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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第7話 次の作戦 ⑵

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42/99

42 NPO法人

「次のメールに備えて、返答案を書くか」


「ん……多分、必要ない」


『足りないことは、向こうからメールで聞いてくる。何故、親が信用出来ないかとか。だから今は、このまま待って大丈夫』


 衣緖菜は、おそらく近未来予知魔法で確認したのだろう。

 なら問題ない。

 そう思いつつもう一度送信したメールを読み返している途中で、机上に置いたスマホが振動した。


 メール受信、先程送ったアドレスからだ。

 スマホでは入力しにくいので、タブレットのブラウザからメール画面を開き、衣緖菜と2人で読んでみる。


『知恵袋で返答したケイトです。このメールアドレスで大丈夫です。それではもう少し詳しくお話を聞く前に、私の立場というか、簡単な自己紹介を書いておきます。

 私はNPO法人として、表向きは戸籍のない……』


 メールをざっと読んで、なるほどと納得した。

 ケイトさんは、無戸籍者を救うという名目のNPO法人を運営しているそうだ。

 しかしそのNPO法人の実態は、『異世界から転移してきた人の戸籍を作って、日本に正規に居住させる』というもの。


 なので関係ありそうな内容の書き込みがないか、掲示板や知恵袋、Q&Aサイト等を常時監視しているそうだ。

 俺の書き込みをすぐに発見したのも、そうやっていたかららしい。


 NPOという組織そのものは、少なくとも俺はあまり信じていない。

 怪しい団体が多数混じっているのは、周知の事実だし。


『企業や業界団体の広報宣伝活動の隠れ蓑にしたり、犯罪に関与したり、実態は右翼団体や左翼団体であるケース等、NPOであることを利用した悪徳商法がある』


 Wikipediaにすら、こんな記述があるくらいだ。

 なので『NPO法人ポータルサイト』で、NPO法人として実態があるのかを確認。


 名前でヒットしたので、詳細情報画面を確認する。

 代表者氏名に、都筑景都とあった。

 多分これがケイトさんだろう。

 つまりケイトというのは本名で、かつ日本人のようだ。


 なりすましという可能性は否定できない。

 しかし、衣緖菜が近未来予知で大丈夫と判断したのなら、少なくとも俺達にとっては、問題ないだろう。


 さて、メールには自己紹介だけでなく、こちらに対する質問も書かれていた。

 具体的には、俺宛の幾つかの質問。


『具体的な人定事項、たとえばフルネームとか、詳細な住所などは、まだ書かなくて結構です。そちらも私をどの程度信じていいか、まだ判断が出来ないでしょうから。

 ただ、この件をどういう方向で解決するかを決めるために、ある程度のそちらの情報と意向を聞いておく必要があります。それも本人と保護した貴方、両方の意見を聞いておきたいのです。こういった事案は、それぞれの意向が微妙に異なっていることが、往々にしてありますから。

 ですのでそれぞれ、独立して意向を聞くことが出来る連絡先を教えて下さい。メールかSNSが望ましいのですが、もし口頭の方がいいのなら、電話でも大丈夫です。なお、こちらの電話は**-****-****です。電話代の負担が大変なら、こちらからかけ直します。

 またネットに繋がる端末が1台しかない、もしくは自由に使える端末が無いなどの場合は、一番下の『独立して使える端末がない』『自由に使えるネット端末がない』にチェックを入れて、理由として一番近いものをチェックして下さい』


 それぞれ思惑が違うかもしれないから、両方の意見を聞いてみるわけか。

 なるほど、もっともな話だと思う。


 Webに繋がる端末が1台しかない、あるいは持っていないという可能性を考慮しているのも流石だなと思う。

 俺たちは衣緖菜のおかげで、1台ずつスマホを持っているけれど。

 ということで、衣緖菜に聞いてみる。


「連絡先で、衣緖菜のSNSを教えてもいいか?」


「大丈夫」


 ならということで、俺は現在のメールアドレスで、衣緖菜はSNSのメールアドレスで連絡する旨を記載して、メールを送信する。


 返信はやはり早かった。

 送って1分もしないうちにメールが着信。

 タップして開き、読んでみる。


『こちらのメールアドレス宛て、了解しました。それでは本日の19時頃、質問のメールを送らせていただきます……』


 そこまで読んだところで、衣緖菜のスマホが振動する。


「SNSが届いた。質問は今日の19時頃に送るって」


「わかった。こっちのメールも同じだ」

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