126 怪しい時間潰し?
昨日はあの後は釣りはせず、また全員で風呂に入ってアニメ鑑賞会。
確か女子高生4人で無人島に漂着した話だったと思うけれど、ほとんど見ていない。
端に布団を敷いて、衣緖菜に魔力車を出して貰って訓練した結果、ほとんど見ないうちに寝てしまったから。
翌日。
朝起きて朝食を食べて、部屋を片付けた後。
俺はメイや美羽さん、陽菜さん、香里奈さんと千葉のマンションに、愛美さんに送られて直行。
「カナ姉たちと一緒に帰ってくるまでは、念のため、皆さんまとまって行動して下さい。その方が安全ですから」
ということで、俺と衣緖菜のマンションで皆で休憩だ。
俺としては申し訳ない。
「悪い。主に俺の安全対策だろう、これって」
学校の寮は安全だから、俺以外は寮に帰れば済む。
香里奈さんは女子寮の誰かの部屋にいれば大丈夫だろう。
わざわざこのマンションに来たのは、俺が一人だと危ないからだ。
「問題ないのです。寮よりこっちの方が、物が揃っていて広いのです」
「でもどうせ一緒なら、お店が開く10時くらいになったら皆で出かけない? 香里奈に説明した方がいいだろうし、何処か行ってみたい場所があるなら、そっちに行ってみてもいいし」
メイは小中学校通して委員長歴が長いからか、割とあれこれ気が回る。
この辺も俺より……なんて考えても仕方ないのだけれど。
「ありがとうございます。私の方は、今のところは大丈夫です」
「ならちょっと、ここのお風呂で試してみたいことがあるのです」
陽菜さんが、何か怪しい笑みを浮かべている。
何だろう。
「何を試すんだ?」
「温泉を空間魔法で直結して入れるというのは、私には考えつかない方法だったのです。これは健康と美容のためにも、是非試してみたいのです。ですが寮の風呂では、足を伸ばして入れないのです」
香里奈さんと全然関係ない、個人的興味の方だった。
おいおいと思いつつも、聞いてみる。
「ここでも温泉が出るのか?」
「つい今、調べてみたのです。だいたい1.5km位下の場所に、そこそこ濃い温泉水があるのです。島の温泉より色が濃くて、少しばかり効果も高そうなのです」
「それは試さないとまずいよね。都筑、いい?」
あ、メイが賛成派に行ってしまった。
仕方ない。
「マンションの配管に支障がでないければ、いいけれどさ」
「それじゃお風呂を借りるよ。都筑以外は手伝って!」
香里奈さんまで連れて行ってしまった。
何だかなあと思いつつ、俺は自分の部屋へ行って、学校用のタブレットとノートを出す。
時間があるなら、英語コミュニケーションⅠの予習をやっておこうと思ったのだ。
他の教科は予習をしなくても何とかなるけれど、英語だけはある程度予習をしないと授業で困ることが多い。
来週分の予習は終わっているけれど、時間があるときにすすめておいた方がいいだろう。
教科書の文章をパソコンで打ち込んでAIに投げてやれば、翻訳や、重要単語やイディオムの確認なんて事をしてくれる。
だからスマホすら使えなかった中学時代に比べれば、大分早くて楽だ。
ということで、タブレットとノートと筆箱をを持ってリビングに移動。
テーブル上に放置しているノートパソコンを起動したところで。
「都筑都筑、これ凄いよ! 見た方がいい!」
メイがそんな事を言っているので、仕方なく風呂場の方へ。
うちの風呂は、決して広くはない。
3畳くらいの洗面所兼洗濯機置き場を脱衣所代わりにして、2畳くらいの風呂場があるという、ごく普通のつくりだ。
だから俺の他に女子4人いる状況では、隙間から見るという形になるのだが……
浴槽に、コーラ色というか、濃い焦げ茶のお湯が満タンに溜まっていた。
「何か凄い色だな」
「効果がありそうでしょ。ということで、早速女性陣一同で交代で使うから。都筑は自分の部屋に避難して」
「わかった。でも入っても大丈夫か、これ」
「カナ姉が分析した結果、問題ないと判断する未来が見えているのです」
問題ない様だ。
なら仕方ない。
「わかった。それじゃ避難するから」
俺としても裸女に目の前をうろつかれるより、避難していた方が楽だ。
ということで、ノートパソコンと勉強道具一式を抱えて、自分の部屋に逃げ、扉を閉める。




