001 ふざけるな!
数ある作品から足をお運びありがとうございます!
完結まで書いてから掲載してますので、楽しんで貰えると嬉しいです!
はっ?
ここは?ベット?目が覚めた?あの女神どこに行った?
天蓋付きのベットの上で上体を起こしてはみるが先程までいた真っ白な部屋と違うことに頭を抱える。あの女!面倒になって放り出したな!乙女ゲームってなんだよぉ!やったことないって言ったじゃん!
勇者になってラスボスの世界の半分やるとか言われるやつとか、世界をクリスタルになった人間が支える系のゲームしかしないって言ったじゃん!昭和生まれのお父さんの趣味のゲームしたことないんだよぉ!同級生とゲームの話し合わないんだよぉ~私!
何?『間違えて死なせちゃったから、乙女ゲームのヒロインに転生させてあげるわね!』じゃねーよ。いらねぇーよぉう。そんな配慮ぉう。
確かに、乙女ゲームに転生した悪役令嬢がバットエンド回避する系とか、ヒロインになって悪役令嬢救っちゃうやつとか小説は好きだったよ!
でも、乙女ゲームはやったことないんだって!小説だってどっちかって言うと、本に突進する子とか、草が生えた虫とかもらって小躍りする子とか、コミュ障数学馬鹿な魔女とかのほうを熟読してるんだよ!
読んだ系の小説版乙女ゲームなの?
実際にある乙女ゲームなの?
悪役令嬢でヒロインなのか、普通のヒロインなのか?ざまぁされるヒロインなのか?チート能力はあんの?癒しか?聖女か?市井で育った実は王女か?庶子か?
はっ!ドアマット系か?
あんな中世系の嫌がらせとか受けたら秒で死ぬぞ!現代っ子舐めるなよ!わりと親に大事に育てられたんだぞ!極寒の屋根裏とか、カビの生えたパンとか食べたら死ぬぞ!鞭とかで打たれたらそっこーで心が死ぬぞ!
道徳観念バリバリある家だったから川で遊んで溺れた子助けて死んじゃんだよぅ・・・うっ~流されたとこ思い出しちゃった。うっぷ。気持ち悪い。女神め。どうせなら記憶消せよ。ベットの上から動けず頭を抱えて唸っていたところに、ノックの音が響いた。
コンコン。
「お嬢様?お目覚めになられましたか?」
ノックと声かけにビクッと体が跳ねる。背中からは冷たい汗がじっとりと流れる。えぇ~と。お嬢様なのね。私・・・。はぁ。女神に悪態なんかつかないで設定とか聞いとけばよかったぁ~。もう遅いけど・・・・・。でも、あの女神・・・面倒がって説明しなさそう・・・・。
コンコン。
「お嬢様?」
あぁ。きっと起きてる気配はするのに返事が無いから入室出来なくてとまどっているんのかな?お貴族様の習慣なんか知らないよ。どーしよぉー、とぼけて情報収集する?記憶喪失とか言っちゃう???
はぁ~っと勢いよく息を吐きゆっくりと吸う。深呼吸をすると少しは落ち着く・・・・うん。そう簡単に落ち着かない。でも、情報収集しなくちゃ。きっと、今声をかけてきたのはメイドさん?あれ?侍女さん?まぁどっちでもいいか。
あー名前分からないわ。とりあえず、名前は呼ばない!きっと彼女?が言ってくれる?知らないとおかしいよね・・・。でも知らないし、えーと喋り方。喋り方って語尾に「わ」とかつければいいんだっけ?
「だれ?私は起きてるわ」
おぉ。声も可愛い?ってか幼い?私、22歳なんですが!こんな高い声じゃない・・・。
「ようございました。ウーケでございます。ご入室してもよろしいでしょうか?」
「えぇ。入って」
はぁ。侍女さま(?)との初対面ですよ。私はどんなキャラでいけばいいの?侍女には記憶喪失とか言っちゃったほうがいいの?すぐ、『いつものお嬢様じゃない!』ってなるよね。絶対。
「おはようございます。お嬢様」
「えぇ」
動揺しながら返事を返す。次女のウーケさんは入室し、ベットサイドで挨拶をすると窓の方でカーテンを開け始めた。まだ天蓋は上がっていないので私もウーケさんが見えず、ウーケさんからも私が見えていない。
はっ!私って名前なに?ウーケさん、お嬢様としか呼んでないわ!
「今日はいい天気でございますよ。お嬢様・・・・・どうしたのですか?今日は大人しすぎませんか?大丈夫でございますか?オリフィア様?」
おぉ!名前来た!私の名前はオリフィア!
よしよし!いい子だ!ウーケさん!よし、ちょっといつもと違う反応で私を心配してくれるウーケさんは味方になってくれるはず!なってくれなかったら詰んでるし!さっきも思ったが、使用人にまで虐げられてるドアマット系なら秒で死ねる!とりあえず、具合が悪い設定で!
私は、右手で額を抑えながらウーケに尋ねる。
「・・・ウーケ?・・さん?・・私、昨日はどうやって寝たのかしら?頭が割れるように痛いの」
私の返事にウーケは慌てて天蓋を開けた放った。
高校生くらいだろうか?大人の女性と呼ぶには少し幼さの残った顔立ちに、髪の色は落ち着いたココアブラウンだが瞳は若葉の様な明るい緑色だ。わぁ~あぁ。異世界なんだぁと今更ながらの感想がでてくる。
「オリフィアお嬢様?どうかなさいましたか?」
惚けている自分に声をかけながらウーケの手は、首元に延ばされるとピトッと触れた。暖かい。
「熱の気配はありませんね」
本気で心配そうな顔をしているウーケさんを見てホッとする。まだ自分がどんな立ち位置かわからないがウーケさんは味方っぽい。よし、縋ろう!貴方だけしか頼りはいないの作戦だ!
