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残りマナ0.003%、世界の家計簿を黒字化します~追放された元監査官の最適化無双~  作者: 青柳 玲夜(れーやん)
第二章:氷と聖騎士編

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第10話:包囲——レオンとの再会

 灼熱遺跡から脱出した俺たちを、再び聖騎士団が待ち受けていた。


 今度は、500人。


 前回よりも、数が増えている。


「……しつこいな」


 俺は、舌打ちした。


 だが、今回は様子が違った。


 騎士団の先頭に立っているのは、オズワルドではなかった。


 代わりに——


「……師匠」


 レオン・グラナートが、そこに立っていた。



「久しぶりだな、カイ」


 彼の声は、いつもと変わらなかった。


 だが、その目には——悲しみがあった。


「師匠、なぜここに」


「オズワルドの代理だ。奴は、別の任務に就いている」


「別の任務……?」


「お前を追い詰めるための、包囲網を敷いている。俺は、その一部だ」


 レオンが、一歩前に出た。


「カイ。悪いが、お前をここで止めなければならない」


「……師匠は、オズワルドの側に付くのか」


「側に付くわけではない。だが——」


 レオンが、目を閉じた。


「お前を逃がすためには、こうするしかなかった」


「逃がす……?」


 俺は、レオンの言葉の意味が分からなかった。


 だが、次の瞬間——


 レオンが、懐から何かを取り出した。


 古い、禁忌の魔法陣。



『検出:禁忌魔法ソウル・コンバージョン(自己適用型)』

『効果:術者自身の魂をマナに変換』

『生成マナ:推定50,000MP以上』

『警告:この魔法は、術者の死を伴う』



「師匠……!」


 俺は、叫んだ。


「何をするつもりだ……!」


「お前を、逃がす」


 レオンが、微笑んだ。


「カイ。俺は、お前の師匠だ。お前が世界を救うのを、最後まで見届けたかった」


「だが、これでは——」


「俺は、もう老いた。あと数年の命だ。それなら——」


 レオンが、魔法陣を発動させた。


「お前のために、使った方がいい」


「待て、師匠……!」


 俺は、駆け出した。


 だが、間に合わなかった。


 レオンの体が、琥珀色の光に包まれ始めた。



『リソース:レオン・グラナート → 純粋マナへ変換中 10%... 20%... 30%...』



「師匠……!」


 俺は、レオンの前に立った。


 彼の体が、少しずつ透けていく。


「カイ」


 レオンが、俺を見た。


「お前は、俺の最高の弟子だ」


「師匠……やめてくれ……」


「今度のお前は——」


 レオンが、微笑んだ。


「——前よりもずっと、『優しい数字』を書くようになったね」



『変換率:80%... 90%...』



「師匠……!」


「世界を、救え。カイ」



『変換率:100%』



 レオンの体が、完全に光に変わった。


 そして——俺の手の中に、小さな結晶が残った。



『生成マナ:52,000MP(結晶化)』



 師匠の、命の結晶。


「……師匠……」


 俺は、その結晶を握りしめた。


 温かい。


 師匠の、最後の温もりが——そこにあった。



    *



 聖騎士団は、混乱していた。


 指揮官のレオンが、突然消えたからだ。


 俺は、その隙を突いた。


「エル、ベル、走れ!」


 俺たちは、騎士団の包囲を突破し、逃げ出した。


 後ろから、追跡の声が聞こえる。


 だが、俺は振り返らなかった。


 ただ、走り続けた。


 師匠の結晶を、握りしめながら。

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