10.ほんとに誇れない母校。
拝啓、読者諸賢。日頃よりのご愛読、深謝致します。
この度、こちらの小さな『前書き』部分と読者様のお時間を少々頂戴して、ご報告をさせていただきます。
あ、「いきなりこんな改まった文体になったって事は辞めるってことかな」なんて考えられている方、ご安心ください
これからも都合が合う日に細々と書いていきます。
ご報告と言いますか、表明と言いますか…まぁそんな事はどうでも良いのです。ここまで読者諸賢に貴重な時間を潰してもらってまで読んでもらっている以上端的にいきましょう。
この度私、この作品の書き方を変えてみることにしました。
一部の方はもしかするとご存知かもしれないヘマの物語をほっぽり出して、見切り発車感満載のこちらの作品を書き始めましたが…前作でも今作でも何か違和感がありまして、どうやら私は『人の目から見たものを詳細に書く』と言ったスタイルは苦手なようなのです。
他の感覚…例えば味覚なんかに関しては得意と自負しているのですが、普通ならあまり使いませんからね。
なので、思いきって『視覚以外を重視した小説』を書くことにしました。
「本は視覚的に文字を把握し、楽しむものである」という私の中での固定概念を取っ払うことにしたのです。
私事ではございますが、どうかご理解の程よろしくお願いします。
…ここまで読んでる人いるのかな。
あと、過去書いた作品の修正についてですが、今作が落ち着き次第やっていこうと思います。まぁ「過去書いた」とは言ってもそんな数ない…というかまともなの1つだけで、実質それだけなんですが。
結局、長くなってしまいました。ここまで読んでくれた読者諸賢には感謝しかありません。
引き続き作品をお楽しみください。
2026/6/21 倉石雨より
ほんとに誇れない母校。
澄んだ空気、日もまともに昇ってない朝。
…煤の匂い。目頭を抑える。
「ホント、どうしてここまで荒れてるわけ?」
そう言って私は溜息を吐いた。
早朝の空気には独特の味がある。少し甘いような…私の低い語彙力で表現するとすれば『ミネラルウォーターみたい』というか。
少しの間、閉じていた目をゆっくり開ける。
目の前には伊藤高校があった。具体的に表現するならば伊藤高校生徒計821名の内632名が立て篭っている伊藤高校があった。
何故、ここにいるのか。
私を含む立て篭ってない側の189名は、朝っぱらからここに呼ばれ…と言っても欠席者176名で今いるのは13人だけど…教師陣と一緒に機動隊突入前の最後の勧告をやることとなったのだ。一重にそのせいである。
…薄まってはいるものの、校門付近では強い刺激臭がする。黒煙の量から見てタイヤでも焼いてるのだろう。
「あんまりこの匂いは良くないから下がろっか」
随伴させてる寧々と一緒に臨時設置されてる待機所へ戻ることにした。
「おかえり。どうだった?」
戻ると、待機所の臨時責任者である謙山先生が話しかけてきた。
彼女は伊藤高校一人気な保健室の先生で、まだ私たちと5歳差しかないために友人のように接せるところがポイントの先生である。
「朝ごはん食べてきた?警察の人達が持ってきてくれたから今から配ろうと思うのだけど」
そう言って、お盆の上にたくさん積まれたおにぎりや惣菜パンを突き出してきた。
「じゃあ1つ。寧々も何か食べる?」
「ん…じゃあメロンパン…」
目が半開きしかしていない寧々はそう答えた。
言い忘れていたけれど寧々はすごく朝に弱い。そのためここまでずっと寧々の手を私が引く羽目になっている。
私はツナマヨおにぎりを貰った。私と寧々は緩い私服を着た生徒11人がいる長机のところの端に座り、暖かいコーヒーを貰ってきて朝食を摂ることにした。
私達以外はみんな食事を終えてるらしく、イヤホンをしてスマホを弄っていた。
パリパリとした海苔にぶわっと広がる濃いツナマヨの味、この独特の感じは自炊では一生再現できなさそう…なんて感想ごと最後にはコーヒーで胃に流し込んだ。
「ミ゛…………ぅぇ……」
寝惚けている寧々は、私のホットコーヒーをココアと勘違いしたみたいで飲もうと口を付けて、その猫みたいな舌をやられたらしい。
今にも泣き出しそうだったから、よしよしと撫で回して、持ってきていた文庫本を与えた。
「おかえり!」
ココアを貰って、戻ってきた時には菜々はちゃんと元に戻っていた。
「ココア貰ってきたから飲むと良いよ」
「やったー」
寧々は貰ったココアをゆっくりと自分の口に傾け、温度が大丈夫だったのかゴクゴクと飲み始めた。
傾けられた紙コップから甘ったるい匂いがする。
ところで…勧告って一体何をやるんだろうか。
次回、「出てこーい」
どうでしたか?雰囲気変わりました?




