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残りマナ0.003%、世界の家計簿を黒字化します~追放された元監査官の最適化無双~  作者: 青柳 玲夜(れーやん)
第三章:忘却の聖戦

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第2話:黄金時代——灰のない世界

 目を開けた時、俺は——別の世界にいた。


 空が、青い。


 雲が、白い。


 太陽が、眩しく輝いている。


 そして——灰がない。



『時間軸:912年前』

『場所:王都エルディア(過去)』

『マナ濃度:12.5MP/㎥(現在の62倍)』

『気温:22℃(快適)』

『世界樹の状態:完全活性(緑色に輝いている)』



「これは……」


 俺は、周囲を見回した。


 王都エルディアだ。


 だが、俺が知っている王都とは——まったく違う。


 建物は白く輝き、空中には浮遊する庭園がある。


 道行く人々は、魔法を当たり前のように使っている。


 子供が空を飛び、老人が杖を振るだけで荷物を運ぶ。


 街全体が、魔法で満ちている。



「美しい……」


 エルが、呟いた。


 彼女も、俺と同じようにこの「記録」の中にいるらしい。


「これが、900年前の世界……」


「そうだ」


 オズワルドの声が、どこからか聞こえた。


「これが、『黄金時代』だ。マナに満ち、誰もが魔法を使い、誰もが幸せだった時代」


「幸せ……?」


 俺は、マナ・レジャーを起動した。


 数字が、表示される。



『街路照明:消費15,000MP/日(適正値の3,000倍)』

『浮遊庭園:消費200,000MP/日(完全な無駄)』

『一般家庭の平均消費:500MP/日(現在の500倍)』

『効率:平均2.3%』

『世界樹への負荷:持続可能限界の340%』



 ——340%。


 持続可能な限界の、3倍以上。


 この繁栄は——



「気づいたか」


 オズワルドの声が、冷たく響いた。


「この『黄金時代』は、世界樹を殺すための緩やかな自殺だった」


「自殺……」


「人々は、マナを湯水のように使った。明日のことなど考えず、今日の快楽だけを追い求めた」


 俺の視界に、新しい数字が表示された。



『世界滅亡までのカウントダウン(当時):00年487日 08:15:22』



 487日。


 今と、ほとんど変わらない。



「当時の人々は、気づいていなかったのか?」


「気づいていた者もいた」


 オズワルドが、街の一角を指差した。


「あそこを見ろ」


 俺は、その方向を見た。


 白い建物がある。


 その入り口に——見覚えのある紋章が刻まれていた。


 マナ運用局の紋章。


「来い。お前に、見せたいものがある」

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