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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第9話 情報漏洩

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51/100

51 問いかけ

 混乱しかけた思考を落ち着かせるため、メイから送られてきた文章を読み直す。

 

 大丈夫だ。

 おそらくこの内容なら、メイが知っても問題はない。

 そしてメイなら、他の人に喋ることはないだろう。

 つまり俺が相談しても問題ない相手が増えただけだ。


 それならここで、メイに追加の説明をしておこう。

 この件については昨日の午後、状況が変化したというか進んだから。


『その件だけれど、昨日午後にだいぶ進んだ。異世界移動してきた人に日本国籍を取らせる専門家に連絡がついて、相談をはじめたところだ……』


 ケイトさんの件について、考えながらキーボードを叩いて状況説明を書いて、送る。

 頭の中を整理しつつ、ひととおり書いて送ったところで、メイからの返答が来た。


『つまり衣緖菜さんの件は、解決の見込みがつきそうだということでいいのかな』


『ああ、衣緖菜の魔法でも大丈夫と出ているらしいから、問題はないだろう』


『本当かな?』


 どういう意味だろう。

 確認しておこう。


『おそらく衣緖菜は無事、日本国籍を取って、多分ちょうどいい保護者なんてのも見つけてもらって、学校に通うようになる。それで問題はないはずだ。違うか?』


『本当に津久井はそう思ってる? それとも、そう思おうとしている?』

 

 またメイが、わからないことを書いてきた。


『どういう意味だ?』


 そう書いて、そしてひょっとしたらと思いついて、書き加える。


『ひょっとして衣緖菜から、俺の知らない情報を何か聞いたのか?』


 カチャカチャとキーボードを叩く音が聞こえた後。


『衣緖菜さんからは、さっき言ったこと以外、今は何も聞いていない。SNSで友達登録したから、これから聞くことはあるかもしれないけれど』


 それ以上、何かメッセージが続くと思ったが、そのままだ。

 キーボードを叩く音も、メイの方からは聞こえてこない。

 つまりは俺の返答待ちということのようだ。

 しかし……


『部下も見つかりそうだし、他になにか問題があるのか? 俺にはそうは思えないんだが』


 俺がそう送信すると、すぐにキーボードを叩く音が聞こえた。

 間髪入れずにChatが飛んでくる。


『衣緖菜さんを送り出して、それで終わりというわけじゃないよね』


 いや待て、メイ。

 何を言いたいんだ、お前は。


『違うのか。強いて言えばスマホ代と飯代は、あとで衣緖菜に返そうと思っているけれど』


『そうじゃない』


 そこでしばらく、キーボードを叩いたり、その音が止まったりした後。

 

『おまけでヒントを出すよ。津久井が考慮に入れていないのは、衣緖菜さん側から見た現状と、津久井自身がどうしたいかって希望』


 衣緖菜から見た現状。

 そして俺自身がどうしたいかという希望、か。


 でも衣緖菜の目的は、確かこうだった筈だ。


『私が送り出した5人が、この世界で平穏に暮らしているのを確認すること。確認できるまでの間、この世界で平穏に暮らすこと。そのための拠り所を見つけること』

 

 平穏に暮らすのが『確認できるまでの間』になっているけれど、見つけた後だって平穏かつ幸せに暮らせれば、それに越したことはないだろう。

 付け加えるとすれば、その程度だ。


 そして俺自身がどうしたいかと言われても、この目的に沿って衣緖菜を送り出すことくらいしか思いつかない。


 しかしメイは、俺の返答を待っているようだ。

 だから俺は、キーボードでこう返答を打ち込む。

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