転生者と転移者
転生者と転移者の邂逅の話。今回はリンちゃん視点。次回は同じ話をミチルちゃん視点で。
はい。特に言うことはありません。私です。
狼に襲われていた女性を助けて、そのまま今〈安寧の地〉で家に帰ってきたところです。やっぱりどこにいてもいつでも家に帰れるというのは最高ですね。
閑話休題。
それではお姉さんから事情を聞いてみるとしましょうか。…なんとなく予想はつかないでもないですけどね。ただ…異世界周りの話は流石にリーデに聞かれていると話しにくいですし、その時はリーデには席を外して貰うことにしますかね。
「それではご主人さま。私は紅茶の準備をしてきますね。」
「ありがとう。リーデは話聞かないの?」
「はい。彼女もなにか訳ありでしょうし、知っている人間は少ないほうがいいかと思いまして。」
「そういうことなら、あとで話せる範囲は話すよ。紅茶は…2階上がってすぐの部屋に持ってきてくれる?」
「ええ。分かりました。では準備してきますね。」
気遣いもできるいい子…!流石リーデ!リーデからお姉さんを引き継ぎまして、いざお部屋へ!
うんうん。この家は一応少し広めに設計していますし、今住んでいるのは私とリーデとライムちゃんだけですからね、部屋ならいっぱい余ってます。つまり何が言いたいのかって?お姉さん一人増えても全然養えるってことです。
「お姉さんはこっちの椅子に座って貰いますね〜」
「あ、はい。」
「大丈夫です。そんなに不安そうな顔しないでください。って言っても無理でしょうけどね。まぁ、気楽にお悩み相談くらいな感じでいてくださいな。」
「はっはい。」
あ〜、気まずいなぁ〜。いや、喋り方からして陰キャの気配は感じるので親近感は湧くんですけども…どう話したものか…駄目です。女子との会話の経験値が…!圧倒的に足りない…!元童貞がいっちょ前に女子と会話ができるわけがないよ…しなければならないのでがんばりますけどね…
「とりあえず、最初は自己紹介から始めましょうか。私はリン。10歳です。気軽にリンちゃんって呼んでくださいね!」
「わ、私は花さk…ミチル=ハナサキです。16歳の女子高生…です。あ、女子高生というのはききき、気にしないでください!」
ああ、うん。ほぼ確定ですね。でもまだ確信出来ない…よね。それにしても…そんなに私話しにくいかなぁ?ちょっとショックです…一応見た目は美少女なんですけども…それともさっきの戦闘のせいで怯えられてる⁉
「それで…ミチルさんはあんな森の中で何をしていたんですか?武器も持たずに1人で…」
「えー…と、その…き、気がついたらあそこに居て…ですね…そのー、それまでの記憶が…なくてですね。名前は覚えてるんですけど…それで迷っていたところをあの狼に襲われまして…皆さんに助けられた次第です。はい。」
「なるほど…それは大変でしたね。…記憶が無いってことは行く宛も無いんじゃないですか?良ければ家に居てくださっても全然良いですけど。」
「え、良いんですか…?迷惑とかじゃ…」「ないです。」
おっと失礼。ちょっと食い気味になってしまいました。
「失礼します。紅茶の準備が出来ましたのでお持ちいたしました。おかわりも用意してあるのでいつでも言ってください。」
「ありがとう。リーデ。」
「それではごゆっくり。」
結構いい感じのタイミングでリーデが紅茶を持ってきてくれて助かりました…それでは一口…うん。おいしい。落ち着きますねぇ。
「あ、美味しい…!」
「そうですか。ミチルさんのお口に合ったようで良かったです。さて…下手に気を遣うのは疲れるので本題、いっちゃってもいいですか?」
「本題…ですか?」
さて…どう切り出したものか…難しいところですが…転移してきたことは確認はしないといけないですからね。
