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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第二章 異世界魔法部 第14話 入学するまでに(第2章プロローグ)

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83/99

85 自由

 竹出高校からうちの家までは、スマホの地図では1.1kmで14分。

 実際はもう少し短い時間で着くと思う。


 そしてメイはあちこち見ながら、ガンガン感想を言ってくる。

 まずは学校付近から。


「東京駅から35分でも、林や畑が結構残っているんだな」


 その通りで、学校付近は周囲が畑、所々昔から残っている林という風景。


「俺もここへ来るまで知らなかった。ただこんな場所だから、学校を新設しやすかったんだろう」


「確かに。ただ周りを見回しても山が無いのは妙な感じだね。地図で見てわかってはいたんだけれど、実際に見るとそれなりの感慨がある」


 確かに、どの方向にも山らしい山は近くに見えない。

 俺は飽多にいた3カ月足らず以外は、東京にいた。

 だから山が見えるという感覚を知ったのは、飽多に行ってからだ。


 それまでは山といっても、近くにあるのはせいぜい20mもない高さ。

 でもそれが山だという感覚が、飽多に行くまではあった。

 飽多ではじめて、あれは台地であって山ではない、山とは本当はもっと高いものだと、実感としてわかったのだ。

 なんてことを説明してもわからないだろうと思うので、返答は一言ですます。


「まあ関東平野だからさ」


 学校のある台地部分から緩い坂を下りる。

 この辺りは一戸建てメインの新興住宅地、

 更に駅に近づくと、5階以上の高いマンションと平たく広い駐車場がメインになる。


「町部分も向こうと比べて元気な感じだね」


 この理由は想像がつく。


「建物が新しいせいだろう。あとマンションとか、高い建物があるから」


「それもあるけれど、家を壊した後の空き地がそのままになっていたりしないのも大きいかな。あとちゃんと若い人がいるってのもある。今日は受験生がうろうろしているけれど、それ以外にもちゃんといる」


 そうか、確かに空き地のままという場所はここには無い。

 最低でも駐車場で、あとは何かを建築途中というところだ。


 あと飽多時代は、確かに若い人がいなかった。

 いるのだろうけれど、圧倒的に老人世代が多いせいか、見えにくかった。

 小学校の敷地にある図書館もどきも、職員以外は老人ばかりだったし。


「確かにそうかもな」


「その気になれば買い物がすぐ出来る、というのもいいね。駅にも歩いて行けるしさ。電車の本数も多いし。あっちは自転車で何キロも走らないと、食品すら買いに行けないし」


 まあそうだけれど、そこは一言いいたい。


「ここも近くにはスーパーくらいしかないぞ」


「でも駅まで歩けて、電車にちょっと乗れば、何だって買いに行けるだろう。向こうは3kmくらい自転車で走ってイオンに行くか、5km自転車で走って駅に行って、1時間に1本の電車に乗らないと。それでも手に入らないものも多いしさ。だいたい冬の間は雪で、自転車に乗れない日の方が多いんだ。車を運転できない子供に移動の自由なんて無い。結果として、移動以外の自由もない。スマホで遊ぶか勉強するか、そのくらい。そう思えばとんでもなく自由な場所だと思うよ」


 なるほど、確かにそうだ。

 飽多を出たのは夏だったし、そもそも3カ月もいなかった。

 だからあのころの行き詰った感覚を、だいぶ忘れてしまったいる様だ。

 なんて思ったところで、メイが衣緖菜に尋ねる。


「さて、そろそろ受験生が周囲にいなくなったから質問。今回の試験の結果、もう衣緖菜は見えてる?」


「3人とも合格が見えた。ほぼ確実」


 合格という言葉に、ほっと一息。

 自信はあったし、衣緖菜もメイも大丈夫だろうとは思っていたけれど。


 あと今の言葉で、メイは衣緖菜の魔法についてもそれなりに知っていることが分かった。

 今のは、予知の魔法を使えることを知らないと出ない言葉だから。 

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