69 俺を手放させる方策
ところで普通養子縁組の場合、次のような要件が必要だ。
○ 養親は20歳以上
○ 養子縁組をするには、養親本人と養子本人の合意が必要。
ただし養子が15歳未満の場合には、養子の法定代理人(親権者等)が、養子本人に代わって養子縁組の合意をする
○ 養子縁組は、市区町村の役所への届出によって効力を生じる
○ 養親又は養子に配偶者がいる場合には、原則として、その配偶者の同意が必要
そして俺は3月生まれなので14歳。
つまり『養子が15歳未満の場合には、養子の法定代理人(親権者等)が、養子本人に代わって養子縁組の合意をする』となるわけだ。
ただ今のうちの家の収入のほとんどは、俺の元父親からの養育費。
不倫して離婚され、その後不倫相手と結婚したくせに、養育費はしっかり取っているというのは何だかなと思う。
しかし再婚後の収入が少ないとか、俺と今の父が養子縁組していないとかで、今のところはそうなっているようだ。
だから俺という金づるを、そう簡単に手放しはしないだろう。
そう思っていたのだけれど、資料にはこの件についての対策がしっかり入っていた。
養育費不当利得返還請求の裁判を起こすぞと今の両親を脅したうえ、審判なり調停なりが成立するまで養育費を支払わない旨を通告し、『俺がいても養育費はこれ以上支払われない』状況を作るようだ。
俺の母親は俺の元父親に対し、息子(俺)が合格した私立のひとつに通っていることにしていた。
そこで学費だの定期代だの修学旅行費だのまで、元父親に請求していたようだ。
さらには塾に通っていることにもなっていたらしい。
結果、塾に通わせず定期券の必要もない公立中学に3年間通わせたのと比べ、300万円以上余分にお金をせびり取っていた。
この嘘を明らかにして、不正請求した金額を計算し直して、養育費不当利得返還請求をするらしい。
俺がいてもこれ以上金が入らないのなら、母も俺の親権をあっさり手放すだろう。
なお俺の親権を手放した場合でも、養育費不当利得返還請求はしっかりやるとのこと。
不当利得と認められる養育費全額の返還が認められなくても、今の父や母の生活が立ち行かなくなることは間違いない。
生活保護でも申請するのだろうか。
移住支援金をもらっているし、その際はこちらで働くか農業をすることになっていたはずだから、そう簡単に生活保護が通ると思えないけれど。
俺としては、さっさとくたばってほしいというのが本音だ。
変に生き延びて、こっちにまた迷惑をかけられたらたまったものじゃないから。
◇◇◇
他にも資料はあれこれとある。
俺が引っ越す予定の場所とか、受験予定の高校とか。
本当はそっちをもっと読んでおきたい。
しかしスマホの時刻表示は6時50分。
そろそろこの部屋を出る準備をした方がいいだろう。
服は、すでに着替えた。
資料を読みつつも、宿の浴衣から中学の制服に着替えておいたから。
昨日と同じワイシャツに学生ズボンだけれど、衣緖菜の魔法で洗濯・アイロン済みとほぼ同じ状態。
荷物も今日学校に持っていく物は、既に鞄に入れてある。
それ以外は衣緖菜の魔法収納に入っているので、特に支度をする必要はない。
ということで時間を見計らって、6時55分に部屋を出て、隣の部屋をノックする。




