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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第10話 改変された未来予想図

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57 シナリオ

 ケイトさんの説明は、さらに続く。


「ただ、どんな環境に引っ越すことになるのかがわからなければ、陽翔君も判断できないだろう。しかし居住する物件は準備中だ。だから具体的な住所は、もう少し後の話にしてもらう。

 あと衣緖菜さんの戸籍については、心配しなくていい。これでも一応はプロだ。工作は来週中に終わらせて、新しい住所に落ち着いたところで法務局と区役所を回れば済む」


 そこに疑問があるので、聞いてみる。


「俺が調べた限りでは、何の証明書もない異世界出身者が戸籍を取るのは、ほとんど不可能でした。もし良ければ、どういう方法があるか教えてくれませんか」


「確かに普通なら無理だ。事例をある程度扱っていて、どういう例が多いかを具体的に知っていて、かつ魔法を使わないと難しい。具体的には何の書類を偽造して、どんな立場の人を魔法によって記憶操作するかを知っておく必要がある。

 今回、偽造して用意する書類は出生証明書だ。対象となる母親役の立ち回り先付近で、もう廃止している病院がいいだろう。シナリオは、こんな感じになる……」


 ケイトさんが話してくれた内容を簡潔にすると、こんな流れだ。


① ある単身の母から生まれた女の子がいたが、母が出生届を役所に提出しなかったため、戸籍に載っていなかった。


② この状態のまま学校も行かずに暮らしていた。なお母は何回か男をとっかえひっかえしつつ暮らしていたが、何人目かで病気を移されたかどうかして、おかしくなった。


③ この時母と一緒に暮らしていた男は、女の子を連れて女から逃げた。ただ逃げた後に119番に連絡したので、母は病院だのなんだのを経た後、保護施設へと送られた。


④ 女の子を連れて逃げた男は、不法残留者だった。その後同じ国の仲間のところに身を寄せたが、3年ほどした後、摘発を受けて収容された。


⑤ 男がいなくなって生活できなくなった女の子は、その場所にいられなくなった。そこでかつて母が持っていた書類にあった、自分の姉にあたる人が住んでいる場所へと行き、姉に保護された。


「つまり私の妹ということにする。さっきも言った通り、私の母はどうしようもない人間だったからな。こういう時くらいは役に立ってもらおう。

 もちろん保護した人間を全員、私の妹なり弟なりにするつもりはない。本来は国籍法第2条の3『日本で生まれ、父母がともに不明のとき、又は無国籍のとき』を使うのが常道だ。

 ただ今回の場合は、他にもいくつか理由があってな。私の妹という形にした方がいいと判断した。さらに言うと、私の妹として認めた上、更に養子ということにした方がいいとな。

 この方向で、偽の証拠をいくつか作ってもらっている。だから法務局の認定も、そう時間はかからないだろう。こういった事例を時間がかからず円滑に手続きするために、このNPOを作ったというのもあるからな。夏休み明けには、住所地の中学校に通える様になるだろう」


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