1話:整備士の戦い
「レン!遅っせいぞ! 警報が鳴ってからどれだけたってると思ってんだ」
デカいレンチを持ったオーバーオールのおっさんは作業しながらレンに声を掛ける。体中オイル塗れになりながらもその手は止まらない。おっさんの視界には自分の体の10倍程ある『戦機』と呼ばれる巨大ロボットがある。パイロットがスポーツドリンクを飲みながら、再度出撃の為待っている。
「すまん”ジェイムズ”のおっさん!妹を避難所に送ってたんで」
「誰がおっさんだ! 俺はまだ35だ! まぁいい。お前はそういえばそうだったな。それならさっさと着替えてこい。今回は余裕がねえぞ。既に補給と修理を待っている機体が何機もある」
35歳はおっさんなのでは? と思いながらロッカールームへと走り出す。ジェイムズの話では状況はあまり良いものでは無いようだ。素早くつなぎに着替え、腰につける道具袋を取りだす。歩きながら着替えを完了してジェイムズの元へと足早に戻った。今居る港のドックは100体の戦機を収容出来る施設であり80体程は到着した時点で出払っている。
「戻ったレン。道具持ってきてる所、悪いんだがよ。メンテナンス用戦機に乗ってくんねぇか? お前が一番上手えからいっつ任せて悪いがよ」
「分かった問題ない。それで何をすればいい?」
「搭乗すれば通信が入るから、それに従ってくれ」
「ジェイムズのおっさんが指示を出すんじゃないのか?」
「俺は補給で忙しいから他所の事なんて見てらんねぇよ! あの美人課長が担当するらしいぜ」
「ゲッ! あいつかぁ」
「気持ちは分かるがさっさと行け!」
ジェイムズの話が終わり足早にメンテナンス用戦機へと向かう。
この戦機は基本構造は現在戦闘を行っている戦機と異なり武装が全て外されているかわりに戦機修理用ユニットを背中に装備している。
コクピットに搭乗し、電源を入れると目の前に広がるモニターから戦機が見えている世界が映し出されている。
戦機の起動が全て完了すると小さいウインドウに一人の眼鏡をかけた女性が写し出される。その姿を見てレンは小さい溜息をつく。
「こんにちわ。これからは私、オリビアが担当するわ。早速態度が悪いわね減点1ね」
「まだ、起動しただけなんだが!?」
「冗談よ。課長ジョークね」
謎の笑えないジョークを交えてオリビアは淡々とした言葉で語りだす。何を考えているのか分からないから整備部署全員が対応に困っている。なぜそのポジションまで上り詰めたのかは全員分からないらしい。
「早速、作業を進めながら現状を伝えるわ。まず目の前にある3機の右腕を丸ごと交換をお願いします。換装パーツは何処にあるかは分かっているわね」
「了解、作業に取り掛かる」
「返事がいいわね。加点1万点よ」
「了解」
「課長ジョークよ」
課長から時折、挟まれる訳の分からない言葉を無視して、作業に入る。まずは軽傷の戦機の修理である。壊れている右腕の接続を解除してスペアの右腕パーツと交換していく作業に入る。メンテナンス用戦機を操り、スペアの右腕パーツを3つ修理ユニットへと接続していく。その作業の合間も課長からの通信は続く。
「では、今回の状況を説明します。水中より亀型のモンスター通称タイラントタートルが3体、この海上都市『デメテル』の底部に体当たりを繰り返しているわ。全長30m程のサイズで耐久力があるモンスターね。持久戦になるから破損した機体は修理・補給を早急に行い再出撃を繰り返す事となります。今回は私たちの整備課が大忙しになるから徹夜の覚悟をお願いします。」
「了解」
「では仕事に取り掛かって下さい。別の作業があるので私はこれで失礼します」
課長のその言葉と共に通信は一方的に切られた。そんな会話を終了するまでに1機の換装が終了している。補給も既に終わっているのでパイロットの休憩は終わりである。レンはパイロットに通信を繋げた。
さっきまでオリビア課長が写ってた場所にパイロットの顔が映る
「こちら、整備課のレンです。修理・補給は完了しました。いつでも出撃出来ます」
「おつかれさん。もう一回行ってくるわ。今晩の亀鍋は期待してろよ」
「不味そうですね。どんなにぶっ壊されてもいいので必ず帰ってこいよ。何でも直してやるからさ」
「当たり前だろう、俺を誰だと思っている」
「下っ端のサントスさんですよね」
「言ってくれるぜ! カタパルト準備OKだ。オリビア嬢ちゃん。いつでも行けるぜ」
軽口を叩きながら、サントスさんはオリビア課長へと通信を繋げた。
「課長に対して良くない態度ですね。減点1点です……課長ジョークです。それではカタパルト接続完了。システムオールグリーン。発進どうぞ!」
サントスの機体は勢いよく水中へと進んで行った。レン、オリビアは必ず帰ってくることを祈りながらその姿を見ていたのであった……
雰囲気で適当に書いているのでおかしい文章、意味分からない文章があれば教えていただけるとありがたいです




