48 否認
昨夜と同じようにあれこれした後、魔力車を回している途中で気絶するように就寝。
そして今日は月曜日。昨日と異なり学校がある。
7時に起きて洗面歯磨きをした後、衣緖菜に弁当を1つ出してもらって朝食。
なお衣緖菜の朝食は、甘いパン2個といつもの柑橘ジュース。
ワイシャツに学生ズボンという制服を着て、7時40分に自転車2人乗りで家を出る。
「ついでだから、魔法で自転車を動かせるか試してみようか」
『まだやめた方がいい。動かす魔法はもう使える。でも魔力が低いから、少し動かすだけで気絶する』
なるほど。
『学校まで自転車を動かす程度の魔力なら、あと3日程度でつく。焦ることはない』
「わかった。ありがとう」
そして基本下り坂の道を、衣緖菜の魔法ありで走ると、先週までと比べてだいぶ早く着く。
いつもなら8時5分くらいに学校の通用口を通るのだけれど、今日はまだ7時55分に学校の通用口。
通用口の先から左に曲がったところで自転車を止め、衣緖菜にヘルメットと自転車を渡す。
「それじゃ帰りは、午後6時頃になるから」
「わかった。基本的にこの場所で待っている」
あとは今と逆に歩いて、通用門から学校へ。
階段を上って廊下を左に曲がれば、3年の教室はすぐそこだ。
なおこの校舎、2階に教室らしい造りの部屋が9室ある。
しかし今は教室として使っているのは各学年1室だけで、残りの6室は学習支援室という名称の空き部屋になっている。
完全な空き部屋ではなく、放課後に文化部系統の活動場所として使ったりするのだけれど。
おそらくこの校舎が建てられた頃には、1学年につき3クラスあったのだろう。
なんて思うと微妙にもの悲しさを感じてしまうのは、俺だけだろうか。
なんてことを思いつつ、教室へ。
ロッカーにカバンを入れ、教科書やタブレット、筆記用具が入った小袋を持って、適当に挨拶をしつつ自分の席にたどり着き、引き出し部分に入れたところで。
「津久井、土曜日に別の学校の女子と出かけてなかったか」
席が遠い筈の三浦が、わざわざ席を立ってこっちに近づいてまでして、そんなことを聞いてきた。
多分衣緖菜と電車で出かけたところを見られたのだろう。
そうは思うけれど、説明その他が面倒なので、認めない方針で返答する。
「土曜日は特に家から出なかったぞ。気のせいじゃないのか?」
「いや、A市のショッピングセンターで女子と2人で買い物をしていなかったか? カートを押して買い物しているところを見たんだけど」
そちらで見たのか。駅とか自転車で走っているところではなくて。
でも確かに駅で電車に乗るまでは、衣緖菜の魔法で他人が意識しない様にしていた。
だから見つかるとしたら、電車に乗った後、A市で歩いたり買い物したりしているところだろう。
ちょっと考えて、全面否定しつつ話を聞きだしてやれという方針に決める。
「そもそも土曜は家から出ていないぞ。それにわざわざA市まで買い物に行く必要は無いだろう。エイオンのG町店なら、自転車で10分行けば着く。スーパーならそれで十分だ」
「でも確かにこの学校ではない女子と一緒に、カートに食料品を乗せまくって歩いてたのを見たんだ」
「そもそも俺、この辺の他の学校に知り合いはいないぞ。この前引っ越してきたばかりで、この辺には親戚もいないしさ」
「東京で別れた彼女とか、そういうんじゃないよな」
「そんなのいないし、もしいるとしても来るなら夏休みだろ。ならあと2週間先だ」
この辺は全否定で通させてもらう。
それが面倒が一番少ないだろうから。
強いて言えばメイはスマホの関係で、俺の嘘に気づくかもしれない。
でもメイなら、ここで余分なことを喋ることはないだろう。
後で説明は必要かもしれないけれど。




