003 お義兄様はまともな人です。
お義兄様が戻ってきます!
ココア飲んで、落ち着いた。訳ない!え?大丈夫?あの両親?貴族じゃないの?大丈夫なの?どーゆうことなの?私の頭の中は大混乱だった。え?あっ乙女ゲームだから?頭がふわふわなの?美形なのにもったいない!本当に?私、少し腹黒いくらいの貴族が好きなのよねぇ~。大丈夫?本当に・・・でも、生きてるよね?右手をピースを閉じた形にして左手首めがけて振り下ろす。
「いたっ」
「まぁ!お嬢様!どうなさったのですか!あぁ!赤くなって・・・どうしましょう・・・冷やすもの・・・でも、目を離しているいる間に・・・えっと」
ベットを寝れるように整えていたウーケが慌てて走って来た。さっきまで、毅然とした侍女って感じのウーケが焦っている。高校生くらいの、オロオロした表情が凄く可愛らしい。ポカーンとウーケを眺めているとノックの音がした。
「トビアスです。入ってもいいかい?」
「え?えぇ」
ぼーっとしていたせいで思わず返事をしてしまって、ドアが開き先ほど両親と出て行った義兄が入って来て私を見て微笑む。しかし、そのオリフィアの膝の前で蹲り動揺しているウーケに驚く。
「ウーケどうした?」
「あの、お嬢様の手を冷やしたいのですが・・・お嬢様から目を離すと・・・・」
私が自傷行為をしたんじゃないかとウーケは驚いたんだろう。さっき死んだらとかなんとか言っちゃったからなぁ~。いやぁ~本当に申し訳ない。いやね。うちの伯父さんが小さい時に従兄弟が悪さするとシッペだ!って言ってやってたのよ。
一時期、うちの従兄弟の中で流行ってたんだけど、ここで説明しても駄目だよね・・・うん。知ってる。同級生に説明しても『なにそれ?』って顔される。うん。知ってる。
「ウーケごめんなさい。なんか、夢かな。ちゃんと現実かな?って思って叩いちゃっただけで・・・オリフィア様の体を傷つける気は無いわ。驚かせてごめん・・・なさい」
私がしょんぼりとなって謝ると、ウーケはそうでございますかと少しホッとしながらも心配らしく冷やす物をとってきますので、トビアス様見ていてくださいね!宜しくお願い致します。と礼儀正しく息子とは言え主家族に指示をだして出て行った。きっと凄く動揺させてしまった様で申し訳ない。
案外、ウーケも天然かも?しかもオリフィア第一主義かも?トビアス様まで使われてるなぁ~と思ってトビアス様を見上げるとまだ立っていて、首を傾げて「ん?」って顔をするとトビアス様も同じ行動をとった。なんか、大きいのに可愛い。
「あっ!座ってください!すみません。なんか、私の見張りお願いされちゃって!」
「あぁいいよ。僕も君と話したいと思って来たんだ」
おぉ!お義兄様。僕っ子なんだ!体格がいいから『俺様』騎士っぽいかと思ったけど違うのかな?私、『俺様』全く理解できないんだよね!そのままの態度を受け取る単純女子なもんで、ツンデレとか本当に分かんない。
親友には『何で!』と言われたが、彼女もシッペに『なにそれ?』って顔で返すんだから人それぞれでいいじゃないか。そうか、義兄弟はあまり騎士系とか聞かないもんね!デロデロ甘々っ系?ソファーに座りふぅ~と一息つくとトビアスは話始めた。
「シオリ」
「なに?」
「君の好きなチーズケーキを買って来たんだ食べるか?」
「え?本当!嬉しい!私、チーズケーキ好きなんだよね!ん?チーズケーキ?オリフィア様が好きなの?」
私が、疑問に思ってトビアス様を見るとトビアス様は納得したと言う顔をして謝罪してきた。
「いやっごめん。オリフィアはチーズケーキが嫌いだ。生クリームたっぷりのフルーツが載ったケーキしか食べない。チーズケーキなんて買って来たら激怒して何かを投げつける。手あたり次第」
トビアスは頬を書きながら頭を少し下げて試したと言った。おぉ!そう!それこそ普通の反応!私は何故か親指を立ててサムズアップしていたが、そのポーズに?首を傾げて「ん?」って顔をするとトビアス様、やっぱ可愛い。おっと、謝罪をいらないと伝えなきゃ!
「トビアス様!謝ることないよ!それ!普通!はぁ~良かったぁ!お父様(?)もお母様(?)も全然すんなり受け入れるから吃驚して!なに?オリフィア様、狂言とか言う人???私、適当にあしらわれてたりしますか?」
「あぁ・・・・。いやっ両親は君をシオリと認識してあの態度だ・・・」
「えぇーー!大丈夫ですか?良い人過ぎませんか?変な人に騙されませんか?」
「あぁ。度々ある・・・」
「えぇ!度々!どうしてたんですか?」
「僕も止めていたし、ああいう人たちだから、色々な人の手助けをしていてね。様々な方に慕われているんだ・・・だから何とか周りの助けで事なきを得ている・・・」
「えぇ!事なきを本当に得てるんですか?トビアス様、大変じゃないですか!」
私が叫ぶと、トビアスはチャコールグレイの瞳をニコッと細めて微笑む。おぉ!攻略対象っぽい!義兄はイケメンですね!眼福!笑顔が可愛い背の高いイケメン!髪は赤!・・・子犬系では・・・無いか。何ジャンルだろう?
