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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第11話 早送りのスケジュール

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66 俺の番

 わからないから心を読んでくれというのは、この場合は逃げだろう。

 それに魔法は、知識や記憶を読み取ることは可能だけれど、その時々で変化していく思考を全て捉えるというのには向いていない。


 だから俺は俺自身で考えて、答えを出さなければならない。

 ただ考えてみると、俺はそこまで深く考えて動いたわけではない気がする。

 むしろ状況にただ流されていただけだ、きっと。


 ならこの場で、どう言えばいいのだろう。

 この場で取り繕うなんてのはできないし、したくない。

 なら……


 とりあえず恥ずかしいとかは抜きにして。

 この場で伝えるべきだと思うことから話していこう。


「まず最初に。俺が衣緖菜を嫌っているということはない。むしろというか、間違いなく好意を持っているとは思う」


 これは嘘じゃないし、今の状況ではまっさきに伝えるべきことだと思う。

 そして具体的に口に出したことで、次に伝えるべきことも思いつく。


「ただ好きがどういう好きかは、わからない。向こうの世界での環境が酷すぎたから、こっちではよりいい生活をしてもらいたい。そう思ったのは確かだけれど。あとは同じくらいの年齢の異性だし、きれいだしかわいいなんて面でも好意を持ったとか、エッチをしてしまった結果、本能的に愛しいと感じてしまったのも事実だ」


 自分で言っていて恥ずかしいけれど、この辺の言及を避けると嘘になってしまいそうな気がする。

 それに俺の知識や記憶のかなりの部分は、衣緖菜に知られているのだ。

 取り繕ってもしかたない。

 そう思いつつ、思いついた次の言葉を続ける。


「ただ今回の件で、俺自身の生活が変化することは想定していなかった。まずは衣緖菜が安心できる場所を見つけることが第一で、それ以上は考えていなかった」


 そこまで言って、言い足りないことを思いついたので付け加える。


「俺自身が今の環境に絶望を感じているのは確かだ。一刻も早く脱出したいのも本当だ。だから脱出できるのはありがたいし助かる。ただそこまで衣緖菜やケイトさんに甘えていいのかが、わからない。ケイトさんはもちろん、衣緖菜にだってスマホだの食事だのでだいぶ世話になっている。このまま世話になりっぱなしでいいのか、わからない」


 自分で言いながら気がついた。

 衣緖菜に世話になりっぱなしで申し訳ないと感じていたことに。

 俺は衣緖菜にとって、単なるお荷物になってしまうのではないかと思っていたことに。

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