90 送信
何が良くないのか、俺にはわからない。
でも順序としては、こっちから聞いたほうがいい気がする。
「目的や活動内容は、これで問題ないのか?」
「大丈夫。これで通る」
問題ない様だ。なら次の質問。
「あと『魔法部』では良くない理由は?」
「この世界には、この世界の魔法がある。だから混同したくない」
予想外の言葉が出てきた。
この世界の魔法がある。
つまり、この世界にも魔法使いがいて、魔法が使えるということか。
ありえない、とは言い切れない。
異世界があって、そこの魔法がここでも使えるということと比べれば。
しかしだ。
「何故この世界に魔法があると、衣緖菜が知っているんだ?」
「今は言えない。いずれ陽翔にもわかる」
今は言えない、か。
衣緖菜としては珍しい言葉だ。
ただ衣緖菜がそう判断したということには、なにがしかの理由があるのだろう。
だから気になるけれど、とりあえず今は追及しない。
「わかった。それじゃまた別の名前や目的を考えるか」
「いや、この方向性でいいと思う。だから……」
衣緖菜は少し考えるかのように間をあけた後、
「この世界の魔法ではない、そういう意味を込めて、頭に『異世界』とつけて、『異世界魔法部』でいい。本当は、あの世界以外にも異世界があると思う。でも『地球』のようなあの世界全体の呼称は、一般人には知られていない。だから『異世界』でいい」
なら別に『異世界』なしでもいい様な気がする。
衣緖菜は何にこだわって、もしくは気にしているのだろう。
それとも近未来予知で、何かが見えているのだろうか。
「あとこの申請、少し書き足していい?」
「ああ。どうぞ」
俺のノートパソコンを衣緖菜の方へ向け、少し移動させる。
「ありがとう」
衣緖菜は自分のパソコンを端に寄せ、俺のパソコンを操作し始めた。
どれどれ、横から内容を見てみる。
① 課外活動の名称
《《異世界》》魔法部
② 課外活動の目的
この世界にはない知識を使用して、この世界には無い魔法を使えるようにする
③ 課外活動の活動内容
ⅰ 異世界出身の生徒の交流を図る。そのために校内だけでなくネット等で広く情報を集め、異世界出身者との交流を図る
ⅱ 異世界での知識を教え合う等して、魔法の知識を収集・研究・訓練して、使えるようにする
《《ⅲ 当初は異世界のうち、アトラ世界(バナジード、サラステクス、フィルメディ、ロクモア、アルメディア)の情報しかない。しかしアトラ世界に限らず、広く異世界の出身者と情報を対象にする》》
④ 代表者と構成員の学籍番号
代表者:都築陽翔、学籍番号2720003
構成員一:都築衣緖菜、学籍番号2720008
構成員二:佐藤楓、学籍番号2720015
⑤ 活動場所の希望
第一希望:専用部室 第二希望:教室、準備室等学内の屋内
具体的には①に『異世界』を付け加え、活動内容を箇条書きにしてⅲを付け加えただけだ。
「具体的な名称を感知するという魔法がある。だからアトラ世界の具体的な国名を入れた。あとは名称に異世界をつけただけ。近未来予知ではこれで受理されて部室が確保出来るところまで見えている。ただそれ以上は薄ぼんやりと、なんとなくいい方向に行きそうという程度にしか見えない」
なるほど。
常識的にはおかしい。
それでも理由があって申請も通るなら、これでいいのだろう。
「わかった。それじゃ、これで送信する」
再び俺の手元に戻ってきたパソコンを操作して、俺は申請書を学校へと送信する。
ストックが大分少なくなりましたので、ここから一気に投稿ペースを落とします。
概ね週に2回更新くらいの目安になる予定です。
どうぞよろしくお願いします。




