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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第4話 最初の作戦

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21 ギャンブル

 県庁所在地の中央にある駅で電車を乗り換えて、目的地の最寄り駅に到着。

 途中、郵便局のATMでお金を下ろした後、予定通りの洋服店へ。

 ほぼ開店と同時に到着して、店に入る。


『陽翔の知識があるから、ここが特別な店ではないことはわかる。それでも服だけでこの量というのには圧倒される』


 なんて衣緖菜が伝達魔法で感想を言いつつも、ブラなど下着から茶色系のパンツ、生成りっぽい色のカットソーまで、昨日ネットで予習した通り、ささっと購入。

 1万円弱払って購入後、試着室で着替え。

 着替えと言っても、魔法でやると3秒かからないのだけれど。


 出る時に店の時計で時間を確認。

 10時11分、予定よりやや早めでいい感じだ。

 洋服店から出て、いかにも郊外という感じの広い道路を急ぎ足で歩く。


 7分くらい歩いて、『ハローワーク前』というバス停を通り過ぎる。

 20mくらい先に黄色い四角い建物があり、他にも大きなパチンコ屋が2軒見える。

 この黄色い建物が、次の目的地である場外車券売場だ。


 周囲の環境を含め、俺としては思い切り偏見に満ちた目で見てしまう。

 半分は俺の身近にいる反面教師のせいだ。


 きっとこの中にいる客は、うちの父のような屑ばかりなんだろう。

 そう思うと入りたくなくなるけれど、今回は仕方ない。


 衣緖菜の魔法で金を稼ぐ手段が、ギャンブル以外に他に思い浮かばなかった。

 そしてこの地方で、公営ギャンブルに登録や身分証なしで参加できるのは、この競輪の場外車券場だけだから。


「魔法は大丈夫?」


 念のために衣緖菜に確認。


『二人とも三十代に見えるよう偽装魔法を展開済み。こちらを意識したり近寄ったりしないようにする魔法も、中に入り次第展開する。魔力は十分残っている。問題ない』


「ありがとう。頼む」


 昭和のホテル、それも田舎の旅館といった感じで、無理して高級っぽくしたような、模造石像だの金色のモールだので飾られた入口から中へ。


 中は予想より空いている。

 ただ長椅子やテーブルなどに陣取っているのは、予想より年齢層が高い。

 老人と言っていい年齢層の男性がほとんどだ。


 そういえばネットに『最近は競輪の車券や競馬の馬券などをスマホで購入するのが一般的になっている』とあった。

 ならわざわざ車券売場まで来るのは、こういった場所が好きな人か、スマホを使えない人か、クレジットカードを作れない人なのだろう。


 結果として老人世代が多くなるようだ。

 それも常連っぽくて、何というか近寄りたくない雰囲気。

 ただ今は衣緖菜の魔法で絡まれることがないから問題ない。

 そう思いつつざっと中を確認。


 テーブルが並んでいて、近くの壁際に自販機っぽいのがある場所が見えた。

 多分あそこが車券を買う場所だろう。


 情報が表示される画面に近いテーブルは、常連っぽい独特の雰囲気の老人達が占拠している。

 なので画面等から遠く、人がいないテーブルを目指す。


 ここでの車券の買い方は昨日ネットで予習した。

 用意されているマークシート用紙に予想内容を鉛筆で記載し、自動機にお金とマークシートを投入して、車券を購入するという手順だ。


 何を買うかは昨日ネットで調べて決めている。

 まずは新潟の弥彦で今日行われるうち、2レース目の予想から。

 このレースは発走予定が11時15分で、車券の発売の締め切りが11時12分。

 賭けるなら、それまでに車券を購入する必要がある。


 今の時間は10時45分。

まだ余裕があるけれど、さっさと済ませた方がいいだろう。


「昨日の予想と同じなら、このレースの、これ、これ、これという順番だけれど、それでいいよな」


『確認する……その通りで間違いない。でも未来はたまに変わることがある。だから全額は使わない方がいい』


「わかった。取りあえず3,000円買って、7,000円は残しておく」

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