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燈崎琴莉の革命日記  作者: 倉石 雨


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2/11

2.せっかくの土曜日を潰された。

せっかくの土曜日を潰された。

私は今、銀行で『革命的武装資金調達』こと楯の会の銀行強盗に遭遇している。

2日連続で連中に遭遇なんて…ほんとにツイてない。


まぁ生憎、私は銀行員ではないので、座ってスマホをいじっていれば全ては終わるのだけれど。

何故スマホを見れるのって?

この銀行周辺は絶賛、楯の会の実行犯によってジャミングがされてて、外部と完全にシャットアウトされてるから。

あちらは無駄に通報を気にする必要は無いし、こちらはヘッドホンでJ-POPのプレイリストを流しながら、ダウンロードしておいた小説を流し読みできる。


タイトルは『日本共和国史』………?

小説の中に混ざってしまっていたのだろうか。

まぁたまにはこういうのも良いかもしれない。

《~敗戦と復興~

1945年9月2日。戦艦『ミズーリ』の艦上にて旧帝国は降伏文書に署名。

この後、当時の戦勝国であった『アメリカ合衆国』(現北アメリカ連邦)により、徹底的に旧帝国市民は弾圧され、『ダグラス・マッカーサー元帥』が合衆国軍による武力統治を指揮。帝国時代の『皇帝』の居城があった千代田区を中心とした支配体制を確立した。》

寝間着姿のような、老齢そうなアメリカ人がダグラス・マッカーサーと紹介されている。見切れてよく見えないが、隣には優しそうな、比較的小柄のおじさんがいて、半分くらい見えるその顔には丸いメガネがかかっている。


「おい!金が出せねぇって言うのか!さてはお前!ボルシェヴィキ・ロシアのスパイだな!?」

いきなり銀行に響いた大きめの声に顔をあげる。

ひ弱そうな男の人に対して、屈強で肩を出した変なファッションの男が掴みかかって喚いている。

…ボルシェヴィキ・ロシアって何?

とりあえず止めに入ろう。流石に目の前で殺人とかされたら夢見が悪い。

「すみません。何かトラブルですか?」

ゆっくりと歩き、相手とある程度の間合いのところで止まってそう言う。

男2人は共に私の方を向いて、そして肩の大きい方は少し驚いた表情になった。

「あ〜…なんだ?タッパのデカイねえちゃん。あんたは少し引っ込んでてくれないか?」

…こいつさては弱い相手にしか威張れないタイプだな。

私は男の目を少し見下ろしながらそう思った。

「いや、流石に目の前で殺人なんて起きたら嫌だし」

ジッと男の目を見つめながらしれっとそう言った。


「おい!何やってる星輪!さっさと聞き出せ!」

男の回答が出る前に、銀行出入口のシャッター付近にいる、もう1人の変な格好の男が叫んだ。

「くッ!これも革命のため!」

何故か星輪?という男は、叫ばれた言葉に焦ったようにそう口走って、おぼつかない手でナイフを取りだした。

…これはダメそう。

私は右手で男がナイフを持っている方の腕を掴み、思い切り握ったあと、捻りつつ、受付カウンターに叩きつけた。男はナイフを落とす。これで脅威が無くなったので、左手で胸倉を掴んで体落としをする。相手は受け身を取れなかったみたいで頭を打ち付け、昏倒した。

ひ弱そうな銀行員は固まった状態から一転して動き始め、カウンター下のボタンを押して、警察を呼んだ。


星輪とかいう男はあの後すぐ意識を取り戻して、仲間と逃げ去っていった。頭を打ったせいか、しきりに私のことを「姉貴」と呼んでいて、正直怖かった。

せっかくの土曜日を潰された。

でも楯の会に復讐ができたし、周りの人から褒められたから、少しだけ嬉しかった。


帰ったら寝よ。

次回、日曜日って退屈だけど最高。

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