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3話:水中の化物2

 「ターゲット1沈黙確認。エドワードと同行した者は一旦補給だ」


部隊長は状況報告を全体にして、次の行動を思慮する。目標3体のうち1体は撃破された。

デメテルに攻撃を続けていた2体のタイラントタートルは都市への攻撃を中断した。

街を守るデメテルの水中装甲はかなりのものであるが、継続して攻撃を続けられるとどうなるのかは分からないが故に周りのパイロットから安堵の声を漏らしていた。だが、その矛先は何処に向くのかは考えるまでもない。


「ターゲット2、3街への攻撃を中断、こっからだぞ。総員回避に専念しろ。まずは連携をしてくるのかを見る。」


部隊長の通信を確認して、各々が散開する。

仲間の死を目撃し、怒りを露わにする2体のタイラントタートルは視界に入る戦機に向けて大きく息を吸う様な動作をする。

するとまるで、その場所に突然海流が現れたかの様に不自然な水の流れが出来上がる。すると徐々に戦機はタイラントタートルに引き寄せられていく。スクリューフル稼働していてもその力に抗う事は出来ない。


「何をやっているタイラー! さっさとその場から離れろ」

「だめでさぁ、全然動きませんぜ。ターゲット2にどんどん引き込まれていきやす」


 タイラーの額から汗が流れ落ちる。スクリューの回転率を上げるペダルを一番奥まで踏み込んでも、前に進む気配は感じられない。むしろタイラントタートルの方へと引き寄せられていると言う事実は彼の精神を徐々に蝕んで行く。


「た……隊長どうすればいいんでさぁ。あっしではどうにもなりやせんぜ」

「ちょっと待ってろ!」


その言葉と同時に部隊長の戦機よりハープーンがタイラントタートルに向けて射出された。その洗練された技術で放たれた銛は水の抵抗値を計算して射出されたものであり、まるでタイラントタートルの目へと吸い込まれるように進んで行く。


「ターゲット2命中! 流れは収まっただろう。今すぐ離脱しろ!」

「助かったでさぁ。戦線離脱完了」


 タイラーがタイラントタートルの射程より離れた瞬間、タイラントタートルは今更痛みを感じたかのように周囲を揺るがす咆哮を放つ。ガタガタと全機体に振動が伝わり、隊員に緊張が走る。体当たりを一撃貰うだけで致命傷になる姿を見せつけられているので、一瞬の油断が命とりになるのは全員が分かっている。次の一手は何が来るのか、全体的に不安を感じながら身構える。


「来るぞ! 散開」


 タイラントタートルは足だけを残し、頭、両手、尻尾を甲羅の中に全てしまい込んだ。そして、体を回転させてまるで弾丸の様に水中を進み始めた。片目を失い、視界が少ないのであれば防御を固めて、ランダムに攻撃をすることを選んだようだ。もう一体のターゲット3はターゲット2を援護するように立ち回る。自分の体をターゲット2にぶつけて軌道を調整するような動きも見せ、またターゲット3を守る様にハープーンの銛を自らの甲羅で受け止めはじき返すような動きをしている。


「ターゲット3が厄介だ! 連携をしてきやがる。電磁ネットで動きを止めらないか試してみるか……」


部隊長は部下へ指示を出し、電磁ネットをまるで機雷を設置するかの様に、水中にいくつも広げていく。自分たちの行動も制限されるが故に、諸刃の剣となるかは賭けである。


「各員、マップに電磁ネットの配置をしっかりと映しておけ、自分の罠に掛かる間抜けはいないと信じているぜ。」


 隊員達は自然と電磁ネットとタイラントタートルを対角線に挟むような位置取りを取る。電磁ネットは触れると電流が流れる鋼鉄製のネットであり、30mの級のタイラントタートルを覆うほどの範囲は無いが、絡みつかせる程度の効果はある。


「電磁ネットを盾にして動け! とにかく効果的なダメージを与える方法を探せ」


 ターゲット3は電磁ネットを視認している為、全ての問題なく回避行動を取れている。だがターゲット2は視界が無いので罠に掛かるのも時間の問題だ。


「掛かったぞ、追加の電磁ネットをターゲット2に射出!」


 ターゲット2は鋼鉄製の電磁ネットに突っ込み、さらに高速で回転しながら激突したので体に電磁ネットがどんどんと絡まっていく。体に走る電流が筋肉の硬直を促し動きを劣化させていく。甲羅にしっかりと絡みつき引っ込めていた頭、手、尻尾を出すことは叶わない状態になってしまった。


 追加で罠ではなく投網の様にタイラントタートルの体に向けて電磁ネットが射出されていく。徐々に体は電磁ネットで覆われていき、高圧の電流がその体を徐々に蝕んで行く。


「完全に止まったぞ! 後は弱っていくのを待つだけだ! 標的をターゲット3に切り替える。5機はターゲット2の行動を監視しておけ」


 電流で筋肉が完全に硬直したタイラントタートルの足もまた動かなくなり、動きは完全に停止して、水中で静止している。完全に絶命はしていないが、無力化を出来たと確認出来る。

 

 部隊長の判断でターゲット2は取り合ず放置をして、最後に生き残っているターゲット3へと目標を変更する。

 

 電磁ネットへと絡めらている仲間を見て、最後のタイラントタートルは状況の悪さを感じている。そして仲間を全て失い、悲しみの方向を上げる。


 

 

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