36 方法
「ところで津久井、今回はいつもの勉強と違うことをしていた様だけれど、何かあった?」
メイは気付いていた様だ。
どう返答しようか、ちょっと考えて、無難な案でいってみる。
「ああ、ちょっと調べたいことがあってさ。興味本位で大した意味は無いんだけれど」
そこまで言ってみて、ふと思いついたので付け加える。
「ところでメイさんに聞きたいんだけれどさ。ネットや図書館で調べても答えが出なくて行き詰まった時、どうすればいいと思う?」
「大した意味がない、という事はなさそうだよね、それって。本当は、そっちについて聞いてみたいところだけれどね。私と津久井の仲だから、見逃してやるけれど」
メイはそこで言葉を止めて、何かを確認するかのように俺の方を見た。
正直俺としては、どきどきものだ。
大した意味がないわけではない。
どうすれば衣緖菜が学校に通えるかを、調べていたのだから。
ただそれを、ここで他人に言うわけにはいかない。
幸いメイは、見逃してやると言ってくれた。
だから俺は、表情に出さないように努力しつつ、メイの口元を見ながら次に出てくる言葉を待つ。
「私は津久井と違ってわからないことが多いから、結構他人に聞いて何とかする事が多いかな。調べ物で公にしていいものなら司書さんに、リファレンスとして聞いてみる。
そう出来ないことなら、生成AIに聞いてみるという方法もある。正しい答えを返してくれるか怪しい部分があるから、後で確認は必要だけれど。
それでもわからなければ、いっそネット上で不特定多数に向かって、匿名で聞いてみる、というのもありかな。SNSとか、知恵袋的なところでね。ネットでも割とまっとうな答えが返ってくるよ。時々、どれが正しいかを確認する作業が入るけれど。これで参考になる?」
他人に聞く、それもAIとかネット上の不特定多数に、か。
衣緖菜も、同じようなことをやっていたなと思い出す。
なるほど、戸籍の件も、そうしてみればいいわけだ。
何なら、向こうの世界の言語で書いてもいい。
そうすれば、より実践的な意見を聞けるだろう。
「ありがとう。やってみる」
「生成AIを使うなら、私のスマホを貸そうか? アプリ入っているし」
なるほど、生成AI用のアプリがあるのか。
長いことスマホを持っていなかったので、知らなかった。
でも今なら、もう大丈夫だ。
「大丈夫。スマホはあるから。でもどんなアプリか、教えてもらってもいいか?」
「もちろん。これが今のところ、調べ物には一番便利かな。出典も表示されるから確認するのが楽だし」
メイが出してきたスマホは、ひとつ前のiPhone。
そして使っていると見せてもらったのは、メジャーな生成AIのアプリだ。
俺のスマホはAndroidだけれど、きっと同じアプリがあるだろう。
そう思いつつデイパックからスマホを取り出して、ストアをクリックする。




