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俺が魔法を使えた頃  作者: 於田縫紀
第24話 合宿中断

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125 今回の情報

 入口から花音さん、衣緖菜、香里奈さんの順で入ってきて、そのままテーブルの空いているところに座った。


「まずは夕食にしましょう。香里奈さんについてや明日の日程変更については、夕食を食べながら連絡しますから」


 ということで、とりあえず夕食が始まる。

 視線を向けずに遠見魔法で確認すると、香里奈さんと衣緖菜の間には、あれこれ情報伝達魔法が動いている様だ。


 なら他があれこれ心配する必要はないだろう。

 そう思って、イカの刺し身を冷たい出し汁につけたものを取ったところで、知識伝達魔法が流れた。


『香里奈さんはやはり、敵に捕らわれて洗脳されていた様です。他に衣緖菜さんの部下2人も、洗脳された状態で捕らわれています。これらの情報と今後の対策案について、これから伝達魔法で流します……』


 花音さんから、あの言語化済みの簡単な方の伝達魔法で、情報が流れる。

 大雑把にまとめると、香里奈さんの記憶はこんな感じだ。


 ○ 香里奈さんは日本に来て、ケイトさんと似たようなNPO法人経由で、熊本に居住する益城(ましき)家に引き取られた。

 ○ 7月はじめ頃、5350051に会った。こちらでも会えたと思った瞬間、不意打ちで洗脳魔法攻撃をかけられてしまった。

 ○ その後は自宅でこれまで通り生活しつつ、スマホのSMSや通りすがりの人からの合言葉で、命令に従う様になっていた。

 ○ ただし命令された時点から終了までの間の記憶は、作戦終了とともに消える様に設定されているらしく、覚えていない。

 ○ 敵の拠点や本拠地に行ったことはないので、場所は知らないし、連絡先も知らない。

 ○ 買い物に街へ出たところで、攻撃をうけて気を失った。ただ魔力の感じから、5310037の魔法だろうと思われる。

 ○ あとはこの建物の和室で意識が戻るまで、他の記憶はない。


 そして香里奈さんの記憶には、5310037からのメッセージと思われる記憶と言うか、情報が書き込まれているそうだ。


 ○ やはり熊本に出現した後、香里奈さんと同じNPO法人によって、熊本市の三井家に引き取られ、三井美奈(みな)となった。

 ○ 中学校から帰る途中、5340112から洗脳攻撃を受けたが、とっさに自分に二重人格魔法をかけ、下位人格の方だけ洗脳させることに成功した。

 ○ その際に遠見魔法で5340112を追跡し、居場所を確認。しかし敵を防ぎつつ洗脳解除する場所がなく、また洗脳解除した後に敵の攻撃を防ぎつつ生活する場所がないため、監視にとどめていた。

 ○ 近未来予知魔法で最良の未来を予知した結果、この島の合宿場に何か特異点があるのを発見し、以来1日1回は遠見魔法で確認していた。

 ○ 島に小隊長と数名の強力な魔法使いを確認、ここなら安全だろうと5340112を襲撃して麻痺させ、送り届けた。

 ○ 5340112については、安全な場所で保護して欲しい。現在の環境では、襲撃され洗脳される可能性を排除出来ない。

 ○ これから5340112の家族に対して『GW終わり頃までは帰ってこなくても気が付かない』ように魔法をかける予定。出来るだけ早く、整合性がとれる様に記憶改変をしてほしい。

 ○ 自分(5310037)は5350051の居場所を探るため、引き続き組織からの連絡を受けられる態勢で待機する。


 なお敵の拠点の場所や構成員の情報は、5310037、美奈さんも一切わからない模様。

 これは5310037、美奈さんが攻撃を受けたのがつい1週間前で、まだ他の敵と接触していないし、命令も受けていないからだ。


「とりあえず今週は、香里奈さんの親の記憶操作をした後、しばらく衣緖菜の家で預かることにします。近未来予知魔法で見ると、こちらに留まった場合は、再び襲われる可能性があるようですから」


「でもそのままでは、まずいよね。学校に通えないしさ」


 結菜さんの言う通りだ。

 香里奈さんは小学校5年生相当だから、うちの学校には入れない。

 かといって衣緖菜の家から通う場合、衣緖菜と離れる時間帯の安全性が確保出来ないだろう。


「衣緖菜の家で預かるのは、実質3日間だけなのです。来週の合宿でおそらくカタはつくのです」


 陽菜さんが、そうズバリと言い切った。

 それって来週の合宿で、敵を倒せるということだろうか。

 陽菜さんの言葉は、続いている。


「おそらく敵の対応が固まったのです。ただ結果は見えないのです。見えないのか見せないようにしているのかが、私には見えないのです。見せないなら、見せないようにしているのが誰なのか、私には見えないのです」


 つまり花音さんや衣緖菜が隠している、という可能性があるわけだ。

 これは敵が勝てないと悟って、撤退しない様にするためだろうか。

 それとも他に、何か理由があるのだろうか。


「来週の合宿、それも5日深夜に何か、おそらくは敵の襲撃か敵への襲撃があるのは確かです。それは私の近未来予知で見えていますし、美羽も陽菜も同じでしょう。

 ただ未来が見えないのは、誰かや何処かの勢力による操作というわけではありません。何人かが未来を変える不確定要素を抱えているからです。敵も、味方も、本人が気付いていない誰かも」


 これは愛美さんだ。


「花梨さんにも応援をお願いしています。来週の合宿には、花梨さんの他に何人かの応援が来る予定です。結果は私にも読み切れません。それでも事態を回避出来る可能性は、ほとんど残っていません」


 これは花音さん。

 つまり戦うしかない様だ。

 ただ俺は、魔力が足りないから、戦力にはならないだろう。

 傍観者として、ただ見ていることしか出来ないのだろうか。


 そこまで考えて、ふと思い出した。


『必要なのは、陽翔の魔力と、覚悟と、衣緖菜さんとの結びつき』


 何時、誰に聞いたのだろう。

 今の俺には思い出せなかった。

 でも今日は、衣緖菜に魔力車を出して貰おう。

 少しでも魔力を鍛えておくために。

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