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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第二章 異世界魔法部 第14話 入学するまでに(第2章プロローグ)

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83 知っている反応

 さて、今日は1月21日の日曜日。

 本命の私立文理教養学園竹出高校の試験日だ。

 あと一昨日受験した滑り止めその1、私立壱河高校の合格発表日でもある。


 千葉県の私立は、だいたい今頃に試験がある。

 だから滑り止めその2が必要になってしまった場合は、都内の私立を受けた後、千葉県の公立を受けるという形になる。

 衣緖菜の近未来予知魔法で、こう見えているようだから問題ないけれど。


「壱河高校は、合格がほぼ確定的に見えた。この見え方なら問題ない」


 さて、明日受験する本命の竹出高校は、つい5年ほど前に出来た高校だ。

 設立コンセプトが『通える範囲に実力に見合った中学、高校がない、東日本の優秀な生徒の為の進学校』。

 中等部、高等部ともに8割以上の生徒が寮員という学校だ。

 そして今では、共学校としては全国トップレベルの進学実績を誇っている。

 

「公立だと内申書が転校組には不利だろう。だから私立で、私の拠点からそう遠くなく、衣緖菜と陽翔両方が通える高校で最難関にした。2人は寮だと完全にアウトだろうから、このままマンションから通うことにしたがな」


 この学校を狙うことに決めた理由を、ケイトさんはそう説明していた。 

 まあ妥当な考えではある。

 あとは、俺たちが合格するかだ。


 今日の朝食は、チーズを2枚載せて焼いたトーストと、カット野菜&ハムのサラダ。

 あとは俺が牛乳、衣緖菜がいつもの柑橘ジュース。


 食べ終わって、皿4枚とコップ2個を水で流して食洗器に突っ込んでスイッチを入れて。

 持ち物、具体的には受験票、鉛筆5本とシャープペンシル2本、消しゴム2個、筆記用具、直線定規、コンパス、時間表示機能だけの時計、ハンカチ、ポケットティッシュを確認。

 更にスーパーで購入した弁当を弁当箱に詰めなおしたお昼ご飯を入れて、もう一度確認した後。


「それじゃ行こうか」


「うん」


 集合時間45分前の午前7時30分に、家を出る。

 順調に歩けば10分少々だけれど、気分的に余裕があった方がいい。

 学校の試験会場は7時に開場と書いてあったし。


 学生服とセーラ服という中学校の制服姿だけれど、今日は中学校側ではなく駅方向、竹出高校側に向けて歩いて行く。


 ◇◇◇


 気が付いたのは、竹出高校について、試験会場の教室に入ってすぐだった。

 何か知っている誰かがいるような、そんな感じがしたのだ。


 今の俺の場合、これは気配とかいうあやふやなものではない。

 見えない場所でもある程度近くなら、魔法的感覚でわかるのだ。


 しかし今の俺の同級生で、衣緖菜以外にこの高校を受験する奴はいなかったはず。

 そしてそれ以外の知り合いなんてのは、いないと思うのだが……


 教室に入って、魔法で教室内全体をさっと確認。

 予想外だが、確かに教室にはよく知っている顔がいた。

 500kmくらい遠くにある中学の制服を着て、にやにやしながらこっちを見ている。


「やあおはよう、一足先に失礼。今は津久井じゃなくて都筑だっけ? 衣緖菜がいるから陽翔と名前で呼んだ方がいいかな」


 そう、メイだ。

 なるほど、理解した。

 愁高を受けるか聞いて、言葉を濁した理由を。


「どうした。思ったより驚いた様子がないけれど、まさか気づいていたとか?」


「いや、ここにいるのに気づいて、やっとわかった。まさかこんな遠くの高校を受験するとは思わなかったけれどさ」


「来年は麻木(スイ)もここを受けると言っていたな。親戚の家が近いし、学校にちゃんとした寮があるから、親からも許可をもらえそうだって。それにここなら、乗り換え一回でビッグサイトに行けるとも言ってたな」


 何だそりゃ。


「そんな理由でここを受けるというのは、なかなか大物だな」


「あれでも県内の業者テストは、2桁前半より順位を落としたことはないようだしさ。インターネット進学塾での模試でもなかなかいい点数をキープしているようだし。ならとりあえず、先輩として先例を作ってやろうと思ってね。もちろん合格しなきゃ話にならないけれどさ」


 そうか、インターネット進学塾なんてのもあったのかと気づいた。

 確かにそれなら、あの町にいても、都内に近いレベルの勉強が出来る。

 

 もちろん俺の元親もどきじゃ、そんなのお金を出さなかっただろう。

 でもそれなりに親に理解があるなら、ある程度は格差を埋めることも出来るわけだ。


「さて、積もる話もないではないけれど、とりあえず試験の後にしよう。他の受験生の皆さんの邪魔になる」


 メイはそう言って、バイバイという感じで右手を広げてひらひらさせた。

 どうやら今は、話はここまでのようだ。

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