「はい。本題です。確認したいんですけど、ミチルさんは転移者…ですよね?」
「⁉」
分かりやすいなぁ…一般JKに腹芸を求めるほうが酷というものですよね。でも不安にさせたい訳ではないんですよね。
「ああ。心配しないでください。私も転生者なので…境遇は似たようなものですよ。」
「え…リンちゃん…も転生者なの?その…私も転移者…なんだけど…それがどうしたの?」
「いや、そっちはあんまり重要ではないんですよ。個人的に。聞きたいのは胡散臭い神にあの森に送られたのかってことです。」
「うん。話をしていたんだけど、忙しいからって急に落とされちゃって…その…私、あんまり殺伐としたものは苦手だから私を保護してくれるような人もつけて欲しいってお願いしてたんだけど…」
まぁ、なんかやりそうではありますよね。あの適当な感じからして。殴り込みに行けないのが残念ですけど、今度夢に出てきたら一発ぶん殴ってやりましょう。そのくらいの権利はあるハズ。そしてその保護してくれる人に選ばれたのが私というわけですか…別にいいんですけど、それはそれとしてなんか腹たちますね⁉そっちから人手を割いてもいいのでは⁉
「うん。あの神一発殴っておけばよかったかな…ま、それは置いといて。よくもまぁ咄嗟に記憶が〜ってやつを思いつきましたね、ミチルさん。」
「あ、えっと…これが一番違和感ないテンプレかなって思って。あと、私のことわざわざミチル”さん”なんて畏まった呼び方しなくても…大丈夫…だよ。女の子の友達が出来たのは嬉しいし。あ、友達なんて言いすぎだよね⁉ごめんね⁉」
すごい…ここまで綺麗な陰キャムーブも見たことないですよ。謎の感動があります…!
「お友達…良いんですか?私で?前世男だったんですけど。」
「うん!その…よろしく…って、え?男?それ…本当?」
「はい。今はこーんな美少女やってますけど。一般男子でした。」
「ええ⁉全然見えない…」
ふふっ…そう言われると…照れますね!顔がちょっとニマニマしちゃってるのが分かります。
「大丈夫。ミチルちゃんも可愛い部類に入るよ。」
「おうふ…美少女の褒め言葉の破壊力…すご…あ、そういえば…私が何やってたとか聞かないの?その…私が悪い人間かもしれないよ?」
「まぁ。その人が過去に何やってたか、なんてぶっちゃけ興味無いっすね。黒い噂とかある人ならまだしも…自称悪い人間は悪ぶりたいだけのいい人じゃないです?とりあえず、ファンタジー好きな一般JKなのが分かってれば十分。」
何かおかしなこと言いましたかね?なんか固まっちゃたんですけど。わりかし普通のことしか言ってないつもりですが…あ、もしやJKって言ったのキモかった⁉露骨に経験値不足が出てしまったか‼うわぁ〜、やらかした!
「ふふっ。あはははは!」
なんか、ミチルちゃんって感情の変化激しいんですかね?おどおどしてたり固まったり笑いだしたり…
「ごめんね…その…リンちゃんが百面相しているのが面白くなっちゃって。さっき私を助けてくれた時とは全然違ったから…その落差も相まって急に笑えてきちゃって!」
「そんなに私表情変わってましたか⁉…まぁ、ミチルちゃんが明るくなれたっぽいなら万事OKですけども。」
しかし…私そんなに分かりやすいんでしょうか。前世では割と無表情だって言われてきたんですが、今生は肉体に引っ張られてるんですかねぇ?
最近暑いっすね。筆もとまりやすくなってしまった。
今回はリンちゃん視点でした。どうやら前世よりも感情豊かになったらしい。次回は前書きにも書いたとおり、ミチルちゃんの視点です。ちょっと過去の回想入って分割するかもだけど…ま、彼女の過去を重いものにはしないです。ただただ自己肯定感低めな陰キャなだけ。
では次回もよろしくです。m(_ _)m