「頭が痛いの。それに、ウーケさん?貴方と私の関係は?全然分からないの。私、何歳?ウーケさんも何歳になった?私は何してる人?」
敢えて狼狽しているように声を奮わせてウーケを涙目で見上げる。うん。二十代にもなってこんな懇願!って顔を作れるやつになるとは思わなかった!あぁー恥ずかしい!
だがしかし、今はそんな事言ってられない。少し、ウーケより手は小さい気がする。声も高い。きっと私は二十代ではない。幼女というほど小さくは無いと思うから十代そこそこだと思う。
きっとそう、そう思わないとこんな顔なんて作れない!恥ずかしすぎる!
私の心の中の羞恥の嵐の様な心情はおくびにも出さずにいると、ウーケは青ざめ急に部屋を出て行こうとする。きっと、主に報告をってことなんだろう。が!
それは困まる!
「ウーケさん!待って!家族は待って!」
ウーケはドアの前で止まると困惑するように私に振り向く。『でも。』と言いたげなウーケに向かい。ゆっくりと話を始める。もっともらしく。令嬢?っぽく?
「お願い。混乱しているの。家族がいるなら心配かけたくないの。助けてウーケさん」
ヒロインにすると女神は言っていた。だからまだ鏡も見てないがきっと美少女だろう!そう願いながら私は懇願する。そうじゃないと、やってられない!ウーケは戻ってくると、手をぎゅっと握り話始める。
「オリフィア様、どの様なことはわかるのでしょうか?」
私は、少し潤んだ瞳でウーケを見つめる。半分は演技だが半分は本気だ。この状況に混乱してるのは確かだけど、社会人として半分は演技だ!社会人になったばかりだが、そう演技だ!
「分からないの。ウーケさんは私の侍女さんとかですか?でも、貴方との思い出も貴方の年齢も分からないの。私はお嬢様なの?年は?」
打算だ。『あなたしかいないの!作戦』は庇護欲をそそるはずだ!そう!私はいい年のだし、社会人だ!強かに!いかないと。ごめんウーケさん!強かにだ!
ウーケはそんな!と小さく口の中だけで悲鳴のように呟き、細かい呼吸をすると深呼吸を1度して意を決したような顔になりベットサイドの絨毯が敷かれている床に膝をつき、私の手を握りながら丁寧な口調で話始める。すごく、すごーく申し訳ない気持ちでいっぱいだが私も必死なのだ、助けてほしい。
「お嬢様は、オリフィア様はアールデルス子爵家のご令嬢で義理のお兄様がおひとりいらっしゃいます。今は、13歳で来年度より貴族子女がお通いになります。
私はお嬢様の専属侍女のウーケ・バースでございます。ウーケと敬称なしでお呼びください・・・主従関係での敬称なしが難しいのでございましたら、友人の様にお呼びください」
ウーケさんは頭のいい人なんだろうな。若いのに、主に無理のない方向で話をしている・・・凄い。ウーケ。ウーケ。ね!オッケー!侍女さんね!専属の!
「ウーケさんは、私の侍女でウーケって呼ぶのね。わかったわ。・・・義理の兄?」
「はい。トビアス様は、オリフィア様のはとこにあたる男爵家のご子息です。ご親戚の4人兄弟の末っ子のでお兄様とお姉様がいらっしゃる三男でございました。お年はオリフィア様よりふたつ上でございますよ」
おぉ~乙女ゲーム定番!義兄もしくは義弟!ふたつ上ってことは学校へも一緒へ行ける?味方にしておかないといけないよね!
「トビアスお義兄様・・・・何故我が家にいらしたの?聞いても大丈夫?」
「・・・・・トビアス様は大変優秀なのですが・・・生家ではあまり良い待遇では無かったようです・・・ご親戚との集まりでオリフィア様と仲良くなりオリフィア様は一人娘ですので養子にとアールデルス家が引き取ったのでございます」
おぉ!!なんていいお話。わざわざ冷遇されてる親戚の子を引き取るなんて両親はいい人なんだよね?信じていいかな?
「そうなのね。何もわからないわ・・・」
オリフィアは悲しそうに目を伏せる。そんな私の手をぎゅっと掴んだウーケは真剣にオリフィアを見つめ言い募る。
「大丈夫ですよ!オリフィア様とトビアス様は本当のご兄妹のように仲良く、もちろん子爵夫妻であるご両親も大変人格の素晴らしい方々でございます!オリフィア様が不安になることは一つもありません!」
よしっ。ドアマットではない。家族はいい人そう。うん。大丈夫。きっと大丈夫。ダイジョウブよね?
「ウーケ。私の記憶が無い事を両親と兄へ一緒に説明してくれる?」
私の言葉にウーケは一瞬悲しそうな顔をした。けど、ゆっくりと瞬きをすると掌で胸をポンと軽くたたきお任せ下さいと了承してくれた。その後は、まずは朝の身支度をしましょうとウーケに促されるままお嬢様としての振る舞い?っていうのを少し学んだ。
着替え、ひとつでかなり疲れた。
拝読ありがとうございます。
☆次回は、家族と対面
~登場人物~
オリフィア・アールデイス子爵令嬢 13歳
髪色:オレンジ 瞳色:レモンイエロー
ウーケ・バース男爵令嬢 16歳
髪色:ココアブラウン 瞳色:若草色




