84 想定外の事態?
午後3時20分、試験が終わった後。
忘れ物が無いか立ち上がったところで、メイが俺たちの方へやってきた。
「さて、もし時間があるなら私の方も話したいけれど、どう? 時間は2時間くらい、午後5時29分発までは大丈夫。合格発表があって入学手続きが出来る明後日まで、母とホテルに泊まる予定だから。真裏安の駅で午後6時待ち合わせだけれど。多少遅れても連絡を入れればそれで済む。
ということでもし時間がとれるなら、場所は何処にする? 家にお邪魔してもいいし、その辺の店でもいい。任せた」
何というか、相変わらずだなと感じる。
でも家に連れて行って大丈夫だろうか。
一応家そのものは掃除も整頓もしている。
俺の部屋と衣緖菜の部屋も、一応は別に存在している。
ただし机もベッドも布団もあるけれど、ほぼ全く使っていない。
そのことは一目見ればわかってしまいそうだ。
駅へ行く途中、図書館のある建物の2階にある青少年プラザあたりが無難だろうか。
あそこの多目的室やフリースペースなら、中学生が入っても中で喋っても問題ないし。
「衣緖菜、図書館の2階でいいか?」
「家でいいと思う。メイは全部知っている。だから問題はない」
えっ! 全部!?
どういうことで、どこまでが全部なんだ。
飽多にいたころ、衣緖菜がメイとSNSでやり取りしていたのは知っていた。
でもそれが今まで続いていて、なおかつ俺が知らないことまで連絡しているということは、全然気づかなかった。
でもそういえば、衣緖菜は以前はメイを、さん付けで呼んでいた筈だ。
でも今は、衣緖菜もメイも呼び捨て。
そうなるまで、メル友的に仲が良くなったということだろうか。
正直なところ、全然そういったことに気づかなかった。
衣緖菜のやることを監視しているわけではないから、仕方ないけれど。
どこまでメイが俺たちの生活を知っているのか、俺にはわからない。
しかし衣緖菜が家でいいと言っているのを、今更俺が覆すのは変に思われるだろう。
だから仕方ない。
「わかった。家にしよう」
そう言っておく。




