「32」友好性宇宙人
時は【怪獣ノア】とアンブレイクが激突する前。
怪獣を分断して各拠点で戦闘をしていた他の隊員達では、第一拠点と違い【能力封じ】を封じる【能力】を有した怪獣により優位性を保つ事が困難になっていたり、怪獣によって開戦と同時に放たれた広範囲殲滅攻撃により苦戦と長期戦を強要されており各拠点助けを喘ぎ求めるしかできなかった。そんな時だった。
「パパ! どのボタンを押すの!」
「こーら邪魔するんじゃない。事態は急を要しているんだ」
空に浮かぶ、3階建ての家の大きさはある宇宙船。円盤型のその中央にある操縦席にて、操縦桿を握る大きな宇宙人と小さな子供の宇宙人2人を抱える大きめな宇宙人がいた。
宇宙船は、外からは鋼色の壁面しか見えないが内部からはガラス張りのように一面が透けている。
その広い視界を眺め、大きな宇宙人が幾つかあるボタンを複雑に押し、地上で暴れる怪獣達に秋色の四角い照準マークを付与した。
「あなた、開戦までに本当に間に合うの?」
子供を抱える宇宙人は大きな宇宙人にそう問いかける。
「間に合わせるっ、飛ばすぞ」
大きな宇宙人の男はレバーを引き、ボタンを複雑に押した――次の瞬間、瞬間移動に肩を並べる速度で現場上空に飛来した宇宙船。その円盤は激しく回転しており、地上にもその風切り音が聞こえていた。
その音に面々はよそ見をする。それを好機と仕掛ける怪獣と絶望を被る隊員達。
各人が最後の抵抗で【能力】を暴走させようとした時、全ての怪獣が何かに貫かれ、焦げた臭いと煙を上げながら次々の倒れていった。
(自家用機を買っててよかったが…慣れない機体で途中隕石衝突事故起こしてしまって到着が少し遅れてしまった。後31分でもう何度目かの宇宙戦争が開戦するが…基本戦闘は無人機だ。医者が役立つのは技師や生産者の過労者。肉体連動式遠隔機操縦者の半死亡者が出てきてから。折角の思い出の場所を壊されちゃたまったもんじゃないんだ、仕方ない。そうだろ俺)
そうして各拠点の悪状況を治め、次なる目的地へと向かったのは大怪獣の元。
朱円玲人よりも先に接敵していた宇宙船。機敏な動きで急接近をし反応させないままに危険度「9」の怪獣達をひと薙ぎで葬ってしまった光線を放つ機体。
(10秒で蹴りをつける!!!)
機体が後方10km下がってしまう程の超高出力光線の発射。地面に面し、地上から空に目掛けて放つそれに、地面は泣き叫ぶ様に土塊を溢し爆ぜさせる。
……しかし、それでも大怪獣は一切の傷も疲労も見せず仕舞い。
(っ……これまでか。まさか宇宙船の攻撃が通用しない相手がこんな場所にいるなんて。…人間達、頼みましたよ、地球の事)
宇宙人は悔しげに空へと飛び立ち願いを添えた。




