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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第12話 家を出た日

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80 意図不明な質問

 歩きながら、魔法でスマホを確認。

 予想通り、SNSで衣緖菜から連絡が入っていた。


『ケイトさんから、学校終わりに間に合わないと連絡あり。学校西側角付近で、自転車で待つ』


 少しでも急ぎたいが、文化部終わりの連中がそこここにいる。

 だから速足程度に抑えて歩いて、靴を履き替え、昇降口を出て自転車置き場の方から待ち合わせ場所へ。


 目印ということにしていたカーブミラー裏側に近づいたところで、自転車に乗った衣緖菜の姿が突然出現した。

 これは本当に突然出現したのではなく、魔法で見えない様にしていただけだろう。


「ごめん。待たせた」


「メイさんと、ちゃんと話をしてきた?」


 いきなり衣緖菜に、予想外のことを言われた。


「何で?」


「多分今日が、きちんと話せる最後。明日は終業式でごちゃごちゃになるし、終わった後にあれこれグループが出来て話しにくい」


 明日については、確かにそうだろう。

 でも衣緖菜は、何をメイと話せというのだろう。

 

「部活は一応最後の挨拶をしておいたし、文芸部の原稿も出しておいたけれど」


「それ以外、何か話さなかった?」


 そう言われても、特に何も思いつかない。強いて言えば……


「質問という形で、メイから引っ越し先を最寄の駅でと聞かれたから、新竹出と答えておいたけれど……」


 そこまで言って、そういえば小田野がイレギュラーなことを言ったなと思い出した。


「そういえば1年の部員が、何か勘違いしていたみたいでさ。俺が引っ越した後、メイと遠距離恋愛になるのかと聞いてきた。確かにこの学校で一番話せるのはメイだったけれどさ。メイもそういう関係じゃないと否定したし」


「……わかった。それじゃ自転車の前を交代」


 衣緖菜は何を意図して、メイと話してきたかを聞いたのだろう。

 わからないけれど、意図がわからな過ぎて、何をどう聞けばいいのか質問文が思い浮かばない。

 そのまま自転車のハンドルを衣緖菜から受け取って前に乗って、そして衣緖菜が後ろに乗る。


「駅に行って、電車で飽多へ行く。ホテルは飽多の駅から歩ける場所。ホテルの部屋で、ケイトさんと待ち合わせ。あと39分後の電車に間に合わないと、次の電車は1時間後」


 中学校から駅まで、6km近くある。

 飛ばしてもあまり余裕はない。


「わかった。急ぐ」


「魔法で自転車を加速させる。進む、曲がる、止まるを意識して」


 自転車は、漕ぐのでは不可能な加速を始める。

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