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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第二章 異世界魔法部 第14話 入学するまでに(第2章プロローグ)

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80/100

82 1月の夕方に

 飽多を脱出した半年後の1月19日、16時30分過ぎ。

 制服ブレザー姿の俺と衣緖菜は、東竹出駅のJR西口を出る。

 ある程度周囲の人から離れてから、衣緖菜に確認。


「どうだった、今回の試験」


「問題ない。近未来予知で2人とも合格しているのが見える。この見え方なら、ほぼ確定」


 そう、今は滑り止めの高校を受験した帰りだ。

 ただ受験した私立壱河高校、滑り止めにはしているけれどかなりいい学校ではある。

 飽多にいたころ志望校にして、あの父もどきに蹴られた愁高と同等かその上程度。


 ただ今のマンションから通うのは、ちょっと面倒だ。

 自転車で5km走るか、電車1駅&バス10分か。

 それでも飽多にいた時の中学校通学よりはましだろうけれど。

 冬に雪が積もって、交通困難なんてことはないだろうから。


 なお今の中学校は、マンションから歩いて1km程度。

 部活は7月で引退だからやらなかったけれど、授業はまだやっている。

 明後日の21日で千葉県の私立高校の8割以上が入試を終えるのにと思うと、ちょっとばかりゆっくりかなというペースで。


 でも公立中学は、習熟度別クラスなんて出来ないらしいから仕方ない。

 トップ校を狙う奴は、どうせ塾とか通っているし。

 その辺も以前いた飽多の田舎にある中学とは違うところだ。


 さて、帰る前に。


「帰りにそこのスーパーで、夕食を買って行くか」


「うん」


 衣緖菜は頷いた。

 なお夕食については、ケイトさんにこう言われている。


「食事は基本的に、毎日家で食べてくれ。中学生2人で外食を続けていると目立つからさ。最初はスーパーの総菜でもかまわない。でも出来るだけ自分で作れるようになってくれ。最低限の料理の知識は渡すから、あとはネット等を調べて自分で考えろ」


 ケイトさんから知識伝達魔法で『一人暮らしで何とか作れる手抜き料理レシピ』なんてのを教えてもらってはいる。

 内容は野菜炒めだろうと煮物だろうと生姜焼きであろうと、味のベースはそばつゆ濃縮3倍という、なかなか強烈かつ実践的なレシピだ。

 

 ただ、学校から帰ってから夕食を作るのは、正直いって面倒だ。

 ついでに言うと、俺は包丁でジャガイモをはじめとした野菜の皮をむくなんてテクニックをもっていない。

 更に言うと、卵をきれいに割るなんてのも、実は自信が無かったりする。

 衣緖菜もまあ、似たようなもの。

 

 結果として夕食は、スーパーの総菜とカット野菜のサラダ、ご飯だけは炊飯器で炊くというのがほとんど。

 だから今日も、出来合いのお惣菜を買って帰ることにしたわわけだ。

 

 幸い駅前広場から道路をわたってすぐのところに、そこそこのスーパーがある。

 そこそこ弁当やお惣菜が充実しているので、割と便利だ。

 更にいうと、このスーパーから家まで、歩いて3分少々。

 飽多にいたころと比べると、段違いの利便性。


 そう、引っ越してからは、全て順調だ。

 予定通り八月半ばで養子縁組は無事認められたし、あの父もどきや元母親からもそれきり連絡はないし。


 あの頃の関係で今でも連絡しているのは、メイくらい。

 文芸部関係以外でも、週に一度くらいはSNSで連絡を寄こすから。

 

 別に大したことを書いてやり取りしている訳ではない。

 2年の麻木が親戚の家に泊ってコミケに行って、東竹出で乗り換えをしたとか。

 三浦がゴ高なら大丈夫と相変わらず勉強しなかったら、公立模試で500点満点中100点を割ったとか。

 これでは近辺の学校何処も合格しないだろうなんて周りで言われているのに、本人だけは何故か謎の自信に満ちているとか。


 たまには『わからない問題・なるたけ丁寧な解法希望』なんてのもやってくる。

 ただこれについては、実は口実という気がしないでもない。

 今のメイは、ほぼ全教科、よほどのことがない限り解けない問題はないと思うから。

 知識問題で度忘れして答えられないなんてのはあるかもしれないけれど、それだったらわざわざ解法なんて俺に聞く必要はないし。


 あと気になるというか、引っかかる部分があったりもする。

 これはやっぱり愁高を受けるのか聞いたら、『秘密』と返ってきたこと。


 メイの学力なら、飽多一の難関校である愁高だって、問題はないし、周りだってそう見ていると思うのだ。

 あそこの親は、俺の元親と違って、馬鹿なことは言わないだろうし。

 でも愁高を受けるなら、『秘密』なんて答えが返ってくるとは思えない。

 これは何を意味しているのだろう。

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