78 最後の放課後(2)
もう一度頭を下げて終わりにしようとしたところで、メイがニヤリとして口を開いた。
「ついでだから引っ越し先の場所についても、県だけではなく最寄り駅で。それ以外も質問ありだからね。今日が最後だから、かなり攻めた質問でも問題ないよ。部長の名にかけて私が許可するから」
メイ、容赦ないな。
でもここ文芸部なら、その程度は話しても問題ない。
教室だと三浦をはじめとする馬鹿がいるから、メイもこんなことは言わないだろうし。
「場所は千葉県竹出市。駅で言うと鵡差野線と北相線の交点にある東竹出駅だ。家はそこから歩いて5分くらいの3LDK。まだ実際に行ったことはないけれど」
「いいなあ。駅が近いし、ビッグサイトや店にも行きやすそうで」
2年の麻木は、ある程度場所がわかる様だ。
少なくとも三浦よりは把握しているのは確かだろう。
でも何故ビッグサイトが出てくるのだろう。
なんて思いながら軽く返答。
「でも近くに本屋は無さそうだぞ。竹出か舟端に出ないと」
「親戚が新釜ヶ谷にいるから、だいたいの感じはわかります」
新釜ヶ谷は、東竹出から鵡差野線で4駅行ったところだ。
つまり案外近い。
ならある程度場所を知っていて当然か。
「でもそんなに遠くにいくとすると、メイ先輩はどうするんですか? 遠距離恋愛?」
えっ!?
1年小田野の口から、俺の予想外の言葉が出てきた。
どうなんだ。
思わずメイの方を見てしまう。
メイは苦笑という感じの表情を浮かべた。
「残念ながら、私と津久井はそういう関係じゃないんだな。津久井はちゃんと彼女がいるしさ」
「そうなんですか!?」
おいおい小田野、そしてメイ。
俺はどう返答すればいいんだ。
「ついでに言うと彼女さん、私のメル友なんだな。というわけで、これ以上突っ込むと津久井が可哀想だから、この件についてはここまで。それに津久井には、できる限り早く文化祭用の短編を書いて貰わないとね。
ということで、あまり厳しくない質問は随時受付のまま、夏休み前最後の活動を始めよっか」




