銅像?文字が書いてある…」
『魔王お気に入りの地 魔王より寄贈』
エンキ
「魔王?なんだこれ…」
アポロ
「…」
ティア
「建物がある…おみや?何のことかしら…名物魔饅頭?」
エンキ
「饅頭…」
シグリ
「観光地みたい」
エンキ
「魔王軍はバカなのか?」
アポロ
「わからない…」
次の瞬間、強烈な殺意が四人を襲った。
その殺気の先には、一人の鬼が静かに佇んでいた。
オーガ
「我が名は温羅、貴様らを殺す者だ」
時は少し遡り、魔王城――
魔王
「む?……………この気配は?…とうとう…来たか」
ピンポーン
配達員
「亜魔ゾンでーす」
魔王
「うむ」
商品名『勇者の倒し方100選 悪魔出版』
打倒勇者に余念がない魔王だった。
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