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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第16話 俺は確かめられなかった

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91 最初の宣伝?

 4月11日木曜日、13時少し前。

 五時限目の英語Ⅰの準備でタブレットを起動したところ、通知が入っているのに気づいた。

 学校用SNSによる通知だ。

 さっと開いて、画面を斜め読みする。


『課外活動の責任者および参加者宛 新学期の課外活動一覧を4月16日(火)に更新する予定です。ですので4月12日(金)までに、次のアドレスにある課外活動紹介ページを、本年度用に更新してください』


 だいたいこんな感じの内容だ。

 そういえば新入生に配られた『課外活動のしおり』に、こんなことが書いてあったなと思い出した。


『最新の情報は、課外活動紹介ページを確認してください』


 なら今日の放課後、頑張って作るとしよう。

 そう思ったところで、英語の夷隅先生が入ってきた。


 ◇◇◇


 そして放課後。

 サークル棟312号室には、昨日と一昨日はいなかった奴がいる。

 残念ながら、異世界魔法部の入部希望者ではない。

 メイだ。


「紹介ページだったら、それなりのデザインがあるし、イラストも必要だよね。どう考えても都築の得意分野ではなさそうだから、手伝いに来た」


 ということだそうである。


「それはありがたいけれどさ。自分の課外活動の方はいいのか?」


「第二文芸部は気にしなくて大丈夫。集まって書いてもいいし、自室で書いてオンラインで提出してもいいし、割と自由なんだよね。郷土民族研究会と第五軽音楽部は名前を貸しているだけだし」


「軽音なんてのまでやっているのか?」


咲花(えみか)に頼まれて一応参加って形。これでもお嬢様だから、ピアノ習っていたし。文化祭でもキーボードで助っ人で出る予定だからよろしく」


 昨花というのは、クラスメイトの栗源(くりもと)のことだ。

 衣緖菜とも話す友人だから一応知っている。

 でも疑問は他にもある。


「あと、よくこの部室の場所、わかったな。魔法が使えないと意識できないはずなのに」


 メイは、俺たちと一緒に来たわけじゃない。

 最初に俺が、次に衣緖菜がこの部屋について、衣緖菜の収納からパソコンを取り出して作業を開始しようとした時に。


『じゃーん。助っ人登場!』


 扉を開けつつ、そう言って入ってきたのだ。

 なお俺と衣緖菜の到着が違うのは、教室での定位置というか会話する友人の居場所が違うから。


 登下校時を除き、校内では基本的に別行動で通している。

 もちろんクラスの連中は、俺と衣緖菜が姉弟であることを知っているけれど。

 どこかの馬鹿中学校の馬鹿生徒のように、恋人として紹介しろなんて本気で言う奴はいないから、問題ない。

 ネタまたは冗談としては時々言われるけれど。


 というのはともかく、この部屋について、メイは知らないはずだ。

 それに今言ったように魔法が使えない限りは、この部屋を認識できないし。


「ふっふっふっ、衣緖菜っちの知識を転送済みだから、私も魔法を使えるのだよ。ということで、(ルークス)!」


 メイの爪先に、ほのかな光が点った。

 確かに魔力が動いているのがわかる。

 しかし微妙な疑問が……


「魔法が使えるのはわかった。けれど何故呪文がラテン語なんだ?」


「この方がらしいと思って。英語で『ライト!』だとシンプル過ぎて面白くないしね。『光あれ!』だと世界創造っぽいし」


「はいはい」


「ということで都築、交代。私がささっと原案作るから、適当に意見よろしく」


 メイが俺のパソコンを取り上げた。

 ささっとソフトを確認して、わざとらしいため息をつく。


「まともなデザインソフトは入っていないか、というか一番安いオフィスの他は最初から入っているやつだけ。なら適当にフリーソフト入れるよ」


 問答無用という感じで、メイは作業を始める。


 ◇◇◇


 約2時間半後の、17時50分。

 いかにも異世界という感じの画像と、異世界魔法部の紹介が一通り入った課外活動紹介ページができあがった。

 それだけではない。

 異世界魔法部のWebページだのSNSのサイトだのまで、できあがっている。


「何というかメイ、慣れているな」


「中学の文芸部で部誌を作るので慣れているしね、イラストもデザインも。ひとつ作れば、あとはデザインなり説明なり、流用出来るから簡単。お礼は今度の土曜か日曜の夕食でいいよ。確かに寮の食事、悪くはないんだけれど飽きそうだから」


 何だかなあ。

 それに今のうちに宣言しておこう。


「俺も衣緖菜も料理は得意じゃないぞ」


「なら多少は手伝うから、材料は適当に買っておいて。肉は安いのでいいから500グラム以上で、あと野菜は適当に」


「はいはい」

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