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ヒロインって幸せですか?  作者: 島城笑美


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002 初めまして、ごめんなさい。

家族とのご対面です。


諸事情により、週2更新で行きたいと思います!

火・金で更新します!

ウーケに唯一落ち着いた色の明るめの紺のデイドレスに身支度を整えてもらいなもらいながら、部屋の中をきょろきょろと観察する。白を基調にして、カーテンやカーペット、ソファーの様な布地類は差し色に夕日色の鮮やかなオレンジと金の刺繍がほどこされていた。


支度が終わると部屋に合わせて少し落ち着いた色合いの橙色に金の刺繍が施された三人掛けほどできそうな大きなソファーへと案内された。座面がふかふかのソファーには白地に同色なのか銀なのかあまり目立たないけど美しい刺繍糸で花や蔦のような草の模様が施されたクッションが置かれた。すごく可愛い。


私が少し深く座ると、紅茶を入れてくれたウーケはそっと私から離れると「ご家族様へお話して参ります」と声をかけて出ていく。この時間は、朝食の時間だから食堂に揃っているというのですぐに全員に話が出来ると言っていた。


「はぁ~」


ウーケが出て行くとオリフィアは大きなため息をついてさきほど姿見で見た自身を思い出す。


美少女だった。


部屋の所々に使われている夕日色の髪色に、瞳はレモンのような黄金色で元気なビタミンカラーだった。造形はもちろん美少女だ。


儚げで庇護欲そそる。は柄じゃないし。愛嬌のあるきゃぴきゃぴも難しい・・・快活系の色合いで少しホッとした。綺麗というよりくりっとした丸みのある瞳に形はいいものの小ぶりな鼻、口は笑うと大きめではあるが唇は厚みが無く妖艶さの無い可愛い顔立ちの美少女だった。


はぁ〜びっくりした。可愛かったぁ~この顔なら悪役令嬢系じゃないよね?あと、断罪される系のヒロインは誰かを貶めたりするからそーゆーことしなければ大丈夫よね?きっと。


転生前の小説の知識を引っ張り出してもんもんと見た目の事を考えてるとふとコンコンとノックの音が響いた。え?早くない???


「ひゃい!」


失敗した。考え事をしていたせいで変な返事をしてしまった。


「ウーケでございます。ご両親とトビアス様をお連れしました。入室してもよろしいでしょうか?」


「はっはい!お願いします!」


あぁ〜またやってしまった。変な返事をしてしまったと落ち込みつつ立ち上がる。家族に会うのに一昨年の三年次に行っていた就活を思い出す。面接官に対面する就活生みたいに緊張してる。圧迫面接ではありませんようにと願っていると、そっと扉がゆっくりと開く。


うわぁおう!【美】ってか、お母様!髪色がローズピンク!?目の色は同じレモン色!お母様の方が乙女ゲームの主人公みたいじゃない???お父様もカッコいい!やだ!タイプ!サファイアの様な青味の強い銀髪に形のいいけど目じりがたれて優し気なグレーの瞳!


お義兄様は、さすが乙女ゲームの対象っぽい!ん~お顔立ちは幼くて高校生くらいに見えるけど高身長!ん?オリフィアが小さいのか?がっしりとした体躯に目の覚めるような赤髪に瞳はお父様より濃いグレーで赤髪だけど落ち着いて見える!騎士タイプの攻略対象かな???


ビクンと席を立ち一度、お辞儀をした後は一切表情には出さず心の中は大騒ぎだった。そんな最中、私が緊張してしまっていると思ったウーケが手をとり着席させてくれて、家族全員のお茶を用意する。


その間に、美麗で可愛らしいお母様がオリフィアの隣に座り、カッコいいお父様とトビアス義兄様は向かい側の2つある1人掛けのソファーにそれぞれ座る。


お母様が私の両の手を包み込み、優しい声でゆっくりとぽつりぽつりと言葉を紡いだ。


「フィー・・・ごめんなさい。貴方がそのように心を痛める事を・・・してしまったのね・・・」


「すまなかった。フィー」


お母様の言葉にお父様が続ける。続けて義兄まで慰めるように話始める。


「フィー。兄様はずっと君の兄様だよ。心配しないで」


なぜか謝り続ける家族と、オリフィアをどんなに愛しているか、家族の愛情に変わりがないかを吶々と話続ける家族に無性に申し訳なくなった。


こんなに、愛しているオフィリアがいなくなっていると知った両親はどうなるのだろうというのだろうか。あれ?・・・・・オリフィアの人格は何処にいってしまったのか。


記憶喪失のふりをするつもりだった。中身が違う人格入ってしまったって言うよりは家族としても安心だろうと・・・けど、私には無理だ。こんないい人達を騙すとかムリ。たぶん、すぐにボロがでちゃう。完璧に騙せる人間じゃなくてごめんなさい。弱い人間でごめんなさい!


「申し訳ございません」


罪悪感に押しつぶされた私は全部をぶちまけてしまった。頭をこれでもかってほど下げて謝った。本当なら気持ち的には土下座な気持ちだったけど、ドレス汚しそうだし、右手をお母様ががっしり握っているから席を移動することも出来なかった。


こんないい人たちがもっと心配するような事を、心を痛めているのに、自分が居たたまれないからって・・・正直に打ち明けてごめんなさい。でも、こんないい人たちを騙す事なんかできない。小心者でごめんなさい!


