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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第4話 最初の作戦

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20 お出かけ

 今朝、時間に余裕がなくて正解だった。

 何せ衣緖菜と同じ布団で寝ているのだ。

 起きた瞬間、すぐ横に気配という以上のあれこれを感じる訳で……


 衣緖菜の方が先に起きていたけれど、それでも布団には自分のものではない匂いとか温度とか湿度とか、感じてしまうのだ。

 そして目を開けると、俺のTシャツを着ている衣緖菜がいるわけで……

 おかげで今朝も起きた時に、ムラムラしてしまう。


 一線を越える前なら、まだましだったかもしれない。

 しかし昨晩は衣緖菜に『男性兵士の性欲を効率的に発散させる方法』を使われてしまった。

 それに応えるため、俺もそれなりのことをやりまくって……。

 外にバレないよう魔法で安全措置をしたし、汚したシーツ等も魔法で綺麗にしてもらったけれど。


 そうでなくとも衣緖菜は綺麗だし、可愛い。

 エロエロなことも打算ではなく、好意でやってくれている。

 何せ知識や記憶の全部を知っているから、それくらいは判断可能だ。


 今朝も一戦といかなかったのは、単に時間がなかったから。

それでも自転車に密着して二人乗りは、少々辛かった。

 背中に暖かいものがあるのを、常に意識する状態だから。


 昨晩裸であれこれやりまくっただろうなんて言わないでくれ。

 やってしまったからこそ、リアリティをもって迫ってくるものがあるのだ。

 おまけに存在を主張するかのように、時々伝達魔法で感想を入れてくる。


『昨日も見たし、これが畑の一種だというのは知識で理解した。でも規模が大きいし整然としている。それだけこの世界が進んでいるということだろう』


『この乗り物も、早くて楽だ。身体強化魔法を使って走るよりずっと楽で速い。あと道路の一様さにも驚く』


 そんなのが入る度に、彼女の存在を意識する羽目になるのだ。

 もちろん聞かれる度に、こちらもそれなりに返答はしている。

 俺の方は魔法ではなく口頭だけれども。

 自転車が風を切る音で聞こえなくても、衣緖菜は魔法で聞き取れるから。


「稲を植えるのに機械を使うからさ。魔法がない分、そういった道具が進化している」


「この自転車も、さっき言った機械類の一種だ。本当はこれより便利な、魔法も足の力も必要ない乗り物があるけれど、俺はまだ使えない」


 あと家で気になったことがあったなと思って、俺から衣緖菜に質問をしたりもした。


「家でいつも以上に父や母に会わなかったけれど、これも衣緖菜の魔法のおかげか?」


『陽翔の存在を感じたら、無意識に近づかないようにするという精神操作をかけた。記憶を見て、会わない方が良さそうだと判断。会った方がいいのなら、帰ったら解除する』


「いや、今のままがいい。ありがとう」


 そんな感じで自転車を走らせること50分で、無事駅に到着。

 大分古びているけれど一応屋根がある駐輪場に自転車を停めて鍵をかけ、駅へ。

 1台しかない自販機で590円の切符を2枚購入。

 自動改札ではないけれど駅員がいない改札を通って、ホームを歩いて跨線橋を渡って上り線のホームへ。


 ホームへ降りたところで、反対側のホームに逆方向の電車がやってきた。

 また衣緖菜からの伝達魔法が入る。


『こんな大きい箱が、2つもついて動いているのは、まさに別世界だと思う』


「これでも実は短い方だ。栄えているところに行くと、15両編成なんてのが普通に走っているからさ」

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