68 早送りのスケジュール
『次のオンラインストレージに今後の予定と関連資料を入れておきました。これからも随時更新するので、1日1回でいいから確認しておいて下さい』
そういう文面とともに、インターネット上のアドレスとパスワードが書かれている。
ケイトさん、話し言葉と書き言葉ではイメージというか語調が変わるな。
そう思いつつ、アドレスをコピーしてブラウザに貼り付けて移動。
『衣緖菜・陽翔用資料』と題したフォルダが表示された。
中にあるのは、
● 今後のスケジュール(ワークシート形式)
というファイルと、
● 衣緖菜用・申請資料
● 陽翔用・養子縁組資料
● 引っ越し先予定地と、物件関連資料
● 転校先中学と、受験予定の高校
● 生活設計そのほか
というフォルダ。
朝食でケイトさんに会う前に、最低でもスケジュールを確認しておいた方がいいだろう。
ということで、『今後のスケジュール.gsheet』というファイルを開く。
なんと、夏休み開始の21日にはすべての手続きを終えて、引っ越すというスケジュールだ。
ケイトさんの動きを見ると、
● 今日17日火曜日は東京に帰った後、俺の元の父親と面会
● 18日水曜日に引っ越し予定のマンションを確認して契約
● 19日木曜日に新幹線で愁多に戻ってきて、俺の現在の両親と直談判をした後、俺の荷物をすべて回収し、家庭裁判所に俺と養子縁組をする許可を取る。中学校にも連絡。
予定通り進めば、俺と衣緖菜は愁多のホテル泊まり
● 20日金曜日、終業式が終わったら、19日の予定で出来なかった部分があればそれをやった後、千葉県下のマンションに俺と衣緖菜を引っ越させる
● 1カ月程度後、家庭裁判所の許可が出たら、役所を回って俺を正式に養子として届け出。学校に連絡し、書類を発行してもらう。飽田県の住所を転出し、千葉県の住所に転入。
という、なかなかのハードスケジュール。
俺としては、
● 19日木曜日、挨拶し、迎えに来たケイトさんの車で愁多のホテル泊まり
● 20日にクラスの皆に転校する旨を告げた後、終業式に出て、その後千葉県下のマンションに移動し、衣緖菜との新生活を開始
となる。
なお俺が作るべき書類や、やるべき手続きは、特にないようだ。
基本的にケイトさんが作成して、俺は確認するだけでいい模様。
小学6年の時からの落ちていく一方の生活が、こんなに簡単に終わるのか。
そう思うと、微妙に現実感がない。
ただ現実感が無いというのは、今現在だってそうだ。
ホテルの部屋に衣緖菜といて、スマホでこんな書類を読んでいるという状況。
一週間前の俺は、こんなの想像すらしていなかっただろうから。