「私!私は豊島詩織(とみしま しおり)って言います!えっえっと。こっここと違うっ!世界で川で!・・・死んで!うっ・・・えぐっ・・・女神様がなんか間違えたって!んで、ヒロインにしてあげるて!ばって光らせて!うぐぅ・・そしたら!オリフィア様の身体の中にいたんです!えぐっ・・・えぐっ・・・ごめんなさい!私!オリフィアじゃない・・・ごめんなさぁ~い・・・うぐぅ・・えぐっ・・・」


私の告白に、両親、義兄はもちろんさっきまで親切にしてくれたウーケまで絶句している。そりゃそうだよね。本当にごめんなさい!なんだろう?私、23歳なのにこっちの年齢に引っ張られてるのか涙が止まらない。うぐぅ~。


「ウーケごめんね。さっき、記憶喪失とか言っちゃってごめんね!私もどうしていいのか!でも、こんな良い人たち騙し続けるなんて無理!オリフィア様を戻してもらう方法。・・・わかんないけど!でも、どうにかする!どうにかできる?もう、1回死ねばいいかな??」


「何っ何を言ってるの!待って!待って!」


「そうだ!!オリフィア!待ちなさい!あぁ・ええっと・・・オリフィアじゃないのか???トヨ?オリ?まぁ!いいから少し落ち着きなさい」


お母様とお父様まで、詩織(しおり)につられてパニックになっているように慌てだす。続いて、お義兄が悲しそうに叫んだ。ウーケは、凄い、名前1回で覚えてる!でも、日本人名って難しいよね?姓名の区切りがわかんないみたい。しかも飲み物って何?


「そうだ!死ぬなんて駄目だ!」


「そうです!お嬢様!まずは落ち着いてお話しましょう?えっえっとトヨシマシオリ様?全てお名前ですか?お嬢様はなんの飲み物が好きですか?」


「え?飲み物?・・・・ココア?」


思わず、自分が小学生の時に好きだった飲み物を呟いてはっとして口を抑える。


「ココアね。ウーケ、料理長にココアを入れて貰いなさい」


「はい!奥様!行ってまいります!


ウーケは、足音も立てずに消えるように部屋から出て行った。忍者みたいとかボケっと思っているとお母様が確認してきた。


「えっと・・・名前をもう1度教えてもらえるかしら?」


「あっ豊島(とよしま) 詩織(しおり)です。えっと、ファミリーネーム?が豊島(とよしま)で・・・ファーストネーム?が詩織(しおり)・・・です」


「そう。シオリね。可愛らしい名前ね」


ふわっと微笑むお母様を呆然と見つめる。本当に、この人が女神なんじゃないかと思うほどに神々しいし、あの女神より美しい。そして、すごくいいにおいがする。


「おぉ。シオリか賢そうな名前だね」


かっこいいお父様もニコッと微笑み私の隣の絨毯に膝を付けて腰を降ろしている。近くてもナイスミドルでカッコイイ。義兄は驚いた顔をしていたが、両親を交互に眺めて微笑む。


飲み込めないかもしれないけど、両親が否を出さないのであれば義兄は表立って反対しないのだろうか。少しだけ落ち着いたところに、お母様がポットをハンカチで包み私の手に乗せる。


少しだけ(ぬる)くなったポットは丁度いい暖かさで、ポットを持っている手を包み込むようにお母様も挟んで温めてくれる。そこで初めて手が氷のように凄く冷たくなっていたことに気がつく。血の気を失って冷えていた指先が温かくなる。


お父様も肩を擦ってくれる。地面に膝をついてるのに届くなんてお父様って手が長いなぁ。背が高いのかなぁとかどうでもいい事を考えて、凄く安心して凄く申し訳なくなってくる。さきほど、引っ込んだ涙がまたあふれ出してきて謝るしか出来なくなってきた。


「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」


「いいから、今日はそうね。ココアを飲んだらもう少し寝ましょうか?」


「そうだね。大丈夫。シオリ。我がアールデルス家に良く来たね。いらっしゃい」


お母様とお父様が凄く優しく、優しい言葉をかけてくれる。大混乱です。何を言っているの?大丈夫なの?いい人過ぎて怖い!


えっ?えっ?こんなわけ分からないこと言ってる子を受け入れるの?ん?それとも、オリフィアの狂言とか思って乗ってくれてる?え?オリフィアってそんな子なの?意味わからん!


オリフィアの両親らしい人々に撫でられながら大混乱で目を、さ迷わしていると向かいに座る義兄と目が合う。私の混乱に気がついたのか、一瞬驚いた様に目を見開き・・・少し思案素振りをすると人差し指を口の前に持って来てシーのポーズをとる。


あぁ。シーは一緒なんだとどうでもいい事を考えているとウーケがココアを持って帰って来た。ココアを飲んで休みなさいと家族は退室していった。


ゆっくりとココアを飲む。お湯で溶かしただけのココアじゃない。練りながらお鍋で作るココアだった。少し濃いめに作って牛乳でのばしたのかも?甘味はお砂糖じゃなくくて蜂蜜かもしれない。なんだか、ホッとするような甘味で少しだけ疲れた感情に優しく染み渡った。

拝読ありがとうございます。


☆次回は、義兄との内緒話



  ~登場人物~

豊島とよしま 詩織しおり(23)

東京生まれ東京育ち


オリフィア・アールデイス子爵令嬢(12)

子爵家嫡子 髪色:オレンジ 瞳色:レモンイエロー


トビアス・アールデイル子爵令息(14)

子爵家の養子 元男爵子息三男 髪色:赤 瞳:チャコールグレイ


ヘイマン・アールデイル子爵(35)

子爵当主 髪色:明るい茶色(キャラメル色) 瞳:ローズグレー


イーリス・アールデイル(33)

子爵夫人 髪色:ローズピンク 瞳:レモンイエロー


ウーケ・バース男爵令嬢(15)

オリフィアの侍女 髪色:ココアブラウン 瞳色:若草色

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