2話:水中の化物
「照明弾絶やすな! 何処から来るか分からなくなるぞ!」
「弾幕を張れ。相手の装甲を削り取るんだ」
100機を率いる部隊長の怒号が通信越しに戦場へと響き渡る。
本来は一寸先は闇の水中ではあるが、照明弾により光が指しクリアな視界が広がっている。
「魚雷は使うなよ! 視界が悪くなり同士討ちになる」
「「了解」」
「近接に自信のある奴は水中用ブレード、他はハープーンで生身の部分を狙え!間違っても仲間を撃つなよ」
部隊長の指示が全体に伝えられる。そんな言葉が紡がれている間にも近づいた戦機がタイラントタートルの体当たりを受けてしまい半損している。3倍程の質量から来る衝撃は強く、戦機の左腕、左足は元とは違う形へ変形している。コクピットはむき出しの状態になり赤い液体が水中に広がり始める
「ジェイムズ、戻ってきて早々悪いが、あいつを回収だ。生きてるかもしれないから慎重に頼むぜ」
「一人では無理だ。もう一人くれ」
「分かった。カレンお前も手伝え」
「了解! ジェイムズさん今行きます!」
カレンと呼ばれる新兵が破損した機体へと近付き残った足を持ち、ジェイムズは胴体を優しく持つ
「カレン! 俺がそっちの速度に合わせるから慎重に移動しろ」
「では、行きますね」
二人が退避する間、周りの隊員はハープーンでけん制し、タイラントタートルを近づけさせないように立ち回っている。そして二人が完全に退避をする姿を全員が確認した後、事が始まる。
「このままでは埒があきません。私が行きます」
一人だけ装備・機体カラーの違う戦機に搭乗するエドワードが名乗りを上げた。新規武装を研究する開発課が作り上げた特別仕様だ。乗っているパイロットもまた、若いながらもデメテルで上位の使い手である。
「わかった。まず、街を攻撃している奴の周りをちょろちょろしている方を頼む。10人くらい援護に連れて行ってもかまわんぞ」
「隊長、助かります。」
エドワードは通信で10人を素早く選定して、突撃の準備を行う。
「今よりエドワードが至近距離での攻撃を行う。俺がタイラントタートルの後方から近付いて甲羅の上にのりアンカーで戦機を固定し、このドリル武装で甲羅ごと貫く。君達には背中に取りつくまで気付かれないように遠距離攻撃を継続して行って貰う」
「「了解」」
「よろしく頼むぞ」
エドワードは戦機の背中についたスクリューを全開にしてタイラントタートルの後ろにつく。特別性の機体であるため、他と比べると段違いのスピードが出ている。その分パイロットに掛かるGは強く体が座席に押し付けられるが、エドワードは普段から鍛え上げた肉体を元に体を起こす。
戦場は街の底部を2体のタイラントタートルが攻撃を続けており、まるで護衛をするように1体のタイラントタートルがその周りで旋回を続けている状況である。まずは護衛の1体を撃退する方針だ。
大量に射出されたハープーンの銛がタイラントタートルの顔、手足に刺さっていく。だが、半数以上はその堅固な甲羅に弾かれその身に刺さる事は無かった。
「今だ!」
タイラントタートルがダメージを追って少しスピードが落ちたタイミングを見てエドワードは甲羅にとりつく。左腕よりと両足よりワイヤーが射出され、甲羅の周りをグルグルと絡みついていく。そのことにより戦機の体はタイラントタートルに固定される。
「いくぞぉ、食らえっっっ!」
右腕に装着されているドリル状の武装で甲羅を徐々に貫いていく。ガリガリと大きな音を立てながら甲羅が割れ肉のある場所まで突き刺すとタイラントタートルは徐々に力を失っていく……
「ターゲット1沈黙。ワイヤー解除。一時撤退だ」
エドワードは連れてきた10人に通信を送り撤退の合図を行った。




