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燈崎琴莉の革命日記  作者: 倉石 雨


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11/12

11.「出てこーい」

出てこーい(ザザザザザザザザ)

校長が塞がれてる校門の前で、拡声器で呼びかける。

なんだか…思ってたのと違う。

時間は午前6時。日は昇りかけ、天気は晴れ。

私たちのいる場所のすぐそこに、完全展開を終えた警視庁警備部の第1、第5、第4機動隊及び特科車両隊、東京消防庁派遣人員の合同設置本部があって、そこで色々計画が立てられてる…らしい。

呼びかけってもっとこう、ほんとに出てきそうなこと言うものじゃないの?


校長の後、教頭が何か言い、今度は生徒に回ってきた。私は生徒会長の次に言うことになり、生徒会長の演説はスマホを弄ってる間にいつの間にか終わってしまった。


「あーあー聞こえますか〜」

さっき清涼飲料を飲んだせいで喉がゴロゴロする。

「前から誇れない母校なんて思ってたけど〜こんなんじゃ〜大学進学者はまぁ可能性あるかもにしても、就職活動やる人は〜終わったよ〜?大丈夫〜?今からでも出てきて〜真面目に勉強したら〜?」

拡声器でそう呼びかける。

一旦深呼吸。入ってくる空気は、ここに集まってる合計1,800人くらいの吐く二酸化炭素で完全に汚れてるようで、少し気持ちが悪い。

「私は〜あなた達のこと心配してるの〜。私自身あなた達の進路とかどうでも良いけど〜ここにいる先生たちはきっと〜真面目に悩んでくれてるんだよ〜?」

と、そんな感じのことを吐き、次にバトンを渡す。

次は寧々だった。

「はーい。寧々の番〜。退去命令が出てるから退去しよ〜よ〜。刑法第130条だったかな〜、建造物侵入罪は3年以下の自由刑だよ〜。あと〜、高校の〜業務を〜バリケードとかで妨害するのは〜多分威力業務妨害罪だよ〜?」

そんな感じの法律関係の言葉を並べる。そして最後に

「これ最後に〜1回、言ってみたかったこと言いまーす。『スト参加生徒に告ぐ〜!今からでも遅くないから家に帰れ〜!抵抗する者は公務執行妨害罪であるから〜……あー…逮捕される〜!お前達の父母兄弟姉妹は犯罪者家族とかレッテル貼られちゃうかもしれないから、みんな泣いてるぞ〜!』以上!」

これに対し歴史の教師と担任、他一部の教師が爆笑していた。

…なんだっけ。

確か旧帝国の2.26反乱未遂の時、皇帝の命令で出されたビラの文言?


午前7時。

LIMEの通知が止まない。いわく『機動隊ってどれくらいいるんだ?強いのか?』『どうやって抜ければ良いの?』等。私に言われても。

ただ、何度も通知されてるはずの『人道回廊』に関する情報は送っておいた。

日本人って言われたことには素直に従うけど、そもそも話を聞かないことが多いよね。


午前8時。

機動隊の強制執行開始。馬鹿正直に正面校門から突入する訳もなく、少数の陽動部隊と特型警備車が雰囲気だけの突入行動をしている間に、多少強化されてる程度の側面や裏の外周フェンス部分のうち、強化が甘い複数地点から同時に突入。突入に際しては土木系企業から借りたと思しき黄色いWA-200-8(中型ホイールローダー)が先鋒を担う。

校門へ戦力を集中させていたストライキ部隊は、ホイールローダーに随伴した機動隊員らにあっという間に確保され、校舎に撤退した一部生徒達は完全に無防備な状態で包囲された。機動隊は現場判断で突入を決定。相手に防御をさせる隙を与えず突入しようとした。

しかしながらスト部隊残党は最後にして最大の抵抗を始める。それは火炎瓶投擲を含む火炎攻撃であった。校舎内での徹底的な焦土作戦。その意図は無論、本来の戦術的意図である敵略奪阻止なんかのためではなく、消火活動を迫ることによる突入行動遅滞とそれにより得られる建て直し時間を確保するためのものである。

本部は突入中断命令を下す。

伊藤高校はこの時点で、かつての安田講堂のような様相を呈していた。


ところで、なぜ私がこんなに真面目に状況を見ているのか、それは私が寧々の付き添いとして何故か合同設置本部の中に入り、「燈崎首相の姪とそのご友人なら…」なんて居座ることを許され、寧々から状況分析を一生聞かされていたから。

次回、流石に長くない?

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