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アンブレイカーズ  作者: MRプロジェクト(詳しくはプロフィールにて)
第2章「強敵」

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「6」トラウマ

三人称開始(三人称でストーリーが進みます)

「はい、という事でおはようございます。今日もご安全にー」


暗い空に陽が淡く差しこむ朝7時。

眠気眼を擦る南雲の口にカロリーメイトを押し込む田所の目はパッキリ冴えている。

彼彼女らを牽引する陽介は全員の装備を確認した後、全てを携帯した状態で各自に2回目の体操を促し、陽介自身も筋肉質な腕を伸ばして屈伸を開始した。


佐伯陽介、身長は175cm程度。

流石に31歳の体に成長期は来ない。

がたいの良い肉体に傷は1つもない。

肌の弱さは折り紙付きだが傷がないのはその高い再生能力に由来する。体操を終えた陽介は短めの黒髪をユサッと振り、スケルトンカラーのゴーグルとガスマスクを装着した。

懐中電灯やナイフと言った道具をかけた太めのベルトをしっかり占め、最後にブーツを履けば、大きな掌をグーパーと開け閉めて、大きく息を吐き「よし」と頷く。


「お手洗いとかは大丈夫だな」


着込んでいる戦闘服は衝撃の分散効率の為にインナータイツ式になっている。それ故に外に出てしまえばそう簡単に用は足せない。そんな確認に各人頷きを返す。


戦闘服。

アンブレイクが導入しているものは怪人・怪獣繊維及び素材を使った一着3000万円程度のもの。アンブレイカーズが導入している上位支給品よりも少し質が高い。


正味の防御力は防具を重ねる事で上昇する。30年程度前まではアンブレイカーズ含めフルアーマー兵装を利用していた。しかしそれは怪人・怪獣繊維の確立で廃れた。優れた耐久性、防御性、柔軟性。今や顎下から手を除く全てを守るインナータイツだけでいいとまで言われている。というのも防具が多い、という事は可動域が狭くなる訳で、それはつまり一瞬の判断と反応が必要な戦場に置いて死亡確率を上げる要因になり得るという事。

実際、インナータイツ導入以前との比較では隊員死亡数が80%減少している。


また、このインナータイツが顔を覆わない理由は単純で、頭部を狙われた時点で99%死ぬ事に起因する。

1%の可能性を残すより頭部の可動域を100%にし、更に装着感や蒸れなどの精神的苦痛を軽減する方が利点が大きいというのがこの30年での結論だ。


とはいえ完全にインナータイツだけでいいのかと言えば違う。簡単な攻撃で損傷こそしないがその分衝撃が体に直撃する。それの分散・軽減を目的として特に心臓や脛に防具をあてがう。


「山葵ちゃん、さっきも緩めたばっかじゃん。ダメだよ締め過ぎわぁ」


陽介の苦言に田所は霧の様な「すみません」を吐き出した。


「もしかしてアンブレだと固く締める方がいい感じだったの?」


その問いかけに南雲はチラリと田所を見る。その視線を感じたのか「いえ。……ただの、トラウマ、です」と地面を見つめながら返事をした。陽介は「おーそっか。それじゃあ仕方ないな」と一先ず理解を仰ぐ。だが直ぐに「けど」と続けて言った。


「装備は俺達の命を守ってくれる。そのお陰で戦う勇気が湧いてくる。でも正しい使い方をしなきゃ守ってくれない。装備の紐の緩さひとつ、絞めつけひとつで動作に支障が出る。それに少し緩くしておかないとほら、これ内側の緩衝材潰されちゃって態々防具つけてる意味ないじゃん。……まぁこれが良くない事だって君はちゃんと理解してるよな、そりゃ。うん。……でも、間違いなく過去の要因に引っ張られ過ぎて一番理解から離れてるよ今。この締め付けだと次はトラウマを見る事ができなくなるかもしれない。トラウマを抱えている人間なら、一番トラウマに立ち向かわなくちゃいけないんだ。……だから、わかるね」


諭される言葉に田所は汐らしく「……はい」と頷く。


「まっ、つっても簡単にトラウマを克服できるのならトラウマなんて言葉ないんだけども。……ともかく俺達は[怪人][怪獣]と違って群れて支え合って強くなって生きて来た生物だ。だから俺達は例に漏れず君の不足している所を補う。だからって大丈夫、安心してくれとは言わない。無類の信頼は要らない、寧ろしないでくれ。でも君の不足している所を補う努力をする事だけは念頭に入れててくれ。そう考えたらほら……肩の力も抜けてきそうじゃない?」


そうは言っておきながらも陽介は半ば難しい事を理解していた。


(俺ができるのはこういう声掛けくらいしかない。後は本人の問題だ。頑張れ、山葵ちゃん)


それから10分後、鳳、長本静流、三月がアンブレイクに帰還した。


「[猿の怪人]だっけ。朝からお疲れ」


そんな陽介の労いに各人返事をし、陽介ら3人が耐久度の高い黒色のポンチョを羽織る姿を見届ける。

各位折り畳みの武器を帯刀し、トランシーバーなどの連絡手段も持った。マウンテンバイクも手元にある。これはもし長本静流が別の緊急任務にあたっていて【転移能力】を行使できない状況にある時の為の帰還手段だ。


「それじゃあいってらっしゃい。山葵ちゃん、復帰戦、頑張ってねっ」


静流の応援に嬉しそうに返事をする田所はそして他2人と同じく白い光に包まれて転移した。

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