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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第24話 合宿中断

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128 買物と食事の後は

 風呂のお湯全体の温度を10度上げ、次に20度下げて、また20度上げて……

 この20度下げ上げを3回繰り返したところで、一気に眠気が襲ってきた。

 これでほぼ限界、ということなのだろう。

 湯船に浸かるとそのまま眠ってしまいそうなので、シャワーを浴びてさっと身体を洗って、なんとか脱出する。


 さっさと脱出したのは、他にも理由がある。

 女子が使いましたよという匂いを感じてしまうのだ、今の風呂場は。

 4人が使ったから、当たり前なのだけれど。

 健全な青少年の男子にとっては、結構辛い。


 服を来て出たら、こっちもお風呂上がりの女の子の匂いが充満していた。

 横のキッチンに寄って換気扇を回してから、リビングへ。

 4人ともまだテーブルでパソコンを囲んでいた。


「あ、都筑。プール探しが終わっていないから、もうちょい待ってて」


「丁度いいのが無いのか?」


「通販で調べたのは、今のところ耐久性に不安があるのばっか。買った場合の満足度を近未来予知魔法を使いながら見ているんだけれど、どれを選んでも、1ヶ月使えるかどうかって感じ。詐欺商品は結構見つかったけれど、これはいいってのが見つからない」


 なるほど。

 なんと言うか、怪しい店の通販あるあるだ。


 さて、ここまで何とか動いたけれど、やっぱり眠い。

 少しでも気を抜くと、意識が落ちそうだ。

 これはもう、仕方ない。


「悪い。少し寝てくる。出る時は起こしてくれ」


「それだけ魔力が減っていれば、仕方ないか」


 どうやら事情は把握済みの模様。

 ということで、遠慮無く自室に入り、扉を閉めて、ベッドの上へ。

 最後の気力で掛け布団をめくって中へ潜ったところで、意識が遠のいた。


 ◇◇◇


 ジリリリリリーン、ジリリリリリーン……

 煩いベルの音、でもこんな音が出るものって、あっただろうか……

 と思ったら、かなり近くに知っている魔力を感じる。


「もうすぐ12時、お昼ご飯の時間だよ」


「はいはい」


 メイが俺のベッドの横で、スマホを持って立っていた。

 今のベル音は、スマホで鳴らした様だ。


「それじゃ部屋の外で待っているから、さっさと準備して」


「わかった」


 寝てしわくちゃになったシャツだけ着替えて、部屋の外へ。


「ごめん。待たせた」


 俺以外は、既にテーブルについていた。

 なので俺もテーブルへと向かう。


「魔力がほぼ回復しているのです。なら夜に8時間寝れば、魔法は完全回復出来るのです。ならそれまでは、訓練しまくって魔力ぎりぎりを保つのも、方法としてはありなのです」


「先程のように、魔力をほぼ使い切る必要はない。1割くらい残っていれば、そこまで眠気は感じずに済む」


 俺が何をしたのか、美羽さんや陽菜さんにバレている様だ。

 でもまあ、仕方ない。


「わかった。それでプールは見つかったのか」


「その前に、ご飯開始なのです」


 確かにそうだな。

 なおテーブルには、こんな感じの昼食が並んでいる。

 ○ 刺身盛り合わせ、イカと白身魚5種類と、鰹に似た刺身と、小サバのシメサバ

 ○ 鶏肉とタケノコと人参、ゴボウ等が入った煮物

 ○ キャベツとタケノコとワカメ?とイカゲソのサラダ

 ○ タケノコと豆腐の味噌汁

 ○ タケノコの辛味噌和え

 ○ タケノコの味噌汁

 ○ タケノコご飯


「タケノコがメインのメニューだな」


「島で大量に採ったし、下処理しておけば使いやすい素材だからね」


 やっぱりメイが作ったのか。

 刺身とかは向こうで作って、美羽さんたちが収納に入れていたのだろうけれど。

 ということで。


「それでは、いただきます」


「いただきます」


 メイが仕切って、昼食開始。

 まずはイカの刺身から。

 やっぱりこれ、売っているものと歯ごたえも味も違う。

 イカの種類が違うのか、新鮮さの違いなのだろうか。


 あとこのシメサバ、やっぱり美味しい。

 自分が釣ったからというのもあるけれど、酢が効きすぎていないところが美味しいのだ。

 なんて思ったところで、メイが口を開く。


「プールの件だけれど、フリマサイトを探したら、ちょうどいいのがあってさ。この値段なら1ヶ月くらいしか使えなくてもいいかなと思って、ポチっちゃったら、とんとん拍子に話がまとまっったんだよね。で、今日の午後1時に受け取りに行く約束」


 えっ!?

 何というか、話が早すぎるというか……


「プールを取りに行く場所って、どの辺だ?」


「黒井駅南口ロータリーの、一般車乗降場所。広いけれどそこそこ死角が多いから、隠れて転移しやすそうだし。向こうは黒井駅の近くに住んでいて、車で持ってきてくれるって」


 黒井駅は東竹出駅から5駅目と、案外近い。

 だから転移魔法で行けるだろう。

 もちろん俺やメイは無理だけれど、他の3人ならきっと。


「なるほど。でもよくそんな出物があったな」


「大きすぎて、水を入れるのに1日近くかかるんだって。だから普通の家の水道では無理だってさ。大丈夫かと聞かれたから、学校で消火栓を借りて入れる許可を貰ったって言っておいた」


 それって大丈夫なのだろうか。

 そう思いつつ、今度は白身魚の刺身に箸を伸ばす。 


 ◇◇◇


 ご飯を食べて、転移魔法で黒井駅まで受け取りに行って。

 そして駅前の駐車場内、建物の陰から転移したのは、何処かの屋上だった。


 屋上の真ん中だから、近くの下側は見えない。

 しかし遠くに見えるマンションは、見覚えがある。

 となると、ここは……

 

「学校の屋上か、ここは」


「教室棟の屋上なのです。広くて平らで周囲から見られる可能性が少なく、風通しがいい、ちょうどいい場所なのです」


「駅近くのマンション以外にここより高い場所はないし、そのマンションもそこそこ遠いから、シールド魔法を貼っても不自然に思われないよね」


 陽菜とメイがそんな説明。

 きっとこれは、俺が寝ている間に決まったことなのだろう。

 だから今さら異を唱えても、きっと意味はない。  


「それじゃプールを組み立てるよ。まずは底の防護のため、このビニールシートを敷いて……」


 屋上に、メイの声が響く。


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