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残りマナ0.003%、世界の家計簿を黒字化します~追放された元監査官の最適化無双~  作者: 青柳 玲夜(れーやん)
第四章:再監査の時

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第5話:王都潜入——オズワルドの罠

 王都エルディア。


 俺が追放された街。


 今、俺は——その街に、戻ってきた。



『現在位置:王都エルディア』

『警戒レベル:最高——カイ・ヴェルナーの指名手配中』

『聖騎士団の配置:500名以上』

『備考:オズワルドが直接指揮している』



「カイさん、どうやって入るんですか……?」


 エルが、不安そうに俺を見た。


「正面から行く」


「正面から……!?」


「隠れても無駄だ。オズワルドは、俺たちが来ることを知っている」


 俺は、王都の門を見た。


「堂々と行く。それが、一番早い」


「でも……」


「大丈夫だ」


 クラリスが、前に出た。


「私が、道を開く」


「クラリス……」


「私は、まだ聖騎士団の制服を着ている。離脱したことは、まだ知られていないはずだ」


 クラリスが、微笑んだ。


「門番を騙して、お前たちを中に入れる」


「……すまない」


「謝るな。これは、私の選択だ」



    *



 クラリスの作戦は、成功した。


 俺たちは、王都の中に入ることができた。


 だが——


「待っていたぞ、カイ・ヴェルナー」


 声がした。


 俺たちの前に、聖騎士団が立ちはだかった。


 その先頭に——オズワルドが立っていた。


「お前が来ることは、分かっていた」


「オズワルド……」


「クラリスが裏切ったことも、な」


 オズワルドの目が、クラリスに向けられた。


「師匠……」


「失望したぞ、クラリス。お前は、俺の最高の弟子だったのに」


「師匠。私は——」


「言い訳は聞かない」


 オズワルドが、大剣を構えた。


「裏切り者には、死を」


「待て、オズワルド」


 俺は、前に出た。


「クラリスは、お前を裏切ったんじゃない。自分の正義を選んだだけだ」


「正義? 笑わせるな」


 オズワルドの目が、冷たく光った。


「この世界に、正義など存在しない。あるのは、力だけだ」


「力……」


「強い者が生き残り、弱い者が死ぬ。それが、自然の摂理だ」


「お前は——900年前から、ずっとそう思っていたのか」


 オズワルドが、一瞬だけ——動きを止めた。


「……お前、何を知っている」


「すべてだ」


 俺は、オズワルドを真っ直ぐに見た。


「お前は、900年前——世界が滅びかけた時、何もできなかった。だから——『選別』という歪んだ正義にすがった」


「黙れ……」


「お前は、弱い者を切り捨てることで——自分の無力感を埋めようとしていた」


「黙れ……!」


 オズワルドが、剣を振り上げた。


「お前に、俺の何が分かる……!」


 その瞬間——


 ベルが、俺とオズワルドの間に立った。



「オズワルド」


 ベルの声が、静かに響いた。


「久しぶりだね」


「……ベルフェゴール」


「900年ぶり、かな」


 ベルが、オズワルドを見上げた。


「あなた、あの時——私に言ったよね」


「何を……」


「『お前のせいで、世界が滅びかけた』って」


 オズワルドの顔が、歪んだ。


「……覚えている」


「私、ずっと——その言葉を、背負ってきた」


 ベルの目に、涙が浮かんだ。


「でもね、今は分かる。あなたも——苦しかったんだよね」


「……」


「世界を守りたかったのに、守れなかった。その悔しさを——誰かにぶつけるしかなかった」


 オズワルドが、剣を降ろした。


「……お前は、俺を許すのか」


「許すとか、許さないとかじゃない」


 ベルが、微笑んだ。


「私は——あなたを、理解したかっただけ」


 沈黙が、流れた。


 オズワルドは、しばらくベルを見つめていた。


 そして——


「……いいだろう」


 彼が、剣を収めた。


「今日は、見逃す。だが——」


「だが?」


「次に会う時は、決着をつける。お前の『計算』が正しいか、俺の『選別』が正しいか」


「分かった」


 俺は、頷いた。


「最後の欠片を手に入れたら——お前に、証明する」


 オズワルドが、背を向けた。


「楽しみにしている」


 彼は、聖騎士団を率いて去っていった。

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