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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第18話 課外活動

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100 敵などについて

 衣緖菜が送っている内容については、昨日相談したから知っている。

 バナジードについて、衣緖菜が知っていること一通りと、衣緖菜が日本にやってきて、この学校に来るまでの経緯。

 つまりはごくごく個人的なこととか、俺自身についての詳細以外は、ほぼ全部だ。


 さて、俺としては少し気になった事がある。

 敵と認識されている相手、もしくは組織についてだ。


 花音さんから送られた情報によると、組織についてわかっていることはこんな感じになる。


 ○ 不正を行って処罰されそうになったり、戦争推進派で戦況が悪くなった結果、責任を取らされそうになったりした、サラステクスの魔法貴族により組織された

 ○ 他に戦争に敗北したバナジードの貴族や、フィルメディの商人、ロクモアの貴族等も加わっているらしい

 ○ 日本側における組織の人数や拠点等については不明

 ○ 判明した地球側の移動先座標は、今のところ日本の本州か九州。ただし他の場所に移動していないという確認はとれていない

 ○ 目的は異世界である地球で、資源や財力を得て組織を拡大すること。またそれらの力でアトラ世界で勢力を広げること

 ○ 洗脳により配下を増やすことがある

 ○ 魔法を使える者を発見した場合、優先して洗脳する可能性が高い


 なお藤代さんからは、『探したり戦ったりすることを含め、出来るだけ関わらないでくださいね』と言われているそうだ。

 ただ最悪の場合、衣緖菜の部下がこの組織に捕らわれている、もしくは洗脳されているという場合がある。

 もちろん花音さんも、そして衣緖菜もそのことに気づいているだろうけれど。


「ありがとう。それでは今いただいた情報をこちらで共有しますから、少し待ってくださいな」


「わかった」


 全員でテーブル中央に手を伸ばして、花音さんが一番上に手を乗せた。

 何か円陣を組んでエールをやるときみたいだけれど、こうやって情報を伝達するのだろう。

 魔法で情報を伝達するのも、無線より有線の方が有利なのだろうか。

 なんてしょうもないことを考えたところで、5人が手を引っ込める。


「終わりました。それでは質問、どうぞ」


「ありがとう。それではまず、私から」


 衣緖菜は何か聞きたいことがある様だ。

 でも、どんな質問をするつもりだろう。

 ひととおりの事は、今の花音さんからの情報でわかった気がするのだけれど。


「花音たちを援助した『藤代』さんは、自由にアトラ世界と行き来出来る。そう考えていい?」


 確かにそのことは、情報に入っていなかった。

 気づかなかったなと思いつつ、花音さんと愛美さん、それぞれの方をうかがう。

 2人とも軽く頷いて、そして花音さんが口を開いた。


「ええ、私たちは花梨さんと呼んでいますけれど、花梨さんと彼女の友人のうち何人かは、アトラ世界と地球とを自由に行き来出来るそうです。少なくとも相対距離が比較的近い位置となる、あと三十年程度の間は」


 前に衣緖菜に聞いたけれど、衣緖菜の魔法と魔力では、アトラ世界と地球とを行き来する事は出来ないらしい。

 転送装置を使用しないとアトラ世界から地球に移動できない。

 そして地球からアトラ世界は『流れがアトラ世界から地球側への向き。だからあれと同じ転送装置があっても、おそらくは魔力不足で無理』らしい。


 つまり藤代さん、花音さんの呼び方では花梨さんは、衣緖菜以上の魔法使いのようだ。

 衣緖菜の質問は、更に続く。


「敵は単一の組織と考えていい?」


 敵が幾つもいるという可能性も、俺は考慮していなかった。

 我ながらザル頭だと思いつつ、花音さんの方を見る。


「ええ。ただ敵の組織は、アトラ世界からこちらに来ることは出来ますが、こちらからアトラ世界に行くことは、現時点では出来ないそうです。今から5年前の最接近時には可能だった様ですし、あと12年後の接近時には可能かもしれないと聞いていますけれど。だから敵の組織の中でも、アトラ世界側と地球側の意思はかなり違っているかもしれない。私はそう聞いています」


「花梨さんたちは敵の組織に対して、積極的に攻撃する意思はありそう?」


「基本的には『ない』と聞いています。ただ誘拐や洗脳、この世界に侵略を仕掛ける行為などが発覚した場合は、その限りではないとも言っていました。ですからもし何かありましたら、お互いSNSで連絡するとなっています」


 なら衣緖菜の部下が捕らわれている場合は、あてにしていいのだろう。

 本人に確約を取ったわけではないけれど。

 衣緖菜は頷いた。


「ありがとう。それじゃ最後に、花音に個人的に聞く。答えは伝達魔法で聞きたい」


 そう言って衣緖菜が出した右手を、花音さんが握る。

 2秒程度握って、手を離して、そして花音さんは頷いた。


「ありがとう」


「同意すべきではないのでしょう。それでも私は理解しますし、共感してしまうのです」


 これは、どういう意味だろう。

 多分今の花音さんの言葉は、俺や愛美さんたちに聞かせるつもりで言ったのだろうけれど。


「私の質問は以上。陽翔は何か質問はある?」


 経歴関係は特にない。

 強いて言えば、先程衣緖菜と花音さんが魔法で会話した内容が気になる。

 ただそれを聞くのは反則な気がするのだ。

 聞かれたくないから魔法で聞いたのだろうから。


 だから俺が聞く内容は、こんな感じになる。


「今までのことについては特にない。だからここで、これからどういう活動をしようかという案があれば教えて欲しいというくらいだ。でもその前に、こちらへの質問があれば」


「それじゃ、誰か質問ある?」

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