「今日からはシオリもいてくれるから心強い」
急に爆弾発言!え?私を頼りにしちゃうの?え?今迄もオリフィア様と一緒にどうにかしてたの?ん?今日から????
「オリフィア様は?」
「あぁ・・・オリフィアは・・・ん〜と。なんて言うか・・・」
途端に歯切れの悪くなったトビアス様に、おやぁ?と思いさっきのケーキの話を思い出す。さっき『チーズケーキなんて買って来たら激怒して何かを投げつける』って言ってなかった?突然謝るからスルーしてたけど・・・
「あっオリフィア様ってもしかして、我儘令嬢?」
「ぶはっ。我儘令嬢って!」
「あっごめん!義妹だもんね!悪口じゃないよ!えっと、こだわりの強い癇癪持ち?」
「シオリが嘘を突けないやつということは分かった。全くフォローできてないよ。ははっ。まあ。甘やかされて育ったからな・・・。僕も両親も甘くて、何でも我儘が通る家庭・・・だからな」
「あぁ。確かにあの両親はデロデロに甘やかしそうよね」
「デロデロ・・・シオリの語彙は面白いな」
「え?・・・・駄目な感じですか?」
「うん。令嬢としては駄目な感じだ」
私の問いに眉尻を下げたトビアス様が困った様にしながら詩織の口調に合わせて告げた。優しい。そして、学ぶのは好きか?と聞いてくれた。どうやら、オリフィア様は勉強嫌いだったようで淑女教育もなかなか進んでなかったみたい。
「勉強するのは好きよ。大学まで好きな専攻で行ったもの!」
「そうか、学生だったんだな。どんな勉強をしていたんだい?」
「ん~とねぇ。考古学じゃないんだけど歴史研究って言うか、科学の歴史みたいな事かな?電灯とか、電話とか、その前は機関車とか?科学の発展が好きで、初期の構造から進化が展示されているのも見るのが好きで、3年次から頑張ってやっと、隣の県の資料館に就職したのよ!」
私の話を聞きながら驚いた顔をしたトビアス様は、そのままうんうんと聞いてはいるが手が口元を抑え始め小刻みに揺れている。ん?とした顔をすると駄目だと笑い出してしまった。ぶはっとふいて、ひとしきり笑い、ヒ―ヒーと言いながら涙を指でぬぐうと優しい顔でごめんねと謝りながらトビアス様が諭した。
「シオリ。!お父様やお母様のこと言えないぞ!君の中では今日出会った初対面の人間にそんなに洗いざらい話をしてはいけない。君も自衛を覚えなくてはいけないね」
私は、真っ赤な顔をして口をぱくぱくとしながら言い訳を考える。だって、え?あぁ。たくさん喋った。いやっさっきから心の中では叫んでたけど!え?なんで???
「あのね。えっとね。なんか、体に引っ張られてて!私!詩織として成人してるのよ。でも、好みとかも小学生の時みたいになってて!」
「ちょっと待て!しゃべりすぎだ!落ち着け。ごめん。僕が聞きだしたんだがここまで洗いざらい話されると居たたまれない・・・」
「あっごめんなさい!」
口の端を摘んだ形をして、ビーっと横断する。トビアスは首をコテンと倒す。あぁ!また変なことした!お母さん!お母さんの黙りなさいの癖『お口のチャックを締めなさいのポーズ』。転生してもでちゃうよぉう!さんざん、友達に『昭和!』って言われたのにぃ・・・
少し俯き加減で視線を落とし頭を抱えて打ちひしがれた私の頭にポンっと手が乗る。そのまま、なでなでされる。くっそ!攻略対象は少女漫画の神シーンを全部してくんのか!トキメかないけど!冷静に、あー頭ポンポンからのなでなでだぁ~とか思っちゃったけど!でも、まぁいいや。気持ちがいいので大人しく撫でられる。
その後、ウーケが戻って来て手を冷やしている間に、トビアスは昼食一緒に摂ろうと言ってからまた来ると出て行った。
読んで頂きありがとうございます!
~登場人物~
豊島 詩織(23)
東京生まれ東京育ち 科学歴史資料館勤務
オリフィア・アールデイス子爵令嬢(12)
子爵家嫡子 髪色:オレンジ 瞳色:レモンイエロー
トビアス・アールデイル子爵令息(14)
子爵家の養子 元男爵子息三男 髪色:赤 瞳:チャコールグレイ
ウーケ・バース男爵令嬢(15)
オリフィアの侍女 髪色:ココアブラウン 瞳色:若草色




