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燈崎琴莉の革命日記  作者: 倉石 雨


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19/25

19.私だけ置いてかれてる。話題に。

私だけ置いてかれてる。話題に。

寧々とおじさんはどんどん様々な話をする。

私は今、無言で、塩気の多いポップコーンをほうばりながら映画を眺めている。

一応耳を傾けてみると、こんな話が聞こえてきた。

「失礼ですがご年齢を聞いても?」

「17〜」

「ふむ…今高校二年生ですかな?」

「高三〜早生まれなの」

「なるほど…とすると処女作の『喪服』は中学2年生くらいに書かれたのですか」

「そう!よくわかったね〜!」

「いやはや恐れ入りました。あれほどの伏線と秀逸な心理描写を描ける作家さんとなると、てっきり改名した熟年作家かと思っていましたが…いやいや、私の知人に貴女の担当者をやっている方の上司がおりましてね、1度、気になり貴女の正体を聞いたのですが『知ると酷く驚く』などと言われたきりはぐらかされましてね」

「好きなのとかあるの?」

「私はやはり『或いは半夜の校舎で』ですかな。最初の言葉が最後の言葉に繋がったことで真相がやっと理解できるという演出に当時かなり驚きまして」

「ちゃんとわかってくれてて嬉しい!」

「もちろんですとも。他にも『コペルニクスの錨』なんかは第二巻に繋がる叙述トリックが面白くて面白くて…」

「あ〜真犯人が『ノアちゃん』って主人公のことを言う演出ね〜」

「それです!」

と、ここでおじさんの携帯が鳴る。

「あ、おっと失礼…もうそろそろお暇させていただきます…良ければ、また」

そう言い、おじさんは歩き去った。

「ばいばーい!」

私もぺこりと軽く会釈して見送った。


その後私達は静かなシアター内で『独裁者』のラストシーンを観た。

『____今こそ、戦おう。約束を果たすために。戦おう。世界を自由にするために。国境の壁を無くすため。欲望を無くし、嫌悪と苦難を無くすために。理性ある世界のために戦おう。科学と進歩が全人類の幸福に導いてくれる…そんな世界のために。兵たちよ。民主主義国家の名のもとに、皆で一つとなろう』

そんな字幕を映像と共に観る。おそらく元は音声があったのだろう。声が無くともチャップリンは熱を持った演説をしている…ような感じがする。

「…ん〜」

「微妙」

「なんというか、綺麗事ばっかりであんまり共感できないよね」

「ね」

「多分価値観とかが違うのかな」

「そうかも」

ただ、学びにはなった。なんとなくおじさんが言ってた言葉も理解できた気がする。

「ただ、チャップリンは独裁者じゃなくて、役者だったということはわかった」

「そだね」

「まぁそんなとこが違ってたところで大して気にすることでもないけどね」

「…帰ろっか」


帰ったらプディングでも作ってみようかな。

次回、『銀貨の入ったプディング』


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