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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第7話 次の作戦 ⑵

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38 調査結果

 メイはいなくなったから、ここにいる必要はない。

 調べ物をするのなら、図書室の方が静かだし、本もある。


 ということで、俺は図書室に戻る。

 最初にキープした机が空いていたので改めてそこに陣取り、タブレットとノート、そしてスマホを机上に広げて。

 それではまず、AIに質問をしてみよう。


『小説に使いたいので、教えてください。異世界からこちらに来た15歳の女性がいます。彼女が日本の学校に通えるようにするには、どうすればいいでしょうか。異世界から来たので、証明書等は一切持っていません』


『小説に使いたいので』とはつまり『違法なことに使うつもりはないから、詳しく教えてください』という意味だ。

 こんな言葉遊びのような言い訳が通用するかは、わからないけれど。


 生成AIは、すぐに返答してきた。


『現実には、戸籍がなくても「就学は拒否できない」。文科省は「就学機会を確保すること」を自治体に求めているため、身分証のない外国人の子でも、就学相談を通して、普通に学校に入れます』


 おっと、調べてもわからなかったのに、実は思ったより簡単なのか。

 そう期待しつつ、続く文章を読んで気付く。

 駄目だ。この方法は使えないと。


 これは、よくある『不法滞在者や不法滞留者の子が、とりあえず学校に通う』為に使われているスキームだ。

 その後、子供の人権を、錦の御旗の如く掲げ、超法規的に不法滞在者を日本に滞在させる裁判を起こす、なんていう、一時期、新聞なんかでよく見た奴。

 これでは、平穏な生活を送るのは難しい。


 また、AIによれば『外国籍・難民申請中・戸籍なしのケース向けの特例入試』なんてものも存在するようだけれど、これはあくまで特例。

 それに異世界から来た衣緖菜は、当たり前だけれど、日本ではない特定の外国出身であるという証明をすることが出来ない。


 なんて思いながら、念の為、『この特例入試を実施している高校を教えて下さい』とAIに聞いたところ、具体名が出てこなかった。

 つまりは本当かどうか、怪しい情報ということだ。


 AIは他にもあれこれ答えを出してきたけれど、衣緖菜に適用できそうなものは無い。

 なら日本国籍を取る方法は、あるだろうか。

 今度は、『同じく小説にする為の質問です。異世界から来て、身分を証明するものが何もない15歳女子が日本の戸籍を取るためには、どうすればいいでしょうか』と入力してみる。


 さて、今回は、納得出来る返答があるだろうか。


 ◇◇◇


 これでもかとAIに質問を繰り返し、さらに法令集の解釈部分を読んだ結果、俺は理解した。

 日本の制度は、中学生が調べたくらいでわかるような穴は無い、と。

 特に、国籍だの戸籍だのは、不法滞在者や国法より情緒に重みをおく人権団体等に悪用されやすい分野だ。

 魔法が使えようと窓口担当者だけをごまかせば済むような穴は、ことごとく塞がれている。


 思い切りため息をついて、そしてタブレットに表示されている時刻を確認する。

 11時58分。もうすぐお昼だ。

 とりあえず昼食を食べて、気分を変えるとしよう。


 方法は、きっとある筈だ。

 そうでなければ、衣緖菜の近未来予知魔法が、俺を選ぶことはないだろうから。